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Wild Weasel&Bombing-1

 オマーン国内 10月10日 1917時


 F-16Eが一斉にAGM-88を放った。対レーダーミサイルはマッハ2.9の高速で飛んでいき、オマーンのレーダー網を破壊していった。しかし、それに対して敵も手をこまねいていた訳では無い。対空ミサイル陣地から、一斉にSA-10やHQ-9が発射され、F-16やミラージュ2000が数機、犠牲となった。しかし、パイロットは一人を除いて脱出に成功し、即座に救難信号が送られた。


 オマーン国内 10月10日 1921時


「アレだ。SA-12が4基あるな」

 ロスは双眼鏡で対空ミサイル陣地を確認した。周りには兵士が数名いるようだ。他に対空ミサイルは見当たらない。

「取り敢えず、破壊してしまおう。SMAWを使おう」

 バークはB-300と呼ばれるイスラエル製の対戦車ロケットの発射機とRPO-Aという焼夷ロケットの発射機とB-300ロケットランチャーを取り出した。敵兵ごとまとめて片付けるようだ。

「こいつは凄い。バズーカか」

 ロスはB-300のロケット発射機を受け取って狙いを定めた。バークは再装填の準備を始め、クラークはRPO-Aの狙いを定める。

「準備はいいか?3,2,1,発射!」

 3発のロケット弾が真っ暗な砂漠を明るく照らしながら標的へと飛んでいった。2発のB-300の成形炸薬弾はミサイルの発射機を直撃し、PRO-Aの焼夷弾は近くにいた敵兵を炭化させた。3人は次々とロケットを発射して、SAMサイトを壊滅させた。

「さて、これだけじゃ無さそうだな」

 ロスはバギーからRQ-11レイブンを1機、取り出してタブレットにUSBケーブルで繋ぎ、データを送り始めた。これで、レイブンは自動的に決められたエリアを飛び回って偵察をするが、勿論、状況によってはタブレットで操作することもできる。

「テクノロジーってのは素晴らしいな。お陰で、俺たちが無用な危険を冒さずに済むからな」


 オマーン上空 10月10日 1941時


 補給を終えた戦闘機部隊が再び越境を始めた。今度はレーダーサイトやSAM陣地が破壊されているので、すんなり国境越えはすんなりいった。しかし、今度は地対空兵器ではなく、戦闘機部隊が待ち構えていた。


「マッハ1.7で飛行中の目標が8つ。敵戦闘機です」

 原田はレーダースコープを覗きこんだ。E-737だけでは管制をしきれないので、2機のアブダビ空軍のE-2Cがやや前方に展開している。

「我々の部隊は間に合わんな。上空のミラージュとF-16をそっちに向けよう」

 スタンリーは少々危険な賭けに出た。このまま真っ直ぐ戦闘機をその空域に向かわせると今度はCAPに差し向ける機が少なくなり、空白が出来てしまう。そこに敵機がやってきたら、今度は自分たちが危険な状態になる。

「そいつは感心できませんね。我々はどうなるんです?」

 コックピットからハッサン・ケマルの声が聞こえた。ここまで前線近くへAEWを飛ばした経験が無かったため、パイロットが不安になるのも無理は無い。

「ECMと赤外線ジャマーでなんとかするしかないか。チャフとフレアは・・・・充分にある」

 隣で操縦しているハリー・トムソンは防御システムのチェックを始めた。AEWやAWACSは通常、前線まで出て行くことは無く、後方で支援をするのだが、今回ばかりは少々その原則を"曲げる"必要があった。

「仕方がない。ニコライとユウを呼び戻せ。対地攻撃ができる機体を前線から下げる訳にはいかん」


 F-15CとSu-27が編隊を離れ、AEWの護衛に向かった。しかし、今度は爆撃に向かう攻撃機の守りが手薄になってしまうが、AEWは貴重品かつ高価であり、また司令塔でもあるため簡単に失うわけにはいかない。


 オマーン上空 10月10日 1946時


 アブダビ空軍の戦闘機が敵機を捉えた。F-16が一斉にAMRAAMを発射し、Su-22やJ-6を撃墜する一方で、対地攻撃に向かっていたホークやミラージュ2000が犠牲となる。しかし、一部の生き残った敵機が短距離空対空ミサイルと機関砲の射程に入ってきたためドッグファイトになった。


 カジンスキーのMiG-29がR-73を放ってJ-8Ⅱを葬り去り、F-16FがJF-17に撃ち落とされる。真っ暗な夜空にアフターバーナー、ミサイル、フレア、そして爆発し、堕ちていく戦闘機が人工的な流星を散らす。戦闘はまだ始まったばかりだった。


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