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失ったもの
小さな頃に振り払われたその手は、あの頃からずっと、手を伸ばせずにいた。
生まれてから愛を一番にくれるのは私を産んだ母だと思っていた。
けど、それは大違いで、産んだらその後は放ったらかしにされていたらしい。
ばあちゃんや、じいちゃんはいたがあの人達も無責任だった。
自分の父さんは分からない。
前まで母が教えてくれた人が父さんだと思っていたが、17歳になった今。
いざ、その人の所へ行くと別の家庭があり、
私を見ようともしなかった。
私はその瞬間から、『孤独』を感じた。
悔しい以上の何者でもなかった。
その孤独を感じたのはつい最近の話だ。
私は、母が教えてくれた『父さん』のはずの人の住所をビリビリに破り捨てた。
綺麗に本棚に並べた本が何かの衝撃で倒れたような、そんな感覚が私の心を壊していった。