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100/100

大樹の護り人 9

遂に100話目です。

途中、挫折仕掛けましたが読んでくださっている皆さんのお陰で再開し、ここまでたどり着きました。

本当にありがとうございます。これからも楽しんで読んでいただけるように頑張りますので、よろしくお願いいします。

100話のご祝儀にブックマーク、評価をしていただけると幸いです。よろしくお願いいします。

全力で飛び出した私を強烈な衝撃が襲う。


ドゴンっ!!


一瞬で壁にめり込まされる。自分がなぜ引き飛ばされたかもわからないままダメージを認識する。


私は冷静に状況を分析しようとするが、考えがまとまらない。唯一の救いは追撃がないことぐらいだ。ドラゴンからしたらハエをはらった程度のことなのかもしれない。


ドラゴンが近づいてこないことを確認し、ゆっくりと後退する。


参ったな、想像以上だ。


恐らく私が食らった攻撃は尻尾の一撃。ブレス攻撃を警戒していたため、それ以外の攻撃は爪以外意識していなかった。これもこの世界に慣れ親しんでしまった弊害かもしれない。異世界転生をしてから私は純粋な打撃で大きなダメージを受けたことがない。それはこの世界の基準の肉体レベルや物質レベル、重力レベルなどの影響で超人的な体の強さを手にしたからだ。魔王に対しても同じだった。気を付けなければいけないのは魔法系の技であり、刃物であり、毒である。肉体自慢の魔族ですら私に比べれば大人と子どもぐらいの差はあった。その為、打撃に対して食らってもいいと警戒を怠ってしまう癖がついていたのだろう。しかも相手は規格外のサイズだ。顔だけに集中すると、もう、全体を視界でとらえることはほぼ不可能と言える大きさだ、ブレスを警戒したせいで、完全に意識外からの一撃を食らってしまったのだろう。


そして、もう一つの問題点はスピードである。先程と同じ理由で、私の全力のスピードに対抗できる生き物はいなかった。それを知っていた魔族は物量作戦を引いてきたぐらいだ。しかし、ドラゴンは私の全力に反応し、的確に攻撃した。それはつまり、目の前のドラゴンは肉体レベルにおいて、この異世界で初めての対等以上な敵であるということである。仮に肉体レベルで同等だとして、問題は私に肉体以外の武器がないことである。いや、ナイフは持っているが、剣術が出来るわけではない。素人がその肉体の優位を生かして振り回すだけで敵を蹴散らすという使い方をしていたに過ぎない。魔法は・・・使えない。


対してドラゴンは未知の生物である。ありがちなブレス攻撃、羽をはためかせての風の刃、下手したら目から怪光線や魔貫光○砲すら撃ってくる可能性がある。


完全に詰んだ気がする。


そもそも地球で一般人の俺が魔王討伐ってだけで可笑しいのに裏ボスのドラゴン退治って、全く最近のRPGは、クリア後の裏ボスや周回とか引き継ぎとかばっか考えてないで、物語のクオリティをあげることに力を入れるべきなのに、周回させた方が物語の再利用や、容量が少なくっていいとかばっかり考えてるから画質は良くなっても質が落ちたって言われて、名作のリニューアルばっかり売り出すようになるんだよ!!


つまり、俺が言いたいのは、


「なんで、魔王討伐の時点で『めでたしめでたし』にしてくれなかったんだよ、このクソゲーが!!」


って、ことだ。


大体、ハッピーエンドフラグも一杯あっただろう!! 何、王さまの嫉妬って!! 勇者を悪者扱いする!? 普通、浮気ばれる!? いや、最悪バレたって、あのゲスさんだって浮気しても幸せそうに活動してる世の中だよ。俺ももう少し幸せ・・・では、あったかぁ。はぁ、ハーレムフラグもたってたのになぁ。


このまま逃げたい。逃げたら多分ドラゴンは追ってこない。ドラゴンにとって俺はハエ程度の生き物だろうから・・・。


あ~あぁ、本当に逃げられたら楽なのに・・・全く、俺ってバカだよなぁ。わかってるんだ、逃げてララノアのことを忘れたフリして生きていても、絶対後悔に苛まれて『めでたしめでたし』にならないことを。


よし、決めた。あれを俺のRPGのボスに認定をしよう。なんか、あれを倒しても邪竜が出てくるフラグたってるけど、それはなしで!! あれを倒したらエンドロール流れてめでたしめでたし!! 神様きちんと聞いててね!!


さぁ、今度は尻尾にも気をつけて突っ込みますか。でも、今度は直線的な動きではなく、変則的に緩急をつけて。


尻尾が襲ってくる、が、今度は見える。かわせた。どうやらこっちの動きは見えるようだが、運がいいことにスピードは俺の方が若干上だ。


煩わしそうに羽をはためかせる。突風がおきて吹き飛ばされそうになるが、片足を地面にめり込ませ耐える。風刃は飛んでこない。


風がやむのを待って、懐に飛び込む。初めてドラゴンと目が合う。


超怖い。


筋肉で覆われた腕がフリ下ろされる。が、それもかわす。


反対の腕が振るわれ、鋭い爪が飛んでくる。間一髪避ける。その風圧だけで体勢を崩しそうになるが、素早くそのかわした腕に飛び乗り駆け上がり脳天めがけ飛翔する。


「これでハッピーエンドだ!!」


渾身の力を込めナイフをフリ下ろす。


次の瞬間見えたものは大きな角だった。空中では避けることは出来ない。ならば、することは一つ、この一撃を角が当たるより早くドラゴンに撃ち込むだけ!!


メキメキっ


ドゴンっ


聞こえてはいけない音とともに私は再び壁にめり込む。


先程と違い今度は明らかに大きなダメージを受けていることを把握する。まず、景色が歪む。体が軋む、そして左手が動かない。


ぐ・・・


壁を出ようとするが力が入らない。


「よし、合格。」


そう言うとドラゴンは自分の額を指差す、そこには小さな傷があった。


「意味が・・・わからな・・いん・で・す・けど・・・。合・・格って?」


今にも手放しそうな意識の中言葉を絞り出す。


「ん、なんじゃお主、ここに試練を受けに来たんじゃないのか?」


試練?


「こ・こ・・・に・はそこに・・・封印・され・てる・友人を・・・助けに・来・まし・・・た。」


「そうなら、そうと初めから言えばいいじゃろう。ほれ、通っていいぞ。」


死にかけの私にバカなことを言うなと怒鳴りたい気分だが、怒鳴る力も残っていない。そもそも話せばわかる相手を殺しにかかったんだ、自業自得以外の何者でもない。


「い・え・・、ちょっと・・・しば・ら・く動・・・けそう・にあり・ま・・せ・ん。」


と、言うか、今意識を手放したら帰ってこれない気がするんですが・・・。


「すまぬな、実力が拮抗していたから、つい、本気でやり過ぎてしまった。」


「い・え・・・、いき・・なり・・襲いか・かったのは・・・私です。非礼を・・詫び・・さ・せ・てく・・ださい。それ・・・と、一つ・・お願いが・ござい・ます。もし、このまま・・・私・が・動かなく・・・なった・と・き・・は、どうか・・奥・・の・部屋の・・・エル・フの・封印・・・を解いて・・やって・くれ・ま・せんか?」


「なにをバカなことを言っている? 自分で助ければいいだろう。少し休めばすぐ動ける。」


このドラゴン、自分と、か弱い俺を一緒にするんじゃねぇ・・・と、言いたいが、もう、目も開けられなくなる。


「お願い・・・しま・す。」


私は最後の力を振り絞ってそう言うと、しがみついていた意識を手放す。


深い闇が私の全てを支配していった。

まさか記念すべき100話にして衝撃の展開・・・。

ん、なんだろうこのデジャブ感。あっ!! ってことは次の冒頭は・・・。

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