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45.初めてのレベル上げ


 街に入って最初に目についたのは、大きな看板だった。


『冒険者ギルド』


 木製の看板が風に揺れている。

 文字は古びているが、威厳があった。


 扉の向こうから声が聞こえる。

 受付嬢が笑顔で依頼書を受け取っている姿が見えた。


 周囲には鎧やローブを着た人々。

 冒険者だろう。

 みんな慣れた手つきで会話している。


(ここか。情報収集もしなきゃな)


 そう思って、扉を押し開けた。


 重い木の扉がギィと音を立てる。


 瞬間――ざわめきが止んだ。


 全員の視線がこちらに向く。


 カウンターにいた戦士。依頼書を見ていた魔法使い。酒を飲んでいた冒険者たち。


 全員が、僕を見ている。


(……ふっ、注目か。まあ、当然だな)

 胸の奥がわずかに熱い。


 ‥けど、誰の顔も笑っていなかった


 胸を張って受付に近づく。


 若い女性が笑顔で声をかけてきた。

 整った顔立ち。丁寧な物腰。


「初めての方ですか? 冒険者登録でしょうか?」


「あ、えっと……そう。登録。あと、情報収集も」


「……情報収集?」


 受付嬢が小首を傾げる。


「うん。この世界のこと。モンスターとか、魔法の体系とか」


 周囲の視線が強まった気がした。


「チートがあるから、効率よく上げたくて」


 一瞬、受付嬢の笑顔が固まった。

 目が微かに見開かれる。


「えっと……チート?」


「いや、こっちの話。気にしなくていいよ」


 手を振って誤魔化す。


「で、登録ってどんな感じ? レベルは一応あるけど」


「……レベル?」


 受付嬢の声のトーンが変わった。


「うん、システム的な。ほら、ステータス」


 空中に手をかざす。

 目の前には青い画面が表示されている。


 でも、当然、彼女には何も見えない。


 受付嬢が軽く咳払いをした。


「えっと……まずは、魔力測定を行ってもらいます」


「魔力? 測定しなくても10だよ。別にすぐ上がるから」


「……?」


「いや、だから敵倒すとすぐ上がるし……」


 受付嬢は微笑んだまま固まっている。

 職業的な笑顔。

 でも、目は笑っていない。


 隣の窓口の職員がこっちをチラッと見た。

 何か囁いている。


 空気が少しだけ冷たくなった気がした。


「……えっと、まだカードをお持ちでないなら、臨時登録も可能ですが」


「そう、それそれ。臨時でいいや。どうせすぐ上がるし」


「ではこちらにお名前を……」


 渡された紙にペンを走らせる。


『神崎ハルト』


(情報収集は十分。流れはだいたい掴めた)


 そう思いながら、妙にぎこちない笑顔を浮かべる。


「……なんか、視線多くない?」


 誰も答えなかった。


 受付嬢が書類に目を落としている。

 他の冒険者たちは急に興味を失ったように会話を再開した。


「受けれるクエストだして」


「クエスト……?」


 受付嬢が困ったような顔をする。


「ああ、依頼か。依頼」


「駆け出しの方でしたら、こちらの――」


 その時。


「はははっ!」


 ギルドの隅で冒険者たちが楽しそうに笑った。


 誰かが何か言っている。

 聞こえないが、こっちを見ている。


 胸の奥が熱くなる。


(僕を笑った?)

 

 心臓が少し痛い


 もういいや。どうでもよくなった。


(この世界のやつらレベル低いな)

(全然ついてこれてない)


「もういいや。モンスター倒してくる」


「待ってください!」


 受付嬢が慌てて声をかけてくる。


「一応、駆け出しの冒険者の方には装備の貸し出しを行ってます。よければご利用になりますか……?」


「うん、お願い」


 奥の部屋から持ってこられたのは、錆びかけた剣と革の胴当てだった。


 装備欄に表示される。


『鉄剣(Lv1)攻撃力+5』

『革の胴当て(Lv1)防御力+3』


(Lv1って感じだね。十分十分)



 さっそく街の外に出た。


 草原が広がっている。風が心地いい。


 そして――いた。


 スライムだ。


 青くて、ぷるぷる震えている。

 ゲームで見たまんまの姿。


 こっちに気づいて、ゆっくり近づいてくる。


 鈍い。

 剣は重いけど、これなら十分当てられる。


「はあっ!」


 剣を振り下ろす。


 ズブッ。


 スライムの体が凹む。

 でも、まだ動いている。


 もう一撃。


「えい!」


 バシャッ。


 スライムが弾けた。青い液体が地面に飛び散る。


『経験値+10』

『EXP 10/20』


 体当たりされたけど、所詮スライム。余裕だね。


 その後、2体目のスライムを倒した時――。


 ピロリン♪


 心地よい音が頭の中に響いた。


『レベルアップ! Lv1→Lv2』

『HP+10 MP+5 STR+2』


 体が軽くなる。


 剣がほんの少し軽く感じる。

 呼吸が楽になった。


 ステータス画面を開く。


『神崎ハルト Lv2』

『HP:110/110』

『MP:55/55』

『STR:12 DEX:10 INT:10』

『EXP:20/100』

『習得スキル:横薙ぎ』


 スキルが出た!


 さっそくスライムに使ってみる。


「横薙ぎ!」


 剣が青白く光る。


 体が勝手に動く。

 最適な軌道で剣が横に走った。


 ザシュッ!


 スライムが真っ二つに裂けた。


 一撃だ!


『経験値+10』


 楽しい!

 最高の気分だ!


 息が上がる。頬が熱い。


(僕は選ばれた勇者なんだ)


 すぐに強くなって、笑ってた馬鹿どもを見返してやる。


 もう一体、スライムを見つけた。


 剣を構えて駆け出す。


 草を踏む音。風を切る音。


 全てが鮮明に感じられる。


 これが――新しい人生だ。

 

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