表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/100

大樹の護り人 1

新章開幕です。

お付き合い宜しくお願いします。

ケンタウロス族の里を出た後、私たちはこの大陸の中心にある大樹にむかうこととなった。連合の話をある部族にする為だ。実は弥生たちに頼んだ『使者』としての役目を除外してくれという話だが、先の結果を見越してか、ケンタウロス族との問題が片付いたら、役職を復帰できるように手配されていたらしい。


そして私たちが向かう大樹だが・・・、


世界樹


実際は『古代の樹』や『神ノ木』などと呼ばれているらしいが、私の中では勝手に『世界樹』と呼ぶ事にした。そこはもうなんか絶対に譲りたくない!!


「で、世界樹の麓にはなんで3部族が里を構えてるんだ?」


「ですから、3部族がともに世界樹の所有権を主張し、数千年間にらみ合いが続いているそうです。」


「数千年って・・・。」


どんだけ気が長い領土戦争が続いているんだ。


「でも、100年前からは停戦条約が締結されて争いはなくなったんじゃないのか?」


「建前的にはね。でも、噂じゃあ、その3部族は裏であれこれ画策して小競り合いとかは続いてるみたいだよ。」


「僕の情報によれば、一応世界樹の樹の根元から半径50メートルは各部族の儀式の時以外は進入禁止らしいけど、その実を手に入れようと各部族が躍起になっているみたいだよ。」


「なんでも、3部族の伝承が起源が関係しているようですよ。」


ファウナが言うと伝承と言う言葉の重みが増す。


話を聞く限り世界樹の「葉」ではなく、『実』に、価値があるようだ。


ちょっと残念。


と、言っても世界樹が『実』をつけたという話は歴史上なく、『世界樹の実を手に入れた者は奇跡の力を得る』という言い伝えが残っているだけらしい。ただし、言い伝えとは言ってもそれが真実かは置いておいて、『実』を手に入れるために3部族が今の場所に里を構えたと言うことは事実なのであり得ないと言う言葉で一概に片付けるわけにはいかないだろう。特にそこに定住している3部族にしたら尚更だろう。


希望の民にとって先祖や伝承と言うのが重い意味を持つのはケンタウロス族の里で嫌と言うほど経験しているので、『それ』については思慮深く行動しなくては・・・。


「さて、問題はどこの部族から訪ねるべきかなんだが・・・。」


正直、犬人族と猫人族を訪問したときも順番で文句を言われた経験があるから気が重い。今回は更に3部族と言うから、もっとたちが悪い。


「ここは、叡知と莫大な魔法力を有すると言われているエルフ族の里から訪れるのはいかがでしょうか?」


「え~、エルフ族って、他の部族を見下してるって話だし、ここは同じ様に叡知を持っていると言われながらも、積極的に他の部族と交流を持とうとしているって話のダークエルフ族の里でからでいいんじゃない?」


「正確にはダークエルフ族って、交流を持とうとしているんじゃなくて拷問して情報を聞き出すために初めは友好的な態度を取るって噂もあるぐらいだから、ここは頑固一徹って言われてるドワーフ族の里が僕は良いと思うな?」


「私はご主人様といられれば後はどうでも良いです。」


全く三者三様に好き勝手言った後は、ファウナが場違いなコメントを挟む。弥生は高潔なエルフ族、サラサは好奇心旺盛なダークエルフ族、しのぶは職人気質のドワーフ族と、まさに各々の性格を表すように別々の種族を押してくる。


さて、どうしたものか。


おっ、今すごく良いアイディアが浮かんだ。


「じゃあ、3人がそれぞれ推薦した部族に同時に会談を申し込めば良いんじゃないか?」


そうすれば順番がどうしたとか後で文句を言われるいわれはないかと・・・。


「ゼロ様はどの部族に参るのでございますか?」


「今回は留守番するよ。それこそ俺が行った行かないで後でまた文句を言われたら順番問題を回避する意味すらなくなるし。」


「そうだね。それが良いかもね。」


「じゃあ、僕にはファウナ様が同行してくれるってことで良いですか?」


「えっと、私はご主人様と留守番というわけには・・・。」


そう言いかけたファウナの言葉をしのぶが遮る。


「奥方様たちは僕の地位を気にしないで同列に扱ってくれてますけど、やっぱり巫女様と従者という違いは交渉の場では重要になってくると思うんだ。だから・・・。」


「わかりました。私がしのぶ様に同行しましょう。確かに他の部族から使者の格という話になってしまうかもしれませんから。ただ、しのぶ様がどう思おうが、ご主人様に対するとき私たちの立場は並列、私たちは巫女として尽くすのでなく、一人の『女性』として向かい合っているので、しのぶもそのおつもりでいてください。」


ファウナの言葉に頷く仲間たち。


「有り難うございます、奥方様方。」


「その奥方様ってのも禁止!! 後、ファウナもしのぶも同列って言うなら『様』とかつけるのも禁止!! 弥生も良いよね?」


「もちろんでございます、サラサ。ファウナもしのぶもこれからもよろしくね。」


「「はい。」」


こうして、各部族に同時に使者を派遣することが決まった。ちなみに安全上の観点からルークがサラサに同行し、私が変装して(鬼の角を付けて従者として)弥生に同行することが決まったのはこのすぐあとだった。

本当はエルフ族とダークエルフ族だけにしようかとも思ったんですが、ドワーフも入れちゃいました。

三つ巴の方が盛り上がりそうな気がしたからであって、決して亜人編を早く終わらすために部族を無理矢理追加したわけではないです(キリっ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ