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ブリーフィングとフライト

 ディエゴガルシア島 10月2日 1330時


「では、諸君。来週から始まる演習の説明をしよう」

 スタンリーは会議室に集まったメンバーを見回した。"ウォーバーズ"は8日後に行われる遠征と演習の簡易ブリーフィングを始めた。全員が席に座り、スクリーンを見ている。

「今回はアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ空軍と合同演習を行う。正規軍との演習は初めてではないが久しぶりだ。気を引き締めるように。内容は対地攻撃、空戦。それから実弾射撃訓練だ。対地実射は地上目標として、砂漠に廃車等を置き、対空射撃は無人標的機を使う。全部で日程は12日間。その間に我々の力を見せつけてやろう。では、装備品の説明をしてもらおう。リー?」

 リー・ミンが立ち上がった。

「持っていく装備です。F/A-18とF-16、タイフーン、ストライクイーグルはターゲティングポッドと各種対地兵装。F-15C、フランカー、ファルクラムの空対空兵装もそれぞれ全般を持ち込みます。輸送機に各種機材を入れて、空中給油機、AEWは現地へフェリーして、アパッチとオスプレイは貨物機をチャーターして運びます。その間、ここは最低限の人員で運営となります。尚、主力が出張している間、ここの防衛はユウのコレクションと警備兵で行ってもらいます」

 リー・ミンは佐藤の方をチラリと見たが、彼は肩をすくめただけだった。佐藤はL-39とアルファジェットを武装出来る状態で個人的に6機ずつ持っている。

「着任早々に演習となってしまってすまないが、正規軍部隊との演習はそうそう機会があるわけで無いので、参加を断る訳にはいかない。それまでに、なんとか他の仲間との連携を確かめてくれ」

 スタンリーは新たに着任した仲間たちの方を見た。

「司令官」

 シュナイダーが手を上げた。

「そうしたハンス?」

「よろしければ、今日の夕方にもここにいる全員と訓練飛行をしたいのですが。どうでしょう?」

「私は異存は無いが、実際に飛ぶ彼らがイエスと言ってくれるかによるな。どうだ?」

 佐藤は立ち上がると「僕は問題無いですよ。演習までに、何らかの連携を確かめておいたほうがいいでしょう。どうだ?」と言って、他の仲間の方を見た。

 すると、他のメンバーは一斉に机を手のひらで叩いた。同意の合図だ。

「よしわかった。では、これが終わったら、軽く編隊飛行でもしてもらおう。だが、先に日程を知らせておかないとな。ケイ?」

 原田が立ち上がった。

「到着は現地時間の午後です。それから、全体を通してのブリーフィング。訓練は翌日から開始されます。2対2の空戦訓練から4対4の空戦訓練。対地攻撃と、ストライクパッケージ護衛、不審機の要撃、民間機のエスコート、空中給油、近接航空支援と多岐に渡ります。よって、ほぼ全ての兵装が必要になります。予想消費量は数千トン以上と計算されます」

「そんなに使って問題ないのか?備蓄弾薬は?」

 ラッセルが訊く。

「今回は在庫処分です。2割近い備蓄兵装の使用期限が迫っているため、それのほぼ全てを使います」

「そいつはすげえ」

「では詳しい日程を。2日目は兵装を搭載しない型式での空戦及び護衛訓練。3日目は空対空兵装実射です。この訓練では無人標的機を撃墜してもらいます。4日目は対地攻撃訓練。これにはスモーキーSAMを使用するため、十分注意して下さい」

 スモーキーSAMとは訓練用のフェノール紙や発砲スチロールでできた地対空ミサイル(SAM)のことで、アメリカ軍での制式名称はDGTR-18Aだ。速度が遅く、素材自体が柔らかいので、飛行機に当たっても最小限の被害で済むようになっている。

「5日目は要撃演習とストライクパッケージ編成。6日目は休日です。この日程を2回セットでこなします。以上。他に質問はありますか?」

 今度は全員が拳を握って机を叩く。"質問無し"

「以上で演習のブリーフィングを終了します。続いて、今日の訓練飛行のブリーフィングに入ります」


 リー・ミンが机上のパソコンを操作すると、スクリーンにディエゴガルシア島周辺の天気図が表示された。

「本日の天気図です。基地を中心として3400km四方においては雲は無し、快晴です。風は北北東から約3メートル。フライト日和ですね。海水温が7℃と若干低いので、耐水服を着てください。各自、緊急時の手順を確認し、民航機の状況に注意して下さい。進出許可エリアは各航空機の戦闘行動半径の7割までとします。内容は通常の空対空戦闘訓練と空中給油です。なので、機外搭載品は燃料タンクとサイドワインダーまたはR-73の模擬弾のみです。天気が急変するようであれば、訓練は打ち切り。安全を再優先とします。さて、青軍と赤軍の割り当てですが・・・・」

 再び、彼女がパソコンを操作する。"ウォーバース"が保有している戦闘機のアイコンが白で表示され、アメリカ製の4機が青色にロシア製とヨーロッパ製の戦闘機が赤色にそれぞれ変わった。

「このようなチーム分けをします。空中給油機は1機で、今日はジェリーたちに飛んでもらいます」

「待ってました」とクルーガーが言う。

「離陸は1445時を予定。時間は1時間から1時間半とします。トラブルが起きた場合はすぐに打ち切って帰還してもらいます。以上です。質問は有りますか?」

 無言。

「では、これで本日のブリーフォングを全て終了します。デブリは全機帰還次第、すぐに行います。以上です」

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