表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LIAR・TEAR ~ライアー・ティア~  作者: 八瀬蛍
第一章 彩と緋和の出会い
13/91

余計なことを言わないで

 もうそろそろ三時だ。ママが来てもいい時間になってきた。まだ半日くらいしか一日は終わってないけれど、とても一日が長い気がした。

「彩、大丈夫?」

「ママ!」

「ごめんね~なかなか仕事抜けられなくて」

「ううん、大丈夫!」

 ママと話をしていると緋和ちゃんのベッドが動いた。そして滅多にベッドから出てこない緋和ちゃんが出てきた。珍しい。

「緋和、検査~?」

「うん。夏目は?」

「今日は特にない」

「そう、ゆっくりしときなよ」

「ゴロゴロしてるさ」

「そう」

 部屋のドアの前でそんな会話が聞こえた。そうか、緋和ちゃんは今日が検査の日なのか。

 わたしもママが来たら受付に行け~って言われてたっけ。行きたくないなぁ。行かなくていっか別に。どうしてもなら先生とか迎えに来てくれるでしょ。

「あ、西尾さん。受付行くんでしょ? もうすぐ三時だけど」

 まるでわたしの考えが分かっていたかのようにそう言う緋和ちゃん。余計なことを……。ママにばれてしまっては検査をサボるなんて無理だ。

「あら、彩。先生に呼ばれてるのね。じゃあ受付行きましょう」

 最悪だ。

「西尾彩です。春上先生に呼ばれたんですけど……」

 ママはわたしの代わりに先生との話を通してくれているようだった。そして外来の小児科のところへ行くように言われた。


 入院病棟から小児科外来までは意外とすぐに着いた。

「あ、逃げずに来たの~偉いね」

 先生もわたしが逃げるかもしれない、ということを視野に入れていたみたいで、どちらにせよ逃げることはできなかっただろう。

「何をするの先生」

「今日は、とりあえず採血とX線検査かな~」

 えっくすせ……? 分からない。でも採血は分かる。注射系だ。

「やだやだやだッッ」

 先生は言うと思った、とでも言いたげに小さくため息をついた。

「お母さんは、よろしいですか?」

「それが、必要なことならば私が反対する必要はありません。」

「じゃあ、二十四番の部屋の前まで来てください。」

「はい」

 やだやだ言うわたしをよそに先生とママは話を進めていた。注射だけは本当に嫌だ。怖いし、痛いし。絶対嫌だ!

 ママはわたしが逃げないように、手をしっかり握って二十四番と書かれたドアの部屋まで連れて行った。そのドアの前には椅子があった。ママはそこで待機するのだろうか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ