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科学者からの依頼 9

すみません、最後の一文のミスを訂正させて頂きました。

指摘してくださった方有難うございました。これからも助けてくださると幸いです。

ブックマーク、評価もしてくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。

暖かいものに包まれている気がする。


「ゼルダよ。ゼルダよ。」


遠くで誰かが私を呼んでいる。


「ゼルダよ。志半ばで命を落としてしまったお前にもう一度チャンスを与えよう。」


え、俺死んだの?


確かダンジョン潜って、獣と戦って、電撃を受けて・・・え、あれで?


どうやらここは神様の神殿らしい。って、あれ、甦られるパターンのやつこれ?


「今度こそ男の夢ハーレムを完成させるのじゃ。」


あれ、俺の使命ってそんなんだったっけ?もっとこう世界を救うとかじゃないの?まぁ、生き返られるなら何でも良いか。


そんなことを思っていると景色が変わる。


そこには裸のお姉ちゃんがいっぱいいる。


あれ、これってハーレムじゃない?完成させると生き返れなくなりそうなんだけど・・・。


「残念だ、ゼルダよ。どうやらお前の命はここまでのようだ。」


え、神様、ちょっと、え、なにこれ夢?


「では、死ね。」


ええええええええええええええええええええ!!

ちょっと、待って、神様、怖い、ヘルプ ミイイイイイイイイイイイイイイイイ。


と、そこで目が覚める。どうやらお約束の夢オチらしい。


体にはダルさが残っているがどうやら動かせそうだ。ん、唇に何か暖かい感触がある。私はゆっくりと目を開けた。


ルナにキスされてた。


えええええええええええええええええええええええええええええ!!

ちょっと何この急展開。落ち着けええええええええ。まず、落ち着けええええええ、俺えええええええええ!!これはきっとあれだ、夢の続きだ。目をもう一回閉じて開けると、夢から覚めます。


閉じて、開ける。


はい変わらない!!


知ってたよ。だって唇の感触ずっとあったもん!!閉じても開けても柔らかい唇ずっとくっついてたもん。ごめんなさい。神様ごめんなさい、死ねって言われても仕方ありません。娘と同じ年くらいの子に唇奪われてごめんなさい。小説情報のキーワードのところに『幼女趣味はありません』とか書いてごめんなさい。キスされてちょっとドキドキしてごめんなさい。


さて、これぐらい一生懸命謝れば神様も読者様も許してくださると思うので、少し落ち着いて状況を整理してみる。


しかし落ち着けない。


「気がつかれましたか。」


ルナが呟くように囁く。


「ああ、しかし、状況が飲み込めない。あれからどうなったか説明してくれるか?」


ルナは目を見開き唖然とした表情でこちらを見つめる。


「すみません、言いつけに反して目を開けてしまいました。」


「いや、いい。俺の方こそ約束を守らず、すまなかった。」


「いえ、約束は守って頂きました。」


彼女が指を指す方には良い子でお座りしているホワイトライオンがいる。


「傷はどうした?俺は確かに腹から血が吹き出ているのを見たぞ。」


「ええ、ですから私が治しました。」


「えっと、つかぬことをお聞きしますが、回復魔法が使えるってことですか?」


ちなみにこの世界に回復魔法は存在していない・・・はずだ、少なくとも王国の魔導師も魔族の戦士も誰も回復という奇跡の技を持ち合わせてはいなかった。


「魔法というものを理解しておりませんので違いますとは言い切れませんが、わたくしが使ったものは術というものです。術というものはわたくしたちの種族が己の生命エネルギーを代償に使うもので、そのなかでも回復が使えるのは確かに珍しいようです。」


ハッとして右手を見る。火傷の後は残っているものの、怪我は感知しているようだ。


「ルナ、俺にもその術を使ってくれたのか?」


「いえ、ゼロ様に使ったのは別の術にございます。その、ゼロ様が受けたダメージは回復できる状態を遥かに越えてしまっていたもので、分魂の術と申しまして、術者の魂を分け与え瀕死の人ですら回復する事を可能にする秘術でございます。」


危なくさっきの夢が現実になるところだったらしい。


「ありがとう。秘術まで使って俺を助けてくれて。」


そこまで言って、やっと私は気づいた。もし、私が死んでしまったら彼女の首輪から最高出力の雷系魔法が流れ彼女を死に至らしめる。望む、望まないに関わらず、彼女は私を救うしか選択肢はなかったのだ。


「すまない。」


「どうして謝られるんでございますか?」


「いや、だって、俺が死にそうってことは、君も死にかけたってことで、秘術を使わざるを得ない状況にしてしまったわけで。」


「仰っている意味がいまいちわからないんでございますが。」


「えっと、ルナは俺が死ぬと自動的に強力な電撃が首輪から流れるのは知っているよね?」


ルナは首を横に振る。


「まぁ、これにはそんな機能がありましたのね。ああ、つまり、ゼロ様はわたくしが自分かわいさでゼロ様を助けたと仰りたいんですね。」


「いや、まぁ、はい。」


子ども相手に気圧される情けない大人がここにいる。


「違います。わたくしはゼロ様がわたくしとの約束を懸命に守ろうとしてくださった姿に心うたれたのです。今でもゼロ様の勇姿がこの角を通して・・・。」


熱く語るルナはキョトンとしている私の顔を見て。


「わたくしはゼロ様の仰る通りに目を瞑っていました。鬼族は目の他に生命エネルギーを角で探知出来る種族です。ゼロ様がわたくしの為を思って死体を見せまいとしてくださったことはすぐにわかりましたので、お言いつけ通りに角で戦いを見ておりました。」


うん、死体うんぬんの部分はあってるけど、角で見てろとは言ってない。大体その機能、今はじめて知ったし。


彼女は興奮しながら続ける。


「激しい戦いの後、そこのライオンさんの生命エネルギーが急速に減っていったと思いましたら、突然、ゼロ様の大きな生命エネルギーが弾け飛んでしまって、わたくしいてもたってもいられずに、かけよってしまったというわけでございます。そして自分でも気がついたら秘術を使っておりました。」


さっきのキスの謎が解けた気がする。あれこそが秘術だったのだろう。


「そうか、ありがとう。」


「どういたしまして。こちらこそわたくしとの約束などの為に命をかけていただき、ありがとうございました。それで、大変申し上げにくいのですが、秘術には幾つか副作用がございます。」


「そうか。命が助かっただけでも有難いんだ。副作用ぐらい覚悟するさ。で、どんな副作用なんだ。」


「はい、わたくしの魂をお分けさせいただいたので、まず、お互いがどこにいても存在を感じ取れる様になります。」


道具要らずのGPS機能を手にいれた(用途限定)って感じだな。


「そして、私が死ぬと自動的にゼロ様が死にます。」


あれ、これさっきまで逆の設定じゃなかった?


「申し訳ございません。」


「いや、助けてくれなかったらそれまでの命だったんだ、だから気にしないで。他にはない?」


「はい、2点のみでございます。」


「そうか、わかった。もう一回だけ言わせてくれ。助けてくれてありがとう。」


「どういたしまして。」


ルナは満面の笑みで答えてくれた。


それにしても、こんなによく喋る子だとは思わなかった。何を聞いても頷くか首を降っていたし、奴隷市でも上手には・・・って、あれ?


「ルナ、いつから人間の言葉がそんなに話せるようになったんだい?」


私はあまりに自然な会話のやり取りが行われていたことに今気付いて驚いた。しかし、返って来た言葉は更に私を驚かせる内容だった。


「何を仰ってるんですか、わたくしは人間の言葉を理解はしますが、話す方は得意でないことはご存知のはずではありませんか、ゼロ様こそ鬼語が話せるなら先に仰ってくださればよかったのに。わたくしビックリしてお約束しておりましたのに、目を開けてしまいました。」


つまり、言葉が話せてるのはルナではなく、私だったのだ。




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