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Night Watch

 ディエゴガルシア島 10月2日 1607時


 戦闘機が次々にアプローチを開始した。空戦訓練の後、暫く周辺を飛行してから空中給油の訓練を行ったのだ。途中、民航機の飛行コースを避けたため、予定よりもやや帰還が遅くなった。日が傾き始めエプロンに並んでいる輸送機が夕日を浴びてオレンジ色に輝いている。AH-64DとCV-22がトーイングカーに格納庫へと引っ張られていく。夜間アラート待機に入るSu-27とMiG-29はすぐに整備員によるチェックを受け、R-73とR-27の実弾を搭載され、タンクローリーから燃料を補給され始めた。一方、深夜アラート待機となるF-15CとF-15Eは更に細かいチェックを受ける。だが、スクランブル発進は、5ヶ月前にアゼルバイジャンの密使が来た時から一切、起きていない。アラート機は、ディエゴガルシア島から250マイル半径に国籍不明機(アンノウン)が侵入してきた時に上げるようにしている。レーダー施設では24時間体制で周辺を飛ぶ飛行機を監視し、稼働するゲパルト自走対空砲、PAC-2、MIM-72の数を増やす。しかし、こんなインド洋のど真ん中の忘れ去られた飛行場にわざわざ偵察に来るような輩に出会ったことは1度だけだった。


 コルチャックとカジンスキーはデブリを終えると、格納庫に直結した小さな部屋に入った。アラート待機である。格納庫でくつろいでいたハッセウィンドは飼い主を見つけると、すぐに駆け寄ってきた。

「俺が飛んでいる時にお利口さんにしていたか?ハッセ。すぐに飯にするからな」

 コルチャックは犬用の餌皿を2つを持って、一度、ハンガーから出てからすぐに戻ってきた。片方には好物であるビーフジャーキーが、もう片方には牛乳が入っている。

「ようし・・・座れ」

ハッセウィンドはその場にしゃがむ。

「待て・・・待て・・・・よし、いいぞ」

飼い主の合図でラブラドル犬はようやく餌にありついた。

「なんとまあ、賢い犬だな・・・・」

その様子を見ていたカジンスキーが言う。

「まーあ、こんな所じゃ軍用犬は余り必要無さそうだがな。敵が来るとしたら、空からか海からだな」


 インド洋 10月2日 1619時


 上空でS-3Bヴァイキングが飛び回り、洋上監視任務に付いている。コールサインは"ジョーズ01"だ。パイロンにはMk-48魚雷とシーイーグル対艦ミサイルを搭載して、敵艦船の侵入に備えている。ディエゴガルシア島のように、島1つを完全に自分たちの所有地にしてしまい、要塞化しているPMCは多い。例えば、ギリシャのイオス島はエーゲ海や地中海の警備を行っている傭兵部隊の所有地になっているし、インドネシア政府は国内の幾つかの無人島を自国の警察や軍と契約しているPMCに貸し出している。

 ヴァイキングのコックピットでロイ・クーンツがコックピットのモニターに映ったFLIRの画像を確認した。辺りはかなり暗くなっていて、広い海には漁船1つ見当たらない。"ウォーバーズ"は海からの攻撃にも備えており、洋上監視用にこのヴァイキングと着上陸阻止のために島の沿岸部にスウェーデン製のRBS-15KA地対艦ミサイルを配備している。

「これだけ夕方から夜にばっかり飛び回っていると、体内時計がおかしくなりそうだぜ」

バリー・ベックウィズが相棒に話しかける。

「おまけに、他の連中は海外出張かよ。俺らが出て行く幕がなさ過ぎる」

しかし、機長のロイ・クーンツはそうは思わなかった。

「だがな、俺らがしっかりやらないと全滅の恐れがあるからな。どこから巡航ミサイルを搭載した潜水艦が襲ってくるかもわからんし」

「そうなんだよな。おーい、アラン。何か見つかったか?」


 アラン・マッキンリーはMADの表示画面を見ていた。地球の磁気を表すモニターの緑のラインは平坦で何の変化も見られない。もし、潜水艦の真上を通ったならば、このラインが心電図のように乱れる。

「何もねえよ。かと言って、見つけた潜水艦を勝手に攻撃する訳にもいかないだろ」

「それもそうだな。だが、俺らの島から12海里以内に入ってきたらそいつは厄介なことになるがな」

クーンツが答える。

「ところで、海上の方はどうなんだ?」

「こっちも何もないよ。後2時間ばかり飛んだら帰投(ビンゴ)だな」

「だとしたら、晩飯は戦闘糧食(レーション)じゃなくて、まともなものが食えるという訳だ」

「ふう。レトルト以外の飯が食えるのは久々だぜ」


 ディエゴガルシア島 管制塔 10月2日 1631時


「どうだ?様子は?」

 スタンリーが管制官に話しかける。レーダースコープに映っているは、殆どが旅客機で、S-3Bを表す輝点にはJWS01と表示されている。

「今のところ変わったところは無いですね。定時連絡も"異常なし"です」

「今日は早めに帰らせてやるとするか。パトロールの度にMREばかりだと奴らも嫌になるだろ」

「了解です。ジョーズ01、帰投せよ」

『了解。帰投する』

すみません。またキャラクターを急遽増やしました。基地が島なのを考えると、洋上監視・対潜哨戒用の機体が必要かな?更に、救難隊員が必要ではないかと考えた結果です。

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