表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/62

48.初めての冒険者登録


 ギルドの支援金がなくなってしまった。

 銀貨を数える。残りわずか。


 気乗りしないけど、ギルドに行かなくてはならない。


 扉を開けようとして――躊躇した。

 また笑われるかもしれない。


 なるべく誰にも悟られないよう、人の少なそうな時間を狙って受付嬢からお金をもらった。

 視線を感じる。

 でも見ないようにした。


 銀貨を受け取り、急いでギルドを出る。


(まぁこれは勇者として準備に必要な期間だ)

(僕への投資みたいなものだ)


 そう自分に言い聞かせる。



 そして僕はまた二週間、狩りに勤しんだ。


 とはいっても僕も一応人間だ。

 休日を作らないと、体を壊したら本末転倒だしね。


 最低でも週に三日は休みを作ることにした。

 調子の悪い日は早めに休息を取る。

 疲れたら無理しない。


 効率的にやるんだ。


 そうしてこの世界に来て一ヶ月が経った。


 レベルは13。


『神崎ハルト Lv13』


 それなりに成長はしている。


 いまのところ順調だね。



 それはいいのだが、問題が起こった。


 ギルドの支援金が一ヶ月までで打ち切りだったのだ。


 宿代が払えなくなる。

 どうしよう。


 そんな事態になってしまって、どうも何もする気になれず、二、三日ベッドの上で悶々としていた。


 天井を見つめる。

 頭の中で色々考える。

 でも答えは出ない。


 コンコン。

 ノックの音。


 宿屋のおばあちゃんが宿代をもらいに来た。


 扉が開く。


「あ、あの……すいません、お金なくて……」


 声が小さくなる。


 おばあちゃんはニコッと笑った。

 優しい笑顔。


「冒険者さんね。最初は大変よね」

「そうそう、空いてる部屋のお掃除、お願いできる?」


「あ、はい。あの、お金……」


「いいのよ。時々お掃除手伝ってくれる?」


「はい!」


(ついてる)


 なんとか宿から出て行かなくて済むことになった。


(この世界は優しい人もいるな。やっぱり現実と違う)

(現実では理解されなかったけど、ここでは僕を認めてくれる)


 胸の奥が少し温かくなった。



 それからさらに二ヶ月が経った。

 レベルは15。


『神崎ハルト Lv15』


 週の二、三日は狩りに行って、残りの時間は効率的に経験値を稼ぐ方法を考えていた。


 部屋でステータス画面を眺める。

 どうすれば早くレベルが上がるか。

 考える。


 でも――いい案は浮かばない。


 それと、ごくたまに掃除をお願いされて、それを適当にこなして生活していた。



 コンコン。

 ノックが鳴る。


「はい」


 おばあちゃんが神妙な面持ちで入ってきた。

 いつもの優しい笑顔がない。


「神崎くん、さすがにそろそろ出ていってもらえないかね?」


「え、急に言われても……」


 心臓が跳ねた。


「ごめんね。うちもあんまり長いこと神崎くんを養っていける余裕はないのよ」


「あ、はい……」


 何も言えなかった。


「あと神崎くんにはね、もっと合うお仕事があるかもしれないよ?」


(何言ってるんだこのばあちゃん)


「いえ、僕の役目なので」


「そうかい……。荷造り手伝うから、明日冒険者ギルドで相談してみるといいよ」


「はい……」


 おばあちゃんが出ていく。

 扉が閉まる。


 一人きりになった部屋で、ベッドに座り込んだ。



 翌日、僕は宿を出た。

 荷物はほとんどない。


 おばあちゃんが見送ってくれた。


「頑張ってね」


 その言葉が、妙に重く感じた。



 冒険者ギルド。


 なんとなく面倒だった。

 でももう行くしかなかった。


 周りを見渡しながらギルドに入る。

 前にいた受付嬢がいなくなってた。


(辞めたのかな?)


 知ってる人は誰もいない。

 少しだけ――安心した。


 受付嬢に声をかけた。


「あの、冒険者登録お願いします」


「かしこまりました。では登録にあたって魔力測定を行ってもらいます」


 僕は受付嬢の後について測定室に入った。


 小さな部屋。

 中央に水晶が置かれている。


「それでは手をかざして、魔力を込めてください」


(こうかな)


 手のひらを水晶にかざす。

 意識を集中する。


 次の瞬間――。


 水晶が眩しく輝いた。


 部屋全体が光に包まれる。

 受付嬢が驚いている。

 目を見開いて、口を開けたまま固まっている。


「この反応は……! こちらでしばらくお待ちいただけますでしょうか!」


 慌てて部屋を出ていく。


(きたきた。この受付嬢の反応、間違いない)


 胸が高鳴る。


 ようやく。

 ようやく、僕の力が認められる。



 しばらくすると、受付嬢が戻ってきた。


「お、お待たせしました!」


「遅いよ。待ちくたびれちゃった」


 受付嬢の後ろから、ムキムキの貫禄のあるおじさんがやってきた。


 筋肉質な体。傷だらけの顔。鋭い目つき。

 ただ立っているだけで、圧がある。


「はじめまして。私は冒険者ギルドを運営している、バルトロメオ・グレイソンというものです」


 低く、落ち着いた声。


(ギルドマスターか)


「神崎さん」


 バルトロメオが真っ直ぐ僕を見た。


「率直にお聞きするが――君は勇者かね?」


 その言葉を聞いた瞬間。


 全身に電流が走った。


(これまで耐えてたのは無駄じゃなかった)

(やっと僕のすごさがわかりそうな奴が来た!)


 全身が震える。

 喉が焼ける。

 言葉が勝手に溢れた。

 

「うん、そうだよ」


 胸を張って答えた。


「僕が女神の祝福を受けた勇者だ」

 

【読者の皆様へのお願い】



ここまで読んでいただき、ありがとうございます! もし「面白かった」「続きが気になる!」と少しでも思っていただけたら



下にある【☆☆☆☆☆】から作品への評価をお願いいたします。



面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちもん大丈夫です!



ブックマーク登録もあわせてお願いします!



「評価」が更新の原動力になります。何卒よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ