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攻撃準備

 10月22日 0721時 アブダビ アブダビ国際空港


 スタンリーとアル=カディーリは、米軍から密かにもたらされた情報の分析をしていた。それは、オマーン国内にある、ラスタック空港の航空写真で、そこにはJ-10、JF-17、Yak-141などの航空機がエプロンに駐機しているのが写っている上に、物資の輸送をしていたのか、Y-20やIl-76などの輸送機も滑走路上に見える。

「こいつが敵の一大拠点なのは、間違いないな。これ程大規模な航空部隊がいるのが確認できたのは、これが初めてだ」

 スタンリーは写真をルーペを使って、細部まで何も逃さないように何が写っているのか虱潰しにしている。

「ここを潰せば、敵に大打撃を与えることができるな。だが、問題は、敵の防備がかなり強固だということだ」

「ああ。どんな作戦がいいか、しっかり考える必要がある。流石に対空兵器がたくさん配備されているだろうから、航空攻撃にもリスクがある」

「ちょっといいかな?」

 アブダビ臨時基地を取り仕切っている、マームード・アル・アリー中将が言った。

「何でしょう?」

 アル=カディーリが答える。

「何も航空部隊だけで攻撃する必用は無い。陸上部隊も同時に送り込んでみるのも手だ」

「陸軍は承認するでしょうか?越境する必用がありますよ」

「それは私が何とかしよう。国防部もこの基地の存在を昨日、知ったようだ。情報部によれば、これが敵の拠点であることに間違いは無い。ここを攻撃して壊滅させれば、奴らには大打撃になるはずだ。そうなれば、敵の継戦能力は一気に低下するだろう。降伏に追い込む事もできる。問題は、オマーンにまた空白地帯ができてしまうことだが・・・・・・」

「もしそうなって、またあなた方を攻撃するような奴らがやって来たら、また我々を呼んでください。それよりも、ここを攻撃する計画を考えましょう」


 C-17がディエゴガルシア島から飛んできた。例によって、KC-10Aが給油支援をして、Su-27SKとF-15C、F-15Eが護衛に付いている。ここ数日で、大量の兵器や物資を空港に運び込んでいた。どうやら大規模な作戦が展開されるだろう、という噂が流れた。ウェポンローダーにはAGM-158やAGM-154などの長距離攻撃兵器、AGM-88Eなどの対レーダー兵器がたくさん積まれている。更に、他の傭兵部隊もやって来た。KC-30AやKC-10Aで空中給油をしたり、C-17AやC-5Bで物資の輸送を行うなど、主に軍や傭兵部隊、PMCに対して後方支援を行う連中だ。そして、それを取り仕切っているのは、スタンリーの現役時代からの友人だった。

「随分大量に火薬を持ち込んだな。また派手にやらかす気か?」

 "アーセナル・ロジスティックス"の司令官、ハーバード・ボイドはスタンリーに話しかけた。彼らは武器を運ぶ他、後方での空中給油支援も買ってでた。

「それにしても、作戦中の空中給油までしてくれるとは。危険だと言ったはずだが・・・・・」

「なあに。そんなのいつだって同じだし、わかりきったことだよ。護衛機無しでアフガニスタンやタジキスタンの上空を飛んだことなんて、数えきれないくらいあるさ。呼んでくれたら、いつでも、どこだって飛んできてやるさ」

 やがて、原田とリー・ミンが歩いてきた。

「司令官。攻撃計画のことで、アル=カディーリ大佐から話があるようです」

 リー・ミンはサッと敬礼をして話しかけた。

「わかった。少し待ってくれと伝えてくれ」

 二人はそのまま来た道を戻っていった。一方で、ボイドはその様子を見てニヤニヤしている。

「二人とも、お前にはちょっと若すぎないか?」

「おいおいおい。部下だぞ」

「ほう」

「こんな老体には、あの子たちは興味は無いさ。おっと、手を出したら、うちの戦闘機飛行隊長にお前の輸送機を全部撃墜させるからな」

「そいつはいい。そうなったら、お前に請求書を送ってやるよ」

「お前が生きていたらな」

 やがてボイドは、スタンリーに右手を差し出した。

「生きて帰ってこいよ。そうじゃなきゃ、大事な顧客が減る」

「ああ」

 スタンリーはボイドの手を握った。


 10月22日 0743時 UAE・オマーン国境地帯


 BMP-3やルクレール、フォックスNBC装甲車などが集結し始めた。G6自走榴弾砲も砲撃陣地を作り始め、AH-64DやUH-60Lが臨時の補給基地に着陸する。兵士たちは、攻撃のための最終チェックの開始を始め、攻撃の準備を始める。まずは、アパッチで低空飛行して国境を越え、敵のレーダーサイトを一斉に攻撃する。そして、穴が空いた所に戦闘機を突入させ、上がってきた敵の迎撃機を排除しつつ、空爆を開始。制空権を完全に握った所で、空挺部隊とヘリボン部隊を投入し、敵の基地を制圧する、という作戦だ。


 UAE陸軍の特殊部隊が、バギーやバイクを使い、密かに国境を越えた。国境警備隊がいるはずの駐屯地はもぬけの殻で、拳銃1丁すら置かれていない。兵士たちはトラップに気をつけながら様子を調べたが、それらしきものは一切見つからなかった。特殊部隊の兵士たちは、そこら中の景色の写真を撮り、詳細な情報を司令本部へ送った。それにより、より綿密な作戦を立てることが出来た。

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