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Naval Strike-2

 10月17日 0723時 オマーン湾上空


 コルチャックのSu-27SKMのレーダーが敵機を捉え、データリンクで味方機にその情報が送られた。距離130nm、マッハ0.5で海面近くを飛んでいる。敵機は複数いるようだ。

「"ウォーバード4"から"ウォーバード1"。敵のデータは確認したか?」

『"ウォーバード1"から"ウォーバード4"へ。データ確認済み。低空で飛んでいる小目標が8つ。間違えないな?』

「そいつがターゲットだ。こっちはもうすぐ射程内に入る」

『了解"ウォーバード4"。敵と判明次第、射撃してよい』

 

 スタンリーは戦況を観察していた。こっちから指示をする間も無く、戦闘機飛行隊は攻撃態勢に入り、S-3Bは既に魚雷を放った。普通、指揮官というものは―――特に、指揮所にいてかつ、現場の戦況が把握できている場合は―――傍目八目とも言うべきか、部下に色々と指示を出したくなるものである。しかし、それは単に現場を混乱させるだけだと彼は判断し、黙って観察するだけに留めておいた。特に、現場が混沌としている、今のような場合は。


 10月17日 0725時 オマーン湾


 テロリストのフリゲートとUAE海軍の艦船との間で戦闘が開始された。ミサイルを使うには、お互い距離が近すぎるため、昔ながらの―――とは言え、兵器自体はハイテク化されているが―――砲撃戦となった。水柱が幾つも連続して発生し、その度に視界が塞がれる。狭い湾内で砲弾が飛び交い、そのうちの1発が、テロリストに擬装貨物船に命中した。しかし、かなり大型の船だったため、喫水線の上に穴が空いただけで、それ以上のダメージにはならなかった。その隣にいた蘭州級フリゲートが砲塔を回し、UAE海軍艦船を狙おうとする。が、スクリューと艦尾にS-3Bが放った魚雷が命中し、爆発した。蘭州級は、一瞬、前かがみになるように動き、その後は艦尾の喫水線の下に穴が空いたのか、船体後部から沈んでいく。その一方で、UAEの哨戒艇が砲弾の直撃を受け、爆発する。これ程大規模な海戦が起きたのは、恐らくはフォークランド戦争以来であろう。擬装貨物船の一部からはFH-70やM777などの155mm榴弾砲が立ち上がり、砲撃を開始した。


「おいおいおいおい。こいつはまた・・・・・・」

 バリー・ベックウィズは、貨物船から榴弾砲が立ち上がるのを見た。全部で8門。おまけに、VADSや3M47グブカ対空ミサイルシステムも姿を現した。まるでアーセナル・シップである。

「"ジョーズ01"より全機へ。"ジョーズ01"より全UAE・ウォーバーズ連合部隊へ。貨物船から対空兵器や榴弾砲が出てきた。繰り返す。貨物船から対空兵器や榴弾砲が生えてきたぞ」


 パトリック・コガワは巧みにYak-38の追撃をかわし、対艦ミサイルの攻撃ポイントへ向かった。後ろでは佐藤のF-15Cが援護位置に付いている。コガワはハープーンの射程内に広州級駆逐艦を捉えた。

「ターゲットロック・・・・"ウォーバード3"ファイア!」

 2発のハープーンが発射され、海面ギリギリの所を飛行し始める。続いて、同じターゲットにヒラタがAGM-119ペンギン空対艦ミサイルを発射した。

「"ウォーバード2"、対艦兵装なし。RTB」

「"ウォーバード3"、対艦兵装なし」

「"ウォーバード1"了解。援護する」

 F-15C、F-16CJ、F/A-18Cは艦船からの対空攻撃を避けるため、海面近くを飛行しながら基地へと向かっていった。


 10月17日 0731時 オマーン湾


 S-3Bが投下した魚雷がソブレメンヌイ級駆逐艦に命中した。大きな水柱が2回、立て続けに上がり、船体が傾いていく。その傍らで、敵艦船に近づきすぎたミラージュ2000Cがコールチク近接防御火器システムの犠牲になった。が、パイロットは運良くパラシュートで脱出した。既に海上には、破壊された航空機や艦船の破片や、それから漏れだした油が漂っている。


 貨物船から離陸したフォージャーに、Su-27とMiG-29が一斉に襲いかかった。ドッグファイトは挑まずに、BVR-AAMを使って攻撃した―――直線的にしか動けない戦闘機は、VTOL戦闘機に対して非常に不利であることは、フォークランド戦争で証明されている。

「"ウォーバード5"から"ウォーバード4"とへ。これが失敗したら、一撃離脱しろ!間違っても奴らと絡むな!」

『了解"ウォーバード5"』

 そう言っているうちに、R-77が敵機に命中し、フォージャーが空中で燃え上がる。VTOL機はそのまま真っ直ぐオーサ級ミサイル艇の上に落ちていき、対艦ミサイルや燃料などに引火させた。


 シュナイダーは高速で飛びながら、標的を探していた。後ろにはF-15Eと対艦ミサイルを搭載したUAE空軍のF-16Eが6機、付いてきている。すると、ロイ・クーンツから無線が入った。

『"ウォーバード6"と"ウォーバード7"へ。こちら"ジョーズ01"。今から指示する標的を攻撃してくれ。これをやっつけない事には、奴らに反撃する力が残してしまう』

「了解だ。で、何をやればいい?」

『待ってろ。今、送る』

 ラッセルはデータリンクの表示を確認すると、唖然となった。

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