家族
結局今日は、教室に戻ったあと荷物を持ち、早退した。
担任はうるさかったが、保健室の先生が返してくれた。
重い足取りで家へ帰ると、玄関には二つの靴が並べられていた。
よくみると、その隣にちょこんと小学生位の靴が並べられていた。
私は、『ただいま』と小さくつぶやき、自分の脱いだ靴を隅へよせた。
リビングへ行くと母とスーツを着た男の人と小さい女の子がテーブルの椅子へ座っていた。
「君が、凛歩ちゃんだよね?」
そう男の人が私に気づき優しく微笑んだ。
「はい」
私はその人をみて、返事した。
「そこへ座ってくれるかい?」
指図された場所は母の隣の席だった。
私は荷物を邪魔にならないように隅へおき、静かに座った。
「ちょうどいいから話をしよう。みんなで」
男の人がそう言ったあと、私の目の前にいる女の子が私を見るなりニコッと笑った。
私も微笑み返し、男の人の目をみた。
「時期、家族になる」
その瞬間、何がなんだかさっぱり分からなくなって、首を傾げた。
その仕草をみて、男の人は苦笑した。
「そっか、なにも聞いてないのか」
そう言われたので私は母をみた。
母は静かにうつむいているだけだった。
「まー、僕から話すよ。お母さんね、お腹に子供を授かってるんだ。今日明日には席を入れると前から話していてね。君も複雑だろうが、時期家族になる。僕は、父さんと読んでくれればいい」
そう言ったあとに、女の子の頭を撫でながら微笑み。
「君の妹になる楓奈だ。小学校一年生だよろしく頼む」
男の人がそう紹介すると、女の子は、いや、楓奈ちゃんは大きく頷き。
「おねがいしましす」
と言った。
「待ってください、私今訳わから無さすぎて話が読めません。母に赤ちゃんがいる?家族になる?急過ぎてなにがなんだか…」
私がそう言うと、男の人はそれでも笑顔を作り、「そのうち慣れるよ」と言った。
私は、席を立ち、静かにお辞儀をして、自分の部屋に行った。
部屋の扉を閉めると、その場に立ちすくみ、
自然と溢れる涙を今は感情のままに流し続けた。
上を向いてればいつかは止まる。そう教えてくれたいつかの『母』を思い出し、ただ上を向いて涙を流し続けた。
網戸にしていた窓から風が吹き、静かにカーテンが揺れていた。