表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/71

Naval Strike-1

 10月17日 0712時 オマーン湾 UAE領海内


「航行中の貨物船とフリゲートへ、こちらはUAE海軍だ。貴船には密輸品を載せている容疑がかかっている。よって、国連安全保障理事会決議第1540号に基づき、臨検を行う。今すぐ停船せよ。さもないと、貴船のブリッジを全て破壊する」

 UAEのUH-60とAH-64D、AS-532SCがホバリングしながら容疑船の上空を飛行している。また、周囲には、ミサイル艇が遠巻きに囲み、更に後方にはコルベットも控えている。容疑船の船団は、貨物船、軍用の補給艦、更には護衛なのか053H型フリゲート艦やネウストラシムイ級フリゲートからなっている。

「航行中の貨物船とフリゲートへ。こちらはUAE海軍だ。今すぐ機関を停止しなければ、攻撃する」

 その警告を本気だということを示すため、エグゾセを2発、翼の下に吊るしたミラージュ2000Cが2機、低空で飛行した。やがて、全ての船団は機関を停止した。

「ご協力感謝する。これより、武装した兵士が降りるので・・・・・」

 しかし、敵は協力するどころか、対空ミサイルを発射してきた。


「クソッ!回避!回避!」

 ツァハレムはフレアを撒きながら、間一髪のところでミサイルをかわした。UAE空軍のアパッチも、すんでのところで助かったようだ。

「この野郎!」

 ベングリオンはロケットポッドの安全装置を解除して、2.75インチロケットを発射した。成形炸薬弾がコンテナや船体を破壊する。やがて、貨物船を覆っていたシートが次々と剥がされ、対空ミサイルのランチャーや対空機関砲が顔を覗かせる。

「畜生!撃て!撃て!」

 アパッチが一斉にロケット弾、ミサイル、機関砲弾を貨物船やフリゲートに浴びせ始めた。臨検部隊を乗せたUH-60やAS-532は、対空砲火を避けるために船から離れた。

「おい!あれを見ろ!」

 ツァハレムは、目の前の光景に呆然となった。なんと、貨物船からYak-38やKa-52、WZ-19などが一斉に離陸してきたのだ。

「ヤバイ!ホーカムとフォージャーだ!全機、退避!退避!」


 10月17日 0715時 オマーン湾上空


「クソッ、だいぶ混乱しているようだな。何があった?」

 スタンリーはレーダー画面を見ながら言った。味方機が、一斉に臨検対象の船舶から離れ、一斉に散っていく。

「貨物船からVTOL機が離陸したようです。臨検部隊は一旦離れ、安全な・・・・」

 リー・ミンがそう言った途端、UAE海軍のヘリの反応が1つ消えた。

「なんてことだ!早く戦闘機を向かわせるんだ!ヘリだと太刀打ちできん!」


「ウォーバードリーダーよりウォーバード全機へ!急ぐぞ!」

 F-15Cを先頭に、戦闘機部隊がアフターバーナー全開で飛行している。ここから貨物船の上空まではほんの数分だが、ヘリ部隊からしてみたら数秒でも長すぎる。

『クソッ!まさか貨物船にVTOL機とは・・・・・』

 カジンスキーは信じられないといった様子だ。

『フォークランド戦争でイギリスがやったやり方だな。空母が足りないから、ハリアーを擬装した貨物船やコンテナ船に搭載して、VTOLで出撃させた。そいつを真似したな。向こうは空母を持っていないから、甲板が平らである程度広い貨物船を用意して、VTOL機やヘリを搭載した』

 一方で、コガワが冷静な様子で敵の作戦を分析していた。

「まさか本当にやるとはな・・・・行くぞ」


 10月17日 0718時 オマーン湾上空


 アパッチやブラックホーク、オスプレイ、シースタリオンがYak-38の攻撃から逃れるため、一斉に低空へ逃げた。幸いなことに、Yak-38にはレーダーが装備されていないため、目視範囲内から逃げることさえできれば、安全といえる。だが、AA-8や機関砲が放たれ、UH-60が2機、撃墜された。

「クソッ!赤外線ジャマーオン!フレアを撒け!」

 ヘリは、機体性能限界ギリギリの機動で飛びながら、ミサイルや機関砲の弾幕から逃れようとする。ベングリオンは機関砲を放ち、WZ-19を撃墜した。やがて、ついさっき飛んでいったUAE空軍のミラージュ2000が戻ってきてエグゾセを放ち、貨物船を護衛していたフリゲートを大破させた。UH-60Lが052C級から放たれたHHQ-9Aの犠牲になり、ヘルファイアミサイルが貨物船の一部を吹き飛ばす。もはや臨検は意味を成さなくなり、貨物船とその護衛船団に対する攻撃作戦へと移り変わっていった。


「ターゲット確認。データリンクオン」

 海上を哨戒飛行していたS-3Bが攻撃態勢に入った。再度、潜水艦の存在の有無を確認したが、ソノブイ、MAD、ESM全てにおいて反応は無いが、油断は禁物だ。しかし、こんな浅いところにやってくる潜水艦は、まず、いないだろう。

 ロイ・クーンツは慎重に哨戒機を水面ギリギリで飛行させた。赤外線ジャマーを作動させ、フレアの残弾数を確認する。

「ターゲット12時方向。距離20マイル。魚雷発射用意・・・・・」

 モーガン・スレーターは翼に吊り下げたMk50のうち1発を選んだ。しかし、まだ射程内では無い。

「発射5分前。準備完了か?」

 クーンツが確認をする。

「準備よし!」


 S-3Bは暫く海面近くを低空を高速で飛行した後、翼の下に吊り下げた魚雷のうち1つを海に投下した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ