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第十七話

う~ん、いい朝だ!

お城から出て最初の日、今日は何するかな?


「というわけで、何かやりたいことは有ります?」

「何がというわけなのかは分からんが、やりたいことか?そうだな……。働きたい」


「あ、私はやりたいことがあるの」

「何をするんだい?」

「私たち旅を続けるじゃない。何かとお金は入り用になると思うの。だからお金稼ぎをしたいなって!」

「いいな。ついに働けるのか」


金稼ぎか……。ちょっとギルドで聞いてみよ。


「わかった。じゃあちょっと探してくるね?お二人はこれから家造りでしょ。また連絡するね」



というわけで、やって来ました冒険者ギルド。

最初のランクだと報酬が大したことないのしか受けれないから、依頼じゃなくて普通に町の外に出てなんか適当に狩ってくるのがいいかな?


そう言えば、ファンタジーにありがちなあの人達って居るのかな?


「すいません職員さん、この辺って盗賊いたりしますかね?出来れば規模も知りたいんですが」


「そうですね。盗賊団ならこの近くの森のなかに凄く大きいのが有りますね」


「冒険者はそういうの。倒しに行ったりしないんですか?」

「凄く規模が大きいので、迂闊に手を出すことが出来ないんです。今はそこを迂回するのが普通ですよ」


「ありがとうございます。知らないで森に行くところでした」

「いえいえ、気を付けてくださいね」


そんなにデカイ盗賊団があるのか。

よーし、金稼ぎとスキルの実験にもってこいだな。



「じゃあ金稼ぎに盗賊を殺りに行くのか?…そうだな、この世界で生きていくなら人殺しも経験したほうがいいだろうし、それでいいんじゃないか?」

「私もそう思うよ」


「じゃあ、今から殺りに行こうよ。何か準備するものある?」

「万が一を考えてマコトのレベルを10にしておこう。それ以外は特に無いな」


というわけで、10レベルにしてから盗賊団の場所へ向かった。



「いやー、予想してたより大きいね」


「まさか、ここまでとはな」


そう、それはもはやちょっとした城のようであった。実際は城でもなんでもなくて、ただ住居が寄せ集められてるだけだけど、その量が尋常じゃない。少なくともあの中には、一つの軍隊が作れるぐらいの人がいる。


ちなみにこの森はだいぶ広い。それこそ、国が三つ、四つ入りそうなぐらい。

その森のだいぶ深い所にこの住処がある。ということは、人の目を気にしないでスキルが打てるということだ。


なので、最初に試し打ちをする。


「『四字熟語』」


スキル『四字熟語』は四字熟語を効果として反映させる。ただ自分で適当に作っても、反映させることから分かるようにかなり大雑把だ。

だから『無個性』と同じように、ちゃんと範囲を指定しなくちゃならない。

幸いこのスキルは半透明の板が出現して細かく設定できる『無個性』と同じタイプなのだ。


で、今回はこれを使ってみる。


『阿鼻叫喚』


これを強さを最大で、範囲をこの集落の一角に設定する。

ただ、このスキル本当に大雑把なのだ。

使ったけど、毎回微妙に効果が違う。

なので何となくこうなるのも予想できた。


発動して数分で、効果が出るようにした。さてそろそろかと思うと、いきなり見張りの一人が倒れた。


「おい!どうした!」


周りの盗賊が駆け寄った。

瞬間、後ろから血で出来た人形(ゴーレム)のようなものが倒れたやつを丸呑みにした。


「は?」


一番近くにいて、手を伸ばしたもう一人の盗賊はそれから伸びた触手に両腕を千切られた。


「ぁ、ぁ、あ、ア、アアアアアアァァーーーー!!!!!イダイ、イダイ、イデェよぉー!!!!!俺の腕がァー!!」


って叫んだ後一瞬で食われた。


敵襲だ!と叫んで人がいっぱい集まってきた。

そしてそのほとんどが食われた。

しかも丸呑みだけじゃなく、足の指の先からじわじわ生きたまま食ったり、足だけ食ってそいつの前で他のやつを頭から食ったり、溶かして捕食したり、とにかく色んな食い方をしていた。


しかし、ふと赤い人形は動きを止め、近くの人間を片っ端から掴んで、


大爆発を起こした。


其処ら中に、肉片が飛び散る。

その空間に人の形をしたものは残っておらず、血溜まりの中にどんな生き物であったかすら分からない肉片が転がる、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図だ。


その災害を起こした僕とその仲間たちはというと、


「んー、ちょっとこれは使えないな。せめてもう少し地味な感じだったら使えたけど。んーこれは没だな」


「なかなかの光景だな。俺達が平和な世界に居たのが嘘のような感じだ」

「ちょっとグロテスク過ぎたかもね。

今度はもうちょい目にやさしいのをお願いするわ」


「うん分かった。これからは気を付けるよ。しかしこの肉旨いな~。ゲンドーくんもさっきから無言でかっ込んでるし」

「そのスキル本当に便利ね。扱いは難しいでしょうけど」

「でもマコトさんが料理できたらこんなスキル使わなくてよかったのに」

「私は材料を作る専門なの。そんなに言うならもう渡さないわよ」

「ごめんって~!」


その光景を眺めながら、和やかな空気で『四字熟語』で作った焼肉定食を食べていた。ちなみにこの肉はさっきそこら辺でマコトさんに獲ってきてもらった。なんの肉か分からないけど。何だろうね、これ。おいしいけど。



ほんの10分かそこらの間だけだったけどだいぶ警戒させたみたいで一人も中から出てこない。


んー、どうしよ。


「ちょっと私殴り込みかけてきていい?」


マコトさんがそういった。


「ええと、一人で殴り込みに行くのはやめた方がいいと思うけどな?

ゲンドーくんもそう思うよね?」


ゲンドーくんに言うと、


「間に合わせだがマコトの武器のクワだ。あと、銛と」

「ゲンドーくん!?」


「行ってもいいが、気を付けていってこいよ。」

「分かった。ありがとう!原くん!

行ってきます‼」


マコトさんが走っていった。


「まぁ、いいか」


ちなみに武器がクワと銛なのは、マコトさんがレベル10で取得した、

『農家の鏡』と『漁師の鏡』という称号のせいだ。


仮にも女の子なのに大丈夫かなぁ、と思っていたけど、考える必要もなかったよ。むしろあれは相手が可哀想だ。



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