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越境攻撃-2

 オマーン上空 10月10日 1556時


 戦闘機部隊は国境を超えた。オマーン軍が動いている気配は無い。しかしながら、オマーン軍とは別の武装組織がいるのは確かだ。E-737のレーダーがそれを捉えていた。

「敵機だな。12時方向、全部で4機。今度はなんだろうか・・・・・」

 スタンリーは先程から、この攻撃に対する反応が妙だと感じ始めていた。普通なら、これだけのストライク・パッケージを侵入させれば、あらゆる空軍基地は蜂の巣を突いたような大騒ぎとなり、次から次へと戦闘機が離陸してくるはずだ。だが、この攻撃に対する向こうの反応は、まるで様子を探っているかのようだ。

『オマーン空軍には思えないですね。あそこの空軍は、まるで稼働していなので。しかし、この速度は間違いなく戦闘機ですよ』

 シュナイダーもその反応を捉えているらしく、無線で交信する。

「わかった。IFFに反応しないか、攻撃を仕掛けてきたら排除しろ」


 "ウォーバーズ"、アブダビ空軍連合部隊に向かっていた戦闘機はFC-1とJ-10Bだった。ただ、このJ-10BはFC-20とも呼ばれる、パキスタンへの輸出仕様機で、こういった中国製の戦闘機は簡単に闇市場へと流れていったのだ。これらの戦闘機は、レーダーサイトが破壊されてすぐに飛行場から飛び立ったのだ。更に、後ろからは、武装組織がオマーン空軍から鹵獲したF-16もいる。


 オマーン上空 10月10日 1603時


「ターゲットロック、Fox1!」

 タイフーンがミーティア空対空ミサイルを放った。このミサイルは他の空対空ミサイルと違い、ラムジェットエンジンで飛翔するため、極めて高速である。ミサイルはまっすぐ飛んで、FC-20を直撃した。FC-1がR-77やMICA-EMの直撃を受けて爆発する。それにしても不思議なのが、何故か中国製やロシア製の戦闘機がここまで多いのか。しかし、考えている余裕はなく、すぐにまた違う敵機がやって来た。


 次々と敵機が現れた。FC-1やMiG-23、MiG-21もいる。殆どがロシア製または東欧製か、中国製の戦闘機だが、ミラージュやF-16、トーネードもいるため、IFFで慎重に敵味方を見極める必要があった。


「敵機、12時方向!交戦する!」

 佐藤はFC-1とJ-10の2機の戦闘機を同時にロックした。兵装選択画面でAAM-4Bを選択し、発射する。だが、こちらも幾つか損失が出た。ミラージュ2000が火を吹いて落下し、F-16Eが爆発する。あっという間に、上空は大混戦となった。


 オマーン・UAE国境 10月10日 1609時


 ヘリボン部隊が国境線を超えた。敵のレーダーに捉えられるのを防ぐため、地面スレスレを飛ぶ。UH-60やCH-53、CV-22の周りをAH-64Aや64Dが護衛する形を取っている。しかし、敵となるヘリはAS-555フェネックくらいのもので、アパッチの敵になるようなものはない。寧ろ、危険なのは携帯式地対空ミサイル(MANPADS)を持ったゲリラである。岩陰、洞窟、建物など、様々なところから神出鬼没的に攻撃を仕掛けてくる上に、RPG-7もかなりの脅威となる。だから、できるだけ早い速度で飛び、攻撃を避けるようにする。


「こちら"アナコンダ"。敵機の様子はどうだ?」

 ベングリオンは司令部となっているE-737へ無線で訊いた。

『こちら"ゴッドアイ"。そちらに敵がいる様子は有りませんが、地上までは監視出来ないので、各自で注意して下さい』と、原田。

 ベングリオンは不満そうに唸った。勿論、ヘリにとって敵の戦闘機も脅威となるが、より低空で飛ぶので、どちらかと言えば、地対空ミサイル(SAM)の方が脅威度は高い。勿論、地上を監視できるJ-STARSと呼ばれるE-8C戦場監視機があれば良いのだが、航空戦力中心の"ウォーバーズ"では優先度が低い装備な上に、アメリカ空軍から退役する機体があるわけもなく、入手することはできない。そのため、地上を監視するレーダーとしては、AH-64Dに搭載されたロングボウレーダーだけが頼りだった。レーダーの出力を上げて、一度、捜索してみたが、脅威になりそうなものは見つからない。

「そろそろターゲットの上空だ。まずは、脅威になりそうなものを・・・・・」

 ツァハレムがそう言った所で、ミサイル警報がコックピットで鳴り響いた。

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