愛する彼女から婚約破棄を言い渡されたので全力で取り戻そうと思います
はじめまして愛瑠巫です。
この作品が初投稿なので、誤字脱字、ガバガバ設定はお許しくださいm(*_ _)m
ちなみに後書きはただのセールスです。感想は活動報告にて!
注)
この作品は男主人公です!決して女主人公では無いことを念頭に!
視点変更が途中であります。
「もうあなたには愛想が尽きました。婚約破棄させて下さい」
最愛の彼女が俺の友人の腰に手を回しそんな事を言った。
周りにいる人は蔑んだ目で俺を見てくる。俺の両親に至ってはゴミのような、そもそも俺の存在自体が悪と言いたげな目だった。
いきなりの事で理解が追いついていないでいると友人であり、この国の第一王子のヴィルヘイムが普段俺に見せないような顔で近づいてきた。
「トリスタン、君みたいな人がアイリス、いやこの国にいてはいけない。本当はすぐにでも殺したいところだけど友の情だ。国外追放で許してやろう」
この一言によって俺の人生は終わったように思えた。
「おい、もうこの辺でいいだろ」
「そうだな。よし、もう二度と我らが国に入るなよ。もし入ればお前は真っ先に俺たちに殺されるからな」
何が面白いのかわからないが、兵士達はゲラゲラ笑いながら王都に向かって馬を走らせた。
俺はその姿をぼうっと眺めていた。
眺め続けてどのくらい時間が経ったのだろうか?十分なのか一時間なのか、時間の経過が全くわからなかった。
時間が経って言えることは少しは頭の整理ができた。
最愛の彼女、アイリスは俺の婚約者……いや、元婚約者だ。そして、彼女の新しい相手は俺の親友とも言えるヴィルヘイムだ。
ここまではなんとか理解できた。
だが、何故アイリスが俺との婚約破棄をしたのか。これだけが理解できなかった。
俺とアイリスの関係は自分で言うのもあれだがかなり良かったと思う。
俺は片時もアイリスの事を忘れたことはないし、彼女の誕生日には婚約してから、いや婚約する前からプレゼントを送っていた。
この最近ではアイリスとキスもしたし、本番とまでは行かなかったが一緒にベッドで寝た。
貴族の娘が男と一緒に寝るという事はその男に身も心も許しているという証拠といわれている。
そんなアイリスが突然の婚約破棄宣言。
さぁ、一体これはどういうことなのか。
追いつく候補としては、
①アイリスが本当に俺を嫌いになった
②実はドッキリでした
③アイリスが俺と婚約破棄をしなくては行けない理由があった
④これは夢!
①と②は可能性としてほぼないだろう。ヴィルヘイムがドッキリをする性格ではないし、貴族があそこまで一枚岩になって行動するとは思えない。
④が1番良いが、現実はそんなに、甘くないだろう。
となると……③だが、婚約破棄をする理由が思い当たらない。
貴族の世界で婚約破棄が行われる時は、相方が他の人と男女の関係を持ったり、何か犯罪を犯した時に行われる。
今回の場合は俺が男女の関係を持つか、犯罪を犯した時になるが……当然そんな事はしていない。
だがこの線が一番有力だろう。ヴィルヘイムが「君みたいのがアイリスの近くにいてはいけない」と言っていたからな。
恐らくヴィルヘイムの中の俺は何かしらやらかしたのだろう。
「はぁ……ちゃんと誤解を解きたい所だが、国外追放されたしな……。いや、それでもアイリスを諦めれるかっての!」
頬を思いっきり叩くと俺は王都に向かって歩き始めた。
実はここだけの話だが、王都に入るのはそんなに難しくない。
王都には一応門があり、身分確認と犯罪履歴がないか魔法で調べられるが、ちょこっと金色の丸いメダルを兵士に渡すと裏口から簡単に入れてくれる。
「ねぇ、そこのおじさん」
「ん?どうした」
「ちょっとこれで俺を入れてくれないか?」
俺が懐から出したのは金貨十枚。この国の一般的な給料が金貨一枚差なので、この兵士の十ヶ月分の給料に値する。
「おぉ!わかったわかった。いれてやるよ」
こうして俺は王都に帰ってきた。
数時間ぶりに帰ってきたわけだが、少しいつもと雰囲気が変わっていた。
どこか、浮かれているような……
「なぁ、なんか皆な浮かれているけどどうしたんだ?」
「なんだ、知らないのか!ヴィルヘイム様とアイリス様が婚約されるらしいぞ!」
「はぁ!?」
その後、街の人々に話を聞くと、どうやらヴィルヘイムとアイリスの婚約が決まったらしい。
しかし、普通貴族は婚約したいです!、いいですよ!とはいかない。なぜなら相手の家の財貨、地位、人間関係によって今後の自分の家の未来が決まるからだ。
しかもアイリスは俺と婚約破棄した身。いきなり婚約をすれば尻軽女と思われかれない。
だから、アイリスはまだ婚約、もしくは結婚はしないと思っていた……
だが、現実はどっこい。この噂が出回っている。
まぁ、この謎はすぐに解けたんだが。
そもそも婚約破棄した令嬢がすぐに結婚や婚約ができないのは前の婚約破棄した相手、今の場合でいう俺という存在があるからだ。
だから、俺の存在がない、つまりそもそもアイリスは婚約などしていなかったと民衆の記憶が改竄されてしまえば僅かな時間で婚約、結婚ができる。
その証拠に民衆は誰もトリスタンという名前を知らなかった。
「しかし……そんな事が有り得るのか?人々、しかも王都の人口は数万を超えている。そんだけの人数を一瞬で改竄するなど……」
「できるよ」
「っ!誰だ!」
そこにいたのは真っ黒で、真ん中に縦に少し膨らんでいる服を着た黒髪の一人の少年だった。
見たことのない服だが、どこか懐かしい気がした。
「……ジャージ?」
「あれ?君はまだ前世の記憶が戻ってないはずだけど……まぁいいか!」
少年は少し考えるような素振りをすると満面の笑みに戻って、姿が消えた。いや、俺の目の前に瞬間移動した。
「っ!これは古代に使われていた転移魔法か!」
「ふふ。そうだよ!初めて見たかい!?」
少年は愉快そうに笑いながら俺を見てきた。
「それでこの記憶改竄、どうってしたんだ?お前の古代魔法か?」
「うーん……この現象は僕じゃないよ」
「現象……?魔法ではなくて、自然災害だとでも言うのか!」
「難しいなぁ……まぁ言ったところで分からないだろうけど、これはゲームのシナリオ、いや、運命とでも言うべきかな」
「運命……?」
「そう。元々君、トリスタンとアイリスは婚約破棄される運命だったんだ。婚約破棄の理由はヴィルヘイムがアイリスを虐めているトリスタンを見たのをパーティーで告発したからさ。ちなみに君がアイリスを虐めた理由は王子とアイリスが裏で懸想しているという根も葉もない噂でね。心当たりはないかい?」
確かに、一度アイリスとヴィルヘイムは実は両思いだとヴィルヘイムの取り巻きに言われたことがある。
だが、俺はそれを一蹴したはずだ。
そうか……ここで俺が疑い、彼女を傷つけるのが運命だったのか。
「 そしてその後に君は国外追放されてアイリスは王子と結婚する。これが本当の運命だった」
「……だが、現実は違うぞ」
「そう。本当は君がもっと暴君してたんだけどね。何故かいいこちゃんに育ってしまったんだよねー」
「つまりなんだ?俺とアイリスは婚約破棄される運命だったが、現実は違ったので人々の記憶を改ざんしてまで運命の通りに戻しましたってか。」
「ま、そういうことだね。しかし運命はこの世界に干渉できない。つまりだ、運命はこうなるようにある人物を使ったんだ」
「ある人物……?」
「わからないかい?今まで話してた中で、そのある人物が起点になってこの物語が動いている。君が婚約破棄になる理由を作り、婚約破棄をして、
その後にヒロインとどうなるか」
「まさか……!」
□■□■□■□■□■
「今、ここで私、ヴィルヘイムとアイリス姫の婚約を発表する!」
ついに、ついに発表されました……。私とヴィルヘイム様の婚約が。
もちろん、私には何も後悔はありません。私の愛しのヴィルヘイム様と婚約できるのですから。
でも、だけど……この何かを忘れているような……本当の相手はヴィルヘイム様では無いとどこかにいる私が言っているようで……
「どうかした?アイリス」
「い、いえ!何もありません!」
やっぱり記憶違いですよね、私の愛しの相手はトリスタン……っ!?
その時でした。私が謎の言葉が頭に浮かんだ時、広間の扉が大きく開かれました。
貴族の皆様が何事かとそちらの方に目を向けました。
当然私もそちらに目がいってしまいました。
開かれた扉のところにいたのは一人の銀髪の男性でした。
その男性は少し辺りを見渡すと、私の方を見ると明らかに笑顔になり、走ってきました。
ってえ?!ちょ、なんで私のところに向かってくるの!?し、しかもあんな笑顔で!
私はヴィルヘイム様と顔を合わす時より頬が赤くなり、心臓が激しく動きすぎて動いているのかすらわからなくなりました。
「アイリス……!」
男性は目尻に涙を溜めながら私の名を呼び、そして私を抱きしめました。
そして、そして、そして……
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「トリスタン……!」
「ふっ、ふふふ……あーはっはっはっは!笑いが止まらんよなぁ!ヴィルヘイム!『ウンエイ』の力を借りてお前はこの世界に生まれたようだが、『ゲーム』の『シナリオ』と現実は違うってことだ!」
「貴様……!ええい!トリスタンは反逆者だ!即刻捕らえよ!」
ヴィルヘイムは顔を真っ赤にして兵士に命令するが兵士は微動にも動かなかった。
「おい、どうした!王子である僕の命令だぞ!早く動かないか!」
俺はアイリスを腕の中で擁護しながら大声で叫んでやった。この言葉が『ウンエイ』まで届くように。
「俺の名はトリスタン!この世界に生まれ、この世界に生きる者!そして、アイリスの婚約者だ!ヴィルヘイム、お前がアイリスの婚約者ではない!」
「な、なんだよぉ!僕が、僕が主人公じゃないのか!おい、運営!これは一体どういう事だ!話が違うじゃないか!さっさと元に──」
「黙れ」
俺は右手を上に突き上げた。そして、この魔法の名を叫ぶ。
願わくば、ヴィルヘイムにも、『ウンエイ』と言う奴にも、神様にも、この世界に干渉されないように。
「ゲームオーバー」
瞬間、あれほど喚きあげていたヴィルヘイムはピタリと止まり、そして倒れた。
そして……
「あぁ……トリスタン」
「なんだ?アイリス」
「トリスタンっ!」
力任せに抱きついてくるアイリスの髪を撫でながらこの世の何もにも勝る幸せを感じていた。
〜〜〜数ヶ月後〜〜〜
「いよいよですね……」
「あぁ」
あの騒動から一ヶ月が経った。
あの後、記憶を無事取り戻したアイリスは俺を忘れていたことにショックを受け一日中俺の胸の中で泣き続けていた。
また、俺の両親も仕方が無いとはいえ自分達の息子に酷いことをしてしまったとひたすら謝られた。幾ら経っても誤ってくるので、俺とアイリスの結婚を早くさせてよ、と冗談を言ったらマジで結婚の準備を始めてしまっまた。
まぁ、俺も嬉しいからいいのだが……
周りの帰属も同様で俺にしたことを謝罪し、詫びの品を貰った。
ヴィルヘイムとは言うとあの後、数日も経たないうちに死んでしまった。最後の姿は十代の若者とは思えないほど痩せこけっていたらしい。
そして……
「私、トリスタンはいつまでも彼女を愛す続けると神に誓います」
「私、アイリスもトリスタンをいつまでも愛し続けると誓います」
俺とアイリスは晴れて夫婦となった。
ー完ー
どうでしょうか?面白いと感じてくれたでしょうか?
感想や評価待っております(〃・д・) -д-))ペコリン
ちなみに活動報告にこの作品の感想を書いおきます。暇があれば覗いて行ってくださいませ。
それではまたいつか!
愛瑠巫