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第二十一話

いやはや、心地よい眠りでした。

安全も確保されてるしね。

ゲンドー君の魔道具、サイコー!


まぁ、拠点を構えても香辛料とかは育てられるようになるまで買いに行かないといけないんだけど。

ここで色々探してもいいけど、それだって買いにいった方が早い。

塩とかも増やせるようにしてくれると思うけど、まだ時間がかかるだろうし。


まぁその辺は建前で、僕は観光とかで、町を練り歩くことが好きだから、行ってみたかったというのが本当のところ。

勿論、村があるんだったらそこにも寄っていきたい。だからちょっと、怪しく無く見えるように準備をしてから行くことにした。


最初の国は、冒険者の国、パテオラニックだ。

冒険者の国という名前の通りこの国に住む住民の大半は冒険者である。

というよりも、“国家”で一つのギルドなのだ。

建国したこの国の初代王は冒険者ギルドの創立者の一人であり、王の働きによって、パテオラニックはギルド国家として認められた。

よってこの国の冒険者ギルドは特別である。パテオラニックの冒険者ギルドは、世のギルドと同じではあるが、一つの国であるので他のギルドとは独立している。

独立しているとはいえ、そこで行われることは普通のギルドと大差ない。

勿論、パテオラニックでしか設定出来ない特別な機能も有るらしいが。詳しいことは分かんないけど大体そんな感じ。

それでも冒険者にとってこの国で働くことは夢のひとつであるらしい。


なにより、差別がほとんどないことだ。

国によっては人間至上主義みたいな国があるらしく、そのような国では人族以外の種族は奴隷として働かさせられていたりするらしい。

昔は何処の国でも差別自体はあったらしい。国家によっては人族以外の種族は死ぬよりも酷く虐げられていた国もあったようだが、パテオラニックでは元々あからさまに差別するような国ではなかったらしい。それもあって差別自体を無くすのはそんなに難しいことではなかったのだとか。

今のパテオラニックでは、実力があればどんな種族でも受け入れられる。例え実力がなかったとしても常に異種族と暮らしているからそこに差別は生まれない。

まぁ少しはバカな人間もいるようだが。

差別がなく、異種族と暮らしているのは人族至上主義の国では穢れたもの扱いであるから、なかなかに敵が多いけど、それでも戦争が起きないのは、だからなのかなと思う。


とりあえず、僕が今から行くのはそんな所だ。


で、行こうと思ったのだが、止められることになった。何でかっていうと、


〔あの、出発する前に不老不死がばれないように色々準備しないとダメですよ!〕


あ、そうね。


「それと俺からも頼みたいことがある」


あ、ゲンドー君。


「何? どうかした?」

「いや、大したことではないんだが、あの詳細不明の食材があるよな?」

「うん」


「それってお前の鑑定でも無理なのか?」


やっべ、そんなの忘れてた!

そうだね、全鑑定っていう最高位の鑑定があったね。何で忘れてたんだろ。


「多分できると思う。けど急にどうしたの?」

「いや、マコトがあのくそ不味い木の実の量産に成功してな」

「え、早くない!」

「異常な速度で成長したんだ。環境のせいかもしれんな。それから見た目も黄金に輝くように変わったんだ」

「わかった。今から見るよ」

「頼んだ」


ゲンドー君に連れられて、マコトさんの所に行って問題の木の実を鑑定で見た。



《神の好物》

その名の通り神の好物であると言われる果実。

正しい環境で育たなければ、マヅィーの実という名の醜悪な果実に変わる。

例え正しい環境で育てても神のごとき実力の農家でなければ育てることはできない。その汁を啜れば寿命が百年伸び、その実を少しでもかじれば、森羅万象を理解し神に近づく、と言われるが、そんなことはなく、実際は一個食べると10年寿命が伸び、身体が一歳若返るだけである。

大昔に神が落としたこれを拾って食べた犯罪者が、泣いて懺悔をし、改心したという話が伝わっているほどに美味い。



「どうだ、オーマ?」

「スゴい実になってるけど、効能自体は僕たちにとっては意味がないかな? けど、とんでもなく美味しいみたいだ。それに多分薬も作れると思うから、これは量産してくれる?」

「分かった。ただどのような効果だったかを教えてもらえるか?」


僕は見たものをみんなに説明した。



〔確かに私たちには無用のものですね。薬が実際に作れるかは分かりませんが、少し頑張ってみますね!〕

「うん、お願い」


「そうだ、それからさ。ゲンドー君にはこの子のための工房も造って欲しいんだ」

「学校の理科室のようなものでよければ作れるが」

「それでいいよお願い!」

「分かった」


「ということだからさ、アリア僕はこのまま旅を続けるから君はこの世界の村作りを手伝って欲しいんだ。分からないことはこの二人に聞いたらいいから」

〔それは旅とはいえませんけどね。分かりました。じゃあ私はこの村に薬屋を作ることにします。小さい頃からの夢でもありましたし。まさか旅をしないかと誘われて村を作ることになるとは思ってもいませんでした〕

「あはは、ごめんね。やっぱり衣食住はちゃんと準備しときたいからさ」


「衣食住がきちんとしたものを旅というのかは分からんがな」

「ゲンドー君もそれを言うか」


〔まぁいいです。じゃあオーマ様も分からないことがあったら直ぐに聞きに来てくださいね?〕

「分かった。頼りにしてるよ」


その後は諸々のことがバレないように入念に準備をして冒険者の国に出発することにした。



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