ゴースタート ~幽霊?始めました~
夏なのでホラーを書いて見ようと思い書きました。
感想などどしどしどうぞ!
幽霊とは何か?
皆さんは、死んだらどうなると思いますか?
死んだら幽霊になり、天国か地獄に行く等の説がありますが実際には分かりません。
臨死体験で見る三途の川等も実際に死後の世界で見るモノとイコールかどうかも知っている人は居ないでしょう。
また、心霊現象と呼ばれる現象は、本当に幽霊がやっているのか?
それに神や閻魔大王、死神、妖怪等の死と関係している未知の存在が実在するかも死んで見ないと分らないのです。(実際に実在しても死後に絶対に会える保証もありませんが・・・)
これは、人類が解き明かしていない、解き明かせないであろう永遠の謎の一つだと思います。
ですが私こと榊 幽綺(享年22才)は、その謎を解き明かす事が出来ました!
その出来事を順を追って説明しましょう。
あれは、大学卒業後し、社会人への第一歩を踏み出すべく面接へ向かっていた時の出来事です。
私は、性格はどちらかと言うと引っ込み思案で容姿もそこまで良くはなく、成績は、若干良かったくらいで運動はからっきしダメな有り触れた女性でした。
駅へと向かう途中、トラックに轢かれそうになっている子供がいた!
その時、体が勝手に動いたのです!
私は、その子供を庇う様に抱き着きそのまま轢かれたのでしょう。
子供は、泣いてはいますが無事な様です。
庇い方が良かったのでしょう。
肩が凝るだけで無駄な脂肪と思っていた私の胸がクッションになり、擦り傷程度で済んだみたいです。
「大丈夫か!?」とか「救急車を!!」とか声が聞こえてきますが何処か他人事の様に思えます。
私はと言うとすでに痛みはなく、体にまったく力が入らず、ぼやける視界で目に入ったのは、お気に入りのメガネが隣に落ちていて、真っ赤に染まっていた事です。
これは、ダメなヤツだとなんとなく理解出来ました。
思い返せば、恋などもした事はなく、ただただ普通に生きてきました。
こんな事ならもうちょっと大胆に生きるべきだったでしょうか?
周りに人だかりが出来ている中、自分の人生を振り返る余裕がある事に少し不思議な感覚です。
救急車が到着するまでの間、不思議な体験をいくつかしました。
体が浮くような感覚があり、天から黒い靄のモノが段々と近づいてくるのです。
そして私の目の前まで来た瞬間、怖くて目を閉じたのですが突風の様なモノを感じました。
あれは何だったのでしょうか?
周りを見渡すと今度は、白い光が波を打ってその奥に人影らしきモノが見えました。
揺らいでいる白い光の波は、とても綺麗で見せてあげたいくらいです。
そして、波につられる様に揺らぐ人影もどことなく楽しそうに見えます。
人影の後ろも輝いてました。
そこで私は気づいたのです。
倒れている私の周りにいる人達が私を見上げて唖然としているのです。
(ん? 私は倒れているのに見上げられていますけど?)
私も倒れている私と見上げている人達を交互に見てしばらくして驚きました!
(私が二人いますよ!?)
頭の中が混乱してどうしたらよいか全く分かりません。
私と周りの人は、救急車が来るまで無言になっていました。
救急隊員が到着してすぐに私に声をかけてきました。
「姉妹の方ですか? 必ず助けますから安心してください!」
「あ、いえ・・・それ、私なんですけど・・・?」
「「はっ・・・?」」
私の言葉にしばらく外国語でも聞いているかの様な顔をしています。
思考が追い付いたのか何を言っているんだこの子はと言う目で見られましたがすぐに周りの方が補足説明をしてくれました。
「ああ、俺達も見てたんだ!この姉ちゃんが子供を庇って轢かれてたんだがよ、しばらくすると姉ちゃんの中から姉ちゃんが向くりと起き上がって来たんだ! なぁ?」
「ええ、私達も見ていたました! まるで幽体離脱の様でした!」
「俺も俺も!」
「私も私も!」
「これ、証拠写真。」
差し出されたスマホを隊員達は、見ていましたがそれでも信じられない様子でした。
「と、とりあえず、すぐに病院に運びますので! ご本人さん?も救急車へどうぞ!」
「は、はい、わかりました!」
荷物を拾い私は、私の付き添いで救急車に乗り込み病院へと向かいました。
幽体?なので触れるかどうか不安でしたがどうやら触れてホッとしました。
もちろん、救急車に乗り込む前に証拠写真を消して貰う様に呼びかけるのも忘れてはいません。
だって恥ずかしいじゃないですか?
後ろから声援の様な声が飛び交っていました。
「姉ちゃん、頑張れ~!」
「意識をしっかり持つのよ~!」
病院に付き、すぐに手術室へと運ばれる私を見送り、入口のソファーに座って待つ事にしました。
家への連絡も忘れてはいけないと待つ時間にいろいろとやっておきました。
手術も終わり、後は本人の頑張り次第と言う事らしいのですがその本人である私は、この様な状態なので何を頑張って良いのか困りました。
しばらくするとビタン!言う音と共に両親が病室に飛び込んできました。
「幽綺ちゃん!!」
「ママ! パパ!」
「無事だったんだな! トラックに撥ねられたと聞いてびっくりしたぞ!」
両親がハグをしてきましたが私と担当医の方がしばらくした後に申し訳なさそうに現状を説明します。
「う~ん、あんまり無事とも言い難くて・・・。」
「なんだ? 何処か怪我でもしているのか?」
「親御さんですね? 大変申し上げにくいのですが娘さんは、意識不明の重体です。」
「何を言っているんですか? 娘はこうしてここに・・・」
私は、ベットに寝ている私を両親へ見せました。
両親は、ベットに寝ている私と目の前にいる私を交互に見て困惑していました。
「・・・これは、いったい・・・」
「お父さん、これは夢かしら? 幽綺ちゃんは、双子だったの?」
「良く分からないんだけど、幽体離脱をした状態で戻れなくなってる感じかな?」
「医学的には、説明のしようがありません・・・。」
しばらく両親の混乱は続きましたが無事?と言う事で様子を見る事になりました。
一週間ほど入院して経過を見た後、一様退院と言う形で私の体と機材を自宅へ持ち帰り暮らす事になりました。
私の事は私でしようと体拭き等の身の回りの世話は、一通り出来る様になり余裕も出てきました。
そして、私は、私の見に何が起きているのかを考えるよ様になりました。
まずは、轢かれた時の事を思い出します。
子供を助けようとして、トラックに轢かれ、そう言えばあの子は、親御さんとお見舞いに来てくれましたね。
軽傷で今では、なんの問題も無く元気な様で良かったです。
おっと思考がそれてしまいました。
まず最初に見たあの黒い靄は何だったのでしょうか?
インターネットや書籍でいろいろと調べる事にしてみました。
エクトプラズムとは、何か違いますね。
瘴気の方に近い様ですね?
大きさは人くらいのサイズでまるでスコットランド地方のレイスの様な形でした。
そして、恐怖で目を閉じた時の突風は何だったのでしょうか?
黄泉の世界へと飛ばされるんじゃないかと心配したほどです。
でもあれは、普通の突風ではないと思います。
何故ならばお気に入りのメガネの位置がまったく変わっていなかったのです。
と言う事は、あの黒い靄に当たるとそういう風に感じるのでしょうか?
怖いですね、出来ればあの黒い靄は、二度と体験したくないですね。
いえ、トラックに轢かれる事も二度と体験したくないですが・・・。
良く死ななかったな~と思いました。
ん?死んでるんですか?微妙な立ち位置にいますね。
ふと思ったのですがひょっとしてあの黒い靄が死神の正体ではないでしょうか?
死ぬ間際なのでそう捕らえても不思議ではないですね!
なんだか少しすっきりしました。
次に白い光が波を打っていたモノと人影らしきモノ、蜃気楼の様にユラユラしていましたが何だったのでしょうか?
5月だったのでそこまで熱くなく、蜃気楼は起きにくいと思います。
光の屈折の問題でしょうか?
そう言えば、人影らしきモノの後ろも煌びやかに輝いてましたね。
白い波と煌びやかな背景でまるでおとぎ話に出てくる妖精の住み家に似ています。
ひょっとしてあれが三途の川の正体なのでしょうか?
確かに神秘的で天国へ連れて行ってくれそうな気がします。
現象については、ここまでしか分かりませんね。
今度は、私の体に起きている事を考える事にしましょう。
まず幽体離脱的になっている事について、ここまではっきり離脱していると言う事例は、何処にも載ってませんでした。
おそらく、私が世界初ですね!
ちょっとテンションが上がります♪
実際に体は、寝たきりのままなので幽体が離れているのでしょう。
ちなみに体に刺激を与えると同じ場所に感覚があるのでおそらく、完全に分離はしてないと思います。
では、何故戻れないのか?
何度か試みて見ましたが触れる事は出来ても中に入る事が出来ません。
何かコツとかあるんでしょうか?
その時に気づいたのですが幽霊と言えばすり抜ける印象があると思いますがどうやら私は、触れるようです。
まぁ、荷物持ったり、電話したり出来たのでそれは、分かってましたが試しにすり抜けないかを実験してみた所、意識していればすり抜ける事も出来る様です。
当然の様にすり抜ける時は、透明になる様です。
親も気づかなかったので間違いないでしょう。
ただ、自分の体は、すり抜ける事が出来ませんでした。
おそらく、これが戻れない理由でしょうか?
他の幽霊あるあるで空を飛べる等もありますが当然、試してみました。
飛べると言うか重力を気にせづにジャンプできるという感じですかね?
重力とは、違った何かに引き寄せられて地上へと戻るみたいです。
月とかでジャンプするとこんな感じなのでしょうか?
体から離れたからかと思い横方向へと移動してみたのですが問題なかったようです。
最後の幽霊あるある、これは少し憧れていましたがポルターガイストです。
モノを触れる私に必要なのか?と疑問にも思いましたがこれは、ロマンなのでぜひとも使ってみたかったのです!
さっそく実験です。
テーブルの上に置かれたコップに意識を集中します。
(動け~ 動け~)
カタッ
今ほんの一瞬動きましたよ!?
この後、何度か試みて見ましたがカタッと動く程度でそれ以上は、無理でした。
才能が無いんでしょうか?
(諦めるな私!)
私一人で解る事は、これくらいの様です。
先の実験で横方向へ移動に他の幽体らしき人達を見かけたのですが流石にどう声をかけて良いのか分らず帰ってきました。
まぁ、私と同じような事例は、聞いた事が無いので幽体と言うより幽霊と言った方が良いのでしょう。
それはさておき、一人じゃどうしようも無いので思い切って聞いて見る事にしました。
まずは、人の良さそうな幽霊さんを探す事にしました。
外を歩いていて気づいたのですが人以外の幽霊も結構いるみたいですね。
猫や犬等が壁をすり抜けて行ってました。
驚いたのが道や石等の生命以外です。
見ていると川石は、川で揉まれる前の姿に道はまだ山だった頃の緑生茂る姿に定期的に見えるのです!
これは、前に聞いた事がある物の記憶と言うモノでしょうか?
余談ですけど幽霊が裸ではないのは、この記憶がそうしている様です。
生前に着ていた服を記憶で再現しているようですね。
ほ~、なるほど、なるほどと物記憶と思われる物を観察していると後ろから声をかけられました。
「あんた、新しい幽霊だね?」
「あ、始めました、新米幽体の幽綺と言います!」
とっさの事に噛んでしまいました。
振り向くとそこには、スレンダーで少し赤く明るい色の長い髪が似合う女性が立っていました。
「あはは、面白い子だね。」
「はぁ、失礼ですがどちら様でしょうか?」
「ああ、アタシは、霊奈って言うんだ。 よろしくな! これでも死んで10年のベテラン幽霊さね。」
「霊奈さんですね、よろしくお願いします。」
「さっきの感じだと死んで間もない子だと思って声をかけさせてもらったんだよ。」
「それがですね・・・カクカクシカジカで・・・」
私は、私の身に起きた事を霊奈さんに説明しました。
霊奈さんは、驚いていましたがすぐにいつもの様に話しかけてきました。
「それは、また特殊な体験だね、アタシの知る限りあんたしかいないよ?」
「ですよね。」
それから他愛もない話で霊奈さんとの距離を縮めて行きます。
そして、本題に入るのです!
「霊奈さん、幽霊について分らない事だらけなので教えてもらって良いですか?」
「おう、アタシの解る範囲でなら教えるよ。」
「私が轢かれた時に見た、黒い靄は、何だったのでしょうか?」
「わからないさね。」
「じゃ、白い光の波は?」
「わからないさね。」
「それじゃ、私、モノに触れる事が出来るんですが?」
「アタシには、無理だね。」
「ポルターガイストがほぼ出来ないんですが?」
「ん? あんなの普通に出来るさね。」
と言いながらその辺に落ちている空き缶をゴミ箱まで飛ばしていました。
やっぱり、私には、才能が無いのでしょうか?
「う~ん、そうだ! 天国とか地獄とかあるんですか?」
「アタシも成仏した事無いからわからないさね。 ただ、先輩幽霊の人達は、次第にこの星に溶け込んでいくような形でいなくなったね。」
「なるほど、母なる大地に帰って行く感じですかね?」
「かもしれないね。 個人差もあるみたいだけどね。」
「個人差ですか?」
「そう、すぐに成仏する人も入れば、長々と幽霊やってる人もいるだよ。」
「なるほどです。あ、霊奈さんは、人に取り憑いたりできますか?」
「ん、出来るよ?」
「本当ですか!? 良かったです!!」
「?」
「実はですね、私の体まだ生きてると思うのですけど私が中に入ろうとしても無理だったんですよ。」
「ほう、それで?」
「お風呂に入れてあげたいのですが抱えるのも一苦労で私の代わりにお風呂に入ってくれませんか?」
「あははは、まさかそんなお願いされるとはね! 面白そうだ、試してみるか!」
私は、霊奈さんを連れて家に帰りました。
この時、分かったのは、霊奈さんも何処にでも移動が出来ると言う事です。
地縛霊じゃない限り、移動は容易な事のようですね。
親に合わせて見ましたがやっぱり見えないようです。
霊奈さんに見える様にと念じてもらったのですがポルターガイストが発生したので止めました。
部屋に入ってもらい、さっそく私の体に取り憑くいてもらいます。
なんかムズムズします。
普通に成功していますね、ベテラン幽霊のなせる技でしょうか?
そのままお風呂に入ってもらいます。
「いや~、久しぶりのお風呂は、良いね~♪」
「うらやましいです。」
お風呂でさっぱりした後、霊奈さんにお布団に入ってもらい、普通に離脱してもらいました。
「何の問題も無くできますね。」
「そうみたいだね。」
その後、他愛もない話をして、今日は泊まってもらいました。
寝る前に今日調べた事をまとめます。
結論を言うと『死んでも分らない!』と言う事ですね。
幽霊になって成仏してもまたその先で難問が出て来るかもしれません。
結局、行きつくとこまでいかないと何もわからないようです。
PS.霊奈さんは、私の体が気に入ったらしく、奇妙な同棲生活が始まりました。