表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/71

69.魔人の領域


 翌朝。

 

俺たちは宿を出て、門へと向かった。

朝日が街を照らしている。

 

昨夜の祈りの火は消えていたが、広場にはまだ灰が残っていた。



門前にはすでに多くの人々が集まっていた。

 

街の人々が俺たちに気づき、道を開ける。

その先に、兵士たちが道の両側に並び立っている。

槍を掲げ、背筋を伸ばしていた。


俺たちはその間を進む。


「レオンハルト様!」


人々の声援が飛び交った。


「レオンハルト様……必ず、帰ってきてください!」

誰かの叫びが、背中に刺さった。



門前には領主が待っていた。

白髪の老人が、深く頭を下げる。


「どうか魔人を討ち、カルドナを……世界を救ってください」


声が震えていた。


「ええ、必ず」

レオンハルトが答えた。

真っ直ぐな声。

揺らぎのない、強い声。


門をくぐる。


レオンハルトが振り返り、一礼した。

「では、行ってまいります」


領主も深く礼をした。

人々が手を振っている。

その姿が、門の向こうに小さくなっていく。



俺たちは、再び北へ向かった。

ガルカが走る。

蹄の音が地面を叩く。


景色が後ろへ流れていく。

草原が続き、やがて荒野へと変わっていった。


「皆さん、聞いてください」

レオンハルトが声を上げた。


走りながら、全員を見渡す。


「数時間後、我々は瘴気の濃い危険地帯に突入します」

声が引き締まる。


「どんな危険があるかわかりません」


風が吹き、彼の金髪が揺れた。


「ですが──鬼塚さん」


レオンハルトが俺を見た。


「あなたは何もしないでください」



「は? なんでだよ」

俺が眉をひそめた。


「あなたは我々の切り札です」

レオンハルトが真剣な目で言った。


「万が一にも、魔人に能力を悟られるようなことがあってはならない」


「そういうことっすね!」

ジャックが頷いた。


「邪魔だからすっこんでてよね!」

悪態をつきサラが俺の隣に来た。


「あ、守ってあげるから大人しくしてて、ってことっす!」

ジャックが通訳する。


サラの顔が赤い。

なんで赤いんだ。


「リリィさんは鬼塚さんのサポートをよろしくお願いします」

レオンハルトが続ける。


「まっかせて!」

リリィがガルカの背で胸を張った。


「剛くん、守ったげる!」

 

リリィも俺の隣に来た。


「ちっ、わかったよ」

性に合わないが仕方ねぇ


ん?

サラとリリィ、今目が合ってたか?

火花が散った気がする。


「どんな敵が現れても、絶対に私たちが倒して見せます」

フィオラが静かに言った。

琥珀色の瞳が、前を見据えている。


「わかったよ」

俺は頷いた。

「任せたぜ」



数時間、北に走り続けた。


やがて──景色が変わり始めた。


昼間なのに、暗くなってきた。

曇っているわけじゃない。

空の色が、紫がかった灰色に染まっている。


うっすらと靄がかかっている。

空気が重い。

肌がピリピリする。


これが瘴気ってやつか。


「ひっ…嘘でしょヤバいんだけど!?」

「まだこんなに離れてるのに、この魔力量…。」

リリィの顔が青ざめている。


「相変わらずえげつない魔力放ってるっすね……」

ジャックも表情を曇らせた。


「俺は何もわかんねぇな……」

俺には、何も感じない。


魔力がないってのは、こういう時に困る。


「スピードを少し緩めて、警戒しながら進みましょう」

レオンハルトが指示を出した。


「ジャック、リリィさん、探知をお願いしますね」


「了解っす!」

「了解!」


二人が同時に答えた。



しばらく進むと──。


「前方、何かいるっす!」

ジャックが叫んだ。


靄の向こうから、影が現れた。


人型の、気味の悪いやつ。

灰色の肌。虚ろな目。


だが──いつもの瘴気の魔物とは違う。


「あー、あー……」


喋りやがった。

 

言葉覚えたての大人の男が発声練習してるみたいだ。

魔物のくせに人間の真似してるのか?


姿形は似ているが、何か意思を持っているように見える。

目が、こちらを見ている。

品定めするような視線。


「きっも!!」

リリィが叫んだ。



「いくぞ!」

レオンハルトが号令をかける。


「サンダーボルト!」

ジャックが呪文を唱えた。


雷撃が放たれる。

青白い光が走った。


だが──。


ひゅっ。


魔物が横に跳んだ。


「交わされた!?」

ジャックが目を見開く。


魔物は思い切りジャンプした。

空中から、こちらに迫ってくる。


レオンハルトを飛び越えて──。


サラを狙ってるのか?



シュパッ!


空中で、刃が閃いた。

フィオラが迎え撃っていた。

剣には炎を纏っている。

 

赤い軌跡が、空に格子みてぇに交差した―。


次の瞬間にはあいつの身体はもう細切れになっていた。

黒い粒となり、霧散していく。


「姐さん、お見事っす!」

ジャックが歓声を上げた。


フィオラが着地する。

赤い髪が揺れ、剣を鞘に収めた。


「少しだけ強くなってきてるみたい」

フィオラが静かに言った。


「気をつけて進みましょう」



「もしかして、こいつら聖の魔力に反応してるのかも」

リリィが言った。


「さっきの奴も、サラちゃん狙ってた気がする」


「なるほど、その可能性はありますね」

レオンハルトが頷いた。


「…今の、こっち見てた」

サラが身震いした。

顔が少し青い。


「守ってやろうか?」

俺が言った。


「あんたは引っ込んでればいいの!」

サラが睨んでくる。


でも、声が少し震えている。


「冗談だよ」

俺は笑った。



「気をつけて進みましょう」

レオンハルトが再び前を向いた。


紫色の空の下、俺たちは瘴気の領域を進んでいく。


靄が濃くなっていく。

視界が悪い。

空気が、さらに重くなった。


魔人に着実に近づいている。


 

その時──。


「待って!」


リリィが叫んだ。


「前方に強い魔力反応!」

 

【読者の皆様へのお願い】



ここまで読んでいただき、ありがとうございます! もし「面白かった」「続きが気になる!」と少しでも思っていただけたら



下にある【☆☆☆☆☆】から作品への評価をお願いいたします。



面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちもん大丈夫です!



ブックマーク登録もあわせてお願いします!



「評価」が更新の原動力になります。何卒よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ