54.初めてのAランク
さらに半年が経過した。
相変わらずパーティは安定しない。
それでも、多少はできる奴が入ってきた。
戦士ガルド。
魔法使いのセリア。
盾役にウォード。
しばらくは、このパーティで依頼をこなしていた。
ガルドもセリアも、勇者パーティの名声欲しさで志願した口だろう。
全く敬意は感じられない。
会話も最低限。
僕の指示にも、不満そうな顔をする。
まぁいいよ。
好きに使わせてもらうさ。
⸻
そこそこの依頼をこなし、僕のレベルも上がってきた。
ウォードが引き付けている間に、ルナの補助を受けて総攻撃。
単純だが、僕の力が上がった今、馬鹿でもわかるこのシンプルな作戦は効果的だった。
『経験値+450』
『経験値+500』
数字が積み重なっていく。
そうして僕は、半年かけてようやくAランクに到達した。
異世界転生して2年。
ここまで長かった。
レベルは50。
『神崎ハルト Lv50』
ステータス画面を眺める。
数字が並ぶ。
確かな成長。
さすがにAランクだ。
僕の実力が証明されて、くだらない噂をする馬鹿もいなくなった。
⸻
早速、Aランクの依頼を受けてみた。
魔獣討伐。
報酬も高い。
(これなら、楽勝だろ)
でも――。
まぁ、懸念はしていたけどね。
盾役のウォードが、Aランク依頼だと全く使い物にならない。
魔獣の攻撃を受け止められず、すぐに吹き飛ばされる。
依頼は失敗。
最悪だ。
盾役が10分も持ちこたえられないとか、話にならない。
⸻
酒場で会議した。
テーブルを囲んで座る。
ジョッキが並ぶ。
でも、誰も飲んでいない。
「ウォード、もういいよ。君クビ」
淡々と告げた。
「そんな……俺の役割は十分果たしてただろ!」
ウォードが立ち上がり、拳をテーブルに叩きつける。
「盾のお前がへなちょこだと、僕らの身が危ないんだよ」
冷たく答える。
「いちいち言わないとわからない?」
ウォードの顔が歪む。
「Aランクの空気を少し吸えただけでも感謝して欲しいね」
「もういいだろ? お疲れ様」
「くそっ!!」
ウォードがドアを蹴破って出ていった。
バン!
扉が壁にぶつかる音。
足音が遠ざかる。
「おいおい、どうすんだよ盾役」
ガルドが呆れた声を出す。
「ギルマスがまた、いい奴当てがってくれるでしょ」
軽く答える。
「各自、しばらく休養ね」
そう言い残して、僕は図書館へ向かった。
もちろん、ルシアンに会いに。
⸻
図書館の扉を開ける。
古い本の匂い。
静かな空間。
いつもの席に――ルシアンがいた。
「ルシアン」
「やあ、ハルト」
僕たちは、もう気軽に名前で呼び合っていた。
「聞いてよ。前々から怪しかった盾、クビにしようとしたらゴネちゃってさ」
椅子に座りながら話す。
「酒場のドア蹴破って出てっちゃった」
「それは大変だったね」
穏やかな微笑み。
「彼の実力では、これからの戦いにはついてこれなかった」
「君の英断だよ」
「へへ、ありがと」
胸が温かくなる。
「あと、レベル50の新しいスキルは試せたよ」
「そっか。それはよかったね」
ルシアンが興味深そうに目を輝かせる。
「興味あるな。詳しく教えてよ」
「うん!」
たわいもない会話。
でもその時間は、確かな安らぎだった。
ルシアンと話していると、すべてが肯定される。
僕は間違っていない。
そう思える。
⸻
図書館を出て、街を歩く。
夕暮れの街並み。
オレンンジの光が建物を照らす。
路地を抜けようとした時――何やら騒ぎが聞こえた。
「オラァ!」
怒鳴り声。
(……喧嘩か)
興味もないし、関わりたくもない。
通り過ぎようとした、その時。
「バギィ!!」
鈍い音。
思わず振り向く。
金髪リーゼントの男が、冒険者三人を相手に戦っていた。
いや、「戦って」などという生易しいものじゃない。
一方的に、殴り倒していた。
「うおっ!?」
一人が吹き飛ぶ。
「てめぇ……!」
ただ――拳だけで。
「おらぁ!」
「バキッ! ゴッ!」
冒険者たちが次々と倒れていく。
(あの三人……確かBランクの……)
僕でも、魔法を使わなければ勝てない相手だ。
それを――素手だけで圧倒。
金髪リーゼント。
ボロい服。
疲れた顔。
でも、その動きは鋭い。
無駄がない。
そうだこの男Fランクの
(力を隠してたのかな?)
(この戦闘力、使えるかもしれない)
前衛が足りない。
いつもすぐに離脱される。
「すごいね、君」
声をかける。
男が振り向いた。
鋭い目。
警戒するような視線。
でも構わない。
僕は、この男を勧誘することにした。
この男なら――盾として機能するかもしれない。
どういう訳かこの男は魔力0で全く魔法が使えないらしい
(身体強化もなしに?すごいな)
(それに魔法が使えないなら、なおさらいい)
(僕に逆らえないだろう)
自然と笑みがこぼれた。
【読者の皆様へのお願い】
ここまで読んでいただき、ありがとうございます! もし「面白かった」「続きが気になる!」と少しでも思っていただけたら
下にある【☆☆☆☆☆】から作品への評価をお願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちもん大丈夫です!
ブックマーク登録もあわせてお願いします!
「評価」が更新の原動力になります。何卒よろしくお願いいたします!




