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LIAR・TEAR ~ライアー・ティア~  作者: 八瀬蛍
第一章 彩と緋和の出会い
19/91

何があるの?

 ――昨日は先生に「嫌だ」を連呼した以降の記憶がない。きっとそこから寝続けていたのだろう。寝て起きても自分の取り巻く状況は変わらず、入院生活がまだまだ続くことを朝のひかりはわたしに告げた。

「彩ちゃ~ん、検温でーす」

 ドアから声がした。朝から先生の顔を見なければならない。昨日あれだけ先生の前で泣いたから恥ずかしい。バッと布団にもぐった。

「さ~やちゃん」

 わたしは布団の中で小さくなって先生から身を守っていた。

「検温だよ~いい加減、検温くらい慣れようよ~」

「嫌だ」

「あ、昨日泣いたのが恥ずかしかった? お年頃だね~」

「違ッ!」

 図星を言い当てられて、わたしは布団から顔を出してしまった。それを先生が見逃すはずもなく布団を剥ぎ取られ、先生の顔を見ないといけなくなった。

「あ~あ、目……すごく腫れてるじゃん~あとで顔洗っておいでね。はい、じゃあ検温ね~」

 もう抵抗する力もなくなり、わたしはされるがままに体温計を脇にいれた。

「うん! 問題なし。じゃあ、胸の音聞かせてね」

 もう抵抗が面倒だ。

「よし、こっちも平気。じゃ、また来るからね~」

 朝から先生は元気だ。テンションが高い。

 ハッと先生に言われたことを思い出した。「目、すごく腫れてる」って言ってた……。

 どうしよう、もう点滴ないから自分で取りにいかないといけないのに……。

「本当に、すごい顔。」

 呟くかのように前のベッドからそんな声が聞こえた。緋和ちゃんだ。

「うう~どうしよぅ」

 わたしはガクンと肩を落とした。

 すると緋和ちゃんのベッドにも、他の先生たち来て、カーテンを閉めた。

 今日はやけに長く話している緋和ちゃんを見て、担架を思い出した。きっと何かあるんだろう、改めて確信した。

 二十分近くお医者さんたちは緋和ちゃんのベッドを離れなかった。


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