これは痛くない。
「そんなこと言わないで~あとは写真とるだけで何も痛くないから、このまま一緒に行こうか。」
「やだ、先生なんかと一緒にいたくない!」
「はいはい、行くよ~」
先生は嫌がるわたしの腕をしっかり掴んで歩き始めた。先生の力には相変わらず敵うわけもなく、あっさり別の部屋に連れ込まれてしまった。
「じゃあ、上に来ている服脱いで、この服着てね」
渡された服は、紺色の検査着だった。脱衣所に貼ってあるポスターには
【ゴムや金属は写ってしまうので、脱いで検査着を着てください】
と書いてある。
「よしよし、ちゃんと着替えたね~じゃあ、肩をこの台に付けて~そう! じゃあ、そのままちょっと待っててね~」
先生は扉の向こうへ去っていった。これは痛くなさそうで安心だ。
『息を吸って、吐いてください』
機械音に合わせて、わたしは指示されたことをした。
『息を止めてください』
つい三秒くらい、息を止めると終わったようで先生が出てきた。
「痛くなかったろ?」
「……うん……でもッ! さっきのは痛かった!」
「ごめんごめん」
先生は少し困った顔でそう言った。写真をとった部屋を出て、さっきの注射の部屋あの前にいたママのところへ戻った。