ロメオとジュリエッタ 13
作品タイトル変更しました。
前よりは分かりやすくなったと思いますが、いいタイトルの意見があったら是非アドバイスください。よろしくお願いします。
次の日の朝。
ジュリエッタが住んでいた隠れ里に関係者が集められていた。関係者とはロメオとジュリエッタ、2人の娘ローレンス、猫人族の頭領ローマン、犬人族の頭領ジェームス、『魔族100人斬り』ジャイロ、私を含む『連合の使者』である。
「だから、老いぼれに護衛なんぞを任せるのは反対だったのにゃ。」
顔を会わせるとすぐにローマンが悪態をつく。『にゃ』が付いている為、迫力が半減してしまうのはご愛嬌だ。
「面目ない」
「そう言ってやるなローマン。老いぼれなどと言ったところで彼が我が里で・・・、いや、犬人族と猫人族をあわせても最強の戦士であることは紛れもない事実だわん。ただ、ゼロ殿が化け物であっただけだわん。
本人を目の前にして化け物認定とかやめて欲しいんですけど・・・。
「まぁ、確かにジャイロ爺の爪を片手全部まとめて折るなんて化け物以外の何者でもないにゃ。」
頷き合う3人のおっさんたち。
「問題はこれから先の対応なんだが、私たちの秘密を知られてしまったからにはただでゼロ殿たちを帰す訳にはいかなくなってしまったわん。」
「かと、言って力ずくでこの者を従わすことも閉じ込めることもワシらには叶わんぞ。」
「わかっておるにゃ。だからこうしてわざわざ話し合いの場に来てやったんだにゃ。」
いやいや、おっさんたち本人たち目の前にして『力ずく』とか『閉じ込める』とか話したら完全にアウトでしょ? 私が優しくなかったらこの時点で交渉決裂だよ!!
「おほん。大声で物騒な話を本人に聞かせるにはやめてください。取り敢えず、今回の話の流れとなぜ猫人族と犬人族が同時に連合に参加したくないのかも理解しました。その上で改めて両部族ともに連合の発足に参加することをお願いします。」
「おいおいゼロ殿。何にも理解してないように私には聞こえるにゃ。私たちは孫を助ける為に・・・。」
ローマンの言葉を遮って私が問う。
「息子家族の幸せを取り上げることが、何で孫を救うことに繋がるんですか?」
「ゼロ殿。ジャイロ爺から聞いたんだろう? 私たちはこの先起こるであろう悲劇をすでに体験しているわん。」
「ジェームスさん。あなたが体験したのはあくまで過去であり、未来ではありません。」
「しかし、その可能性はあるわん!!」
「ええ、そうですね。可能性はあるでしょうね。ただ、同時にローレンスがすくすく元気に育って幸せになる未来の可能性もあります。」
「綺麗事だにゃ!! どんなに言葉を取り繕っても人は自分と違う姿や思想を拒絶する本質を持ってるにゃ。私たちは経験を通して『それ]を学んだにゃ。いくら言葉を並べられて言い負かそうとしても無駄にゃ。」
「ゼロ殿。貴方が『明るい未来』を話しているのはわかりますわん。しかし、『暗い未来』の可能性がある限り、私たちは最悪の結果を避けることに全力を捧げるわん。ネガティブと思われようが私たちは2度とあの悲しみを繰り返したくはないわん!!」
「ローマンさん、ジェームスさん、私の仲間を見ていただいて宜しいですか?」
「貴方の仰りたいこともわかるにゃ。鬼族や竜人族、ケンタウロス族に新たに犬人族ですか。人間族の貴方が引き連れるには確かに多様性に飛んでいるにゃ。仲も宜しいようだにゃ。しかしそれは特例にゃ。貴方と言う『規格外』の存在が種族の違う人たちを繋ぎ止めてるだけにゃ。」
「貴方は自分が他人とは違うことを理解すべきですわん。誰もが貴方のような道を歩めると思わないで欲しいわん。」
可能性の低い薔薇色の未来より、可能性の高い最悪の未来を避ける。それが孫娘の命を救う最良の道だと彼らは信じてやまない様だ。
「私が特別な存在かどうかは少し置いておいていただいて、こちらの弥生とサラサをもう一度きちんと詳解させてください。鬼族の弥生と竜人族のサラサと紹介させていただいたとは思うのですが、『使者』の他にもうひとつ役職に就いています。二人とも各部族の『巫女』です。」
丁寧にお辞儀する2人。それとは対照的にローマンとジェームスは目を見開き固まってしまっている。
「そ、そんな、巫女が里を離れて別の役目を果たすなんて・・・。ましてや巫女2人が行動を共にするなんて・・・。」
「ええ、あり得ないでしょう。少なくとも今までの鬼族や竜人族では。しかし、今は違います。実際にあり得なかったことが起こり得る。」
「しかし、それはさっきも言ったように、貴方と言う特殊な存在が・・・。」
「いつまで逃げるんですか!? 『過去』を悲観し、捕らわ、苦しんで、その呪縛を孫娘に背負わせる気ですか!? ただ、姿が違うから? じゃあ、私は角もないし、牙もない、尻尾もなければ『術』も使えない!! 特別だから? あなた方は私の何を知っているんですか? 私が人間族でないことも、人間族の王に裏切られ命を狙われたことも、親友が失踪したことも、仲間が処刑されたことも、妻と子どもと会えない状況だと言うことも全て知って同じ言葉を私に言えますか!!」
私もつい感情的になってしまった。思いの丈をぶつけて恥ずかしいのでみんなの顔が見れないから、一切の反応はわからないが、唯一わかることは誰も言葉を発していないということだ。
「私が特殊な存在だから、『巫女』は特別な存在だから・・・。そんな言葉で自分たちの孫の未来を閉ざさないでください。少なくとも私はここにいる仲間が『巫女』であることを辞めたいと言うのであれば、やめていいと思っています。」
「そんな事は不可能だにゃ。」
「なぜです?」
「巫女の力と立場は己の意思で継承者に渡すことは出来ないからだわん。」
「なぜ、継承者に渡す必要なんてあるんですか?」
「なぜって、それは代々続いてきた一族の儀式であり、『巫女』とはそういう存在だからだにゃ。」
「すみませんが私はどこの一族にも属していないので儀式も習慣も歴史もくそ食らえです。『巫女』とはそういう存在? 知ったことじゃありません。『巫女』という存在より私は『弥生』や『サラサ』が彼女たちの好きなように生きることが大切です。だから、もし『巫女』の力を手に入れるために彼女たちの自由を拘束しようとする存在があるなら命を懸けてそれを排除します。彼女たちは私にとってそういう存在です。ローレンスはあなたたちにとって、そういう存在ではないのですか?」
再び沈黙が流れる。
「『巫女』よりも大切な『個人』か。」
「考えたこともなかったわ。巫女を継承したとしても自由に生きさせる道など・・・。」
ローマンとジェームスが呟く。二人ともあれだけ感情的になってなっていても崩さなかったワンにゃん語を話すことを忘れているようだ。
暫く考え込んでいる二人。すると不意に大きな笑い声が響き渡る。
「はっはっはっは。ローマン、ジェームス!! ワシらの完全な敗北じゃ!! もういい加減認めたらどうじゃ、小わっぱが・・・いや、ゼロ殿が示した新たな未来への希望を。」
「新たな未来・・・。」
「ローレンスの為に・・・か。」
「「それも悪くはないかもしれないな。」」
「ありがとうございます。では、新しい未来のために『連合の発足に参加』して頂けますね?」
私の発言で空気が一気に変わる。
「ゼロ様、このタイミングで?」
「最悪、ゼロ。」
「流石、鬼畜なご主人様。」
「ドン引きです、御館様。」
「え、何で? もともと連合発足の交渉に俺たち来たんでしょ? 種族の壁を越えて連合を結成することはローレンスの未来のためにもいい選択でしょ?」
「そうだとしても、この話の流れで連合の話はちょっと・・・。」
「いや、必要でしょ? 連合。 ローレンスの為に。」
「ゼロ、空気読めないの?」
なにこの悪者感・・・途中まで完全にいい雰囲気だったじゃん!!
「ご主人様、大丈夫です。私がご主人様の為に空気嫁に・・・。」
「黙れ変態。」
「ハウっ。」
「御館様、そう言うプレーが好きなんですか?」
「話がずれてるから誰か助けてください!! 俺の空気読めない具合とか性癖とかどうでもいいから!!」
切実に助けを求める。
「安心してくださいゼロ殿。私たち猫人族は希望の民連合の発足に参加させていただきますにゃ。」
「同じく犬人族も参加させて頂きますわん。」
「ローレンスの為にも、これから先に生まれてくるかもしれない命のためにも、私の全てを懸けて『新しい価値観の普及』に力を注ぎたいと思いますにゃ。」
「私も連合の皆さんと新しい未来を築く役目を担いたいと思いますわん。」
「特別じゃないワシらでも、努力することは出来るからな。ワシももう一花咲かせてみるかの。娘のためにも。」
こうして私たちの初任務は成功という最高の結末を迎えた。
「連合としても差別のない世界を作ることに尽力することを誓います。もし、それでも、ローレンスが幸せに暮らせる里にならない出来なかったときは、一緒に猫人族の里と、犬人族の里でも滅ぼしちゃいましょう。」
冗談で言ったつもりだったのだが、その後全員からお説教をかまされたことは言うまでもない。




