第七話
大広間には既に僕以外の勇者として召喚された人たちが集まっていた。
パーティーは既に始まっているようだ。
とりあえず王様たちに挨拶をしに行こうかな。
「王様と王女様こんばんは」
「ああ君か、こんばんは」
「こんばんは!」
「少し遅れてしまったので聞きたいのですが、このパーティーは何を祝うものなのですか」
「ああそうなのか。これは勇者様方が召喚されたことを祝うものだ」
「なら僕には関係ないですね」
「いや、君が私たちが巻き込んでしまった人だと言うことは言ってない。それだけで下に見る人もいるし、面倒事になることは君が望んでないと思ったからね」
「そうなのですか。わざわざありがとうございます」
「気にしなくていい。元は私たちが悪いのだからね」
「それより私と話していていいのかい?他の同郷のものたちと話すことがあるんじゃないのかい?」
「特に友人もいないので、話すことはないですね」
「そ、そうなのか。…すまない」
「別に気にしてません」
実際話すこともないし、そもそも名前覚えてない人がほとんどだし、自分のスキルについて話すわけにもいかないしな。
「そうだそれならばわしと娘と、
パーティーの間は話しておらんか?
わしもお主には少し興味があるのでな」
「そうですね。一緒にお話ししましょうオーマさん!」
ふむ、どうするかな。
どのみち色々聞きたいことあったし、言っとくべきこともあったからちょうどいいか。
「じゃあ、お願いします」
「うむ、しかしそこまでかしこまる必要はない。もう少し力を抜け」
「そうですよ。それから私のことは王女と呼ばず名前で呼んで下さい」
「しかし僕はあなた方お二人の名前を知りませんよ?」
「そうだ、自己紹介をしておらんかったな!わしの名前は、ケイン・ファスト・レイバーゲートだ」
「私は、マリー・ファスト・レイバーゲートです。マリーと呼んで下さい」
「多分僕のステータスを見て知っていると思うんですけど、僕の名前は、悪鬼 桜満です。桜満と呼んで下さい」
「わかりました。オーマ様ですね」
「いえ、様はやめてください。オーマと呼んで下さい」
「わかりました。オーマさん?」
「何でしょう。マリー様」
「敬語はやめてくださいと言いました。あとオーマさんも私のことはマリーと呼んで下さいね」
「わかったよ。マリーさん」
「ほほう。随分と気に入られたな。もしやマリー、…惚れたか?」
「何を言うんです!?お父様!?」
「いやいや随分気に入ったようだったのでな」
「これは、友達だからです!」
「え?」
「え!?」
「友達じゃないんですか!?」
「いやいやいやいや、僕たち友達ですよね、だからそんなに泣きそうな顔しないで下さい! いらない誤解を招きます!」
マリーさんを泣かせてしまいそうになりながら、その横で王様はそれを見て笑いをこらえてた。
思わず、「助けろよ!」と思った僕は悪くないはずだ。