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天を刺す矢-3

 UAE・オマーン国境付近上空 10月10日 2341時


 コルチャックのSu-27をアル・ダフラ基地へ送り届けた佐藤のF-15Cが、E-737の護衛編隊に復帰した。燃料を予想以上に消費してしまったため、空中給油を受けたので若干、編隊への復帰へ遅れたが、問題になるほどでは無かった。E-737からは約25km程離れてF-15CとF-16CJ、MiG-29が右を、F-15Eが左を固め、やや遠方でF/A-18Cとユーロファイターが"ワゴンホイール"を描いて敵機を警戒している。AEWやタンカーは貴重品な上に、高価で市場にもそう流れているものでは無いので、そうやすやすと撃墜させる訳にはいかない。ましてや、自分たちの総司令官が乗っているとなると、尚更である。一度、戦闘機によるSEAD/DEAD任務は中止され、敵機の阻止・上空哨戒(CAP)任務に切り替えられた。しかし、地上部隊はそうもいかなかった。


 CV-22Bが低空でゆっくりと砂漠の上を飛び、その後ろからAH-64DやUH-60の編隊がついてきている。これは、より優れた航法装置を装備した特殊作戦/救難機に攻撃ヘリを先導させるという、アメリカ軍が湾岸戦争の時に使った戦法の一つである。今回のターゲットは、国境線沿いに展開している武装組織の機甲部隊だ。

「"アナコンダ1"へこちら"アナコンダ2"。もうすぐ無人機で探りを入れたポイントに到達する」

『"アナコンダ2"より"アナコンダ1"へ。ターゲットをレーダーで捉えた。データリンク、オン』

 先頭にいる"ウォーバーズ"のアパッチが捉えたターゲットの画像が、アブダビ空軍の他の攻撃ヘリに送信された。そして、それぞれのアパッチはT-80や99式G戦車、05式水陸両用戦車などにロックオンして、AGM-114Kロングボウ・ヘルファイアを次々と発射した。武装勢力の機甲部隊の戦車が装甲車が爆発し、兵士が丸焼きにされる。

「まだいるぞ!ZSU-23-4を確認!オスプレイを下がらせろ!」

 ヘリの攻撃に気づいた武装組織の対空砲が曳光弾を発射し始めた。真っ暗な夜空を真紅の筋が絶え間なく照らす。

「サンダー3被弾!被弾!」

「反撃だ!撃て!撃て!」

 UH-60が煙を吐いて後退し、オスプレイは飛行機モードで離脱を図る。アパッチは30mmチェーンガンで反撃し、輸送ヘリの援護にあたる。

「後退!後退!支援部隊を呼べ!」


 UAE上空 AEW"ゴッドアイ" 10月10日 2347時


「ヘリ部隊が苦戦している。援護出来そうな部隊はあるか?」

 スタンリーは、近くを飛行しているアメリカ空軍のE-8C"J-STARS"からデータリンクで送られてきた画像を見ながら言った。

「対地攻撃兵装を持っている飛行機はこれだけです。一度、帰還させて再武装させるてもありますが・・・・」

 原田はデータ画像を調べて言った。そこには、データリンクで表示された、味方の戦闘機の武装状況が映っている。

「残念ながら、その余裕はない。爆弾や対地ミサイルを残している機は?」

「F-16が2個編隊とミラージュ2000の1個編隊がなんとか・・・・」

「それを防空陣地制圧に向けよう。それから、我々の戦闘機も一度、兵装転換させて攻撃に向かわせる。給油機とAEWの護衛は、こっちの飛行機は2機もいれば充分だろう。他にも護衛はいる」

「わかりました。ゴッドアイよりウォーバード2へ。護衛任務は終了。一度基地へ帰還し・・・・・・」


 F/A-18C、F-16CJ、F-15E、タイフーンの4機が編隊から離れてアル・ダフラ基地へと向かった。意外と敵の地上部隊はしぶとく残っていたらしい。上空の方は、今のところは敵機が接近している様子はないが、油断は禁物だ。しかし、ここでヘリ部隊を失うと、今後の作戦に大きく響くことになる。対空火器は徹底的に攻撃し、完全に排除する必要があった。


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