『田所くんの観察日記──この人、たぶん地球人じゃない』
(陽菜・心の声)
田所くんって──やっぱりおかしい。
最初はただの地味なクラスメイトだと思ってた。
誰ともあまり話さなくて、目も合わせなくて、体育では必ず最後列でラジオ体操してるし。
でも。
あのとき。最初に聞いた、“あの言葉”。
「それは旧エストラ方言ですね。第二層アクセントで発音すれば、もう少し自然ですよ」
あの瞬間、私の中で「カチッ」とスイッチが入った。
(あれ完全に異星の言語なんだけど!?)
◆放課後──陽菜・視点の観察日記:
・数学の授業で「四次元崩壊以前の公式です」と発言 → は?
・美術の時間に「銀河終末期の絵画に似てる」と言った → 何その時代
・購買で「炭水化物の濃度がこの星にしては高い」と呟いた → どの星基準?
(……この人、マジで地球の文化を“再学習中”って感じじゃない?)
◆決定打:体育のとき
陽菜(目撃)
→ 田所くん、空中で3回バウンドして着地してた。
→ しかも本人は「これが通常の慣性だが?」って顔してた。
(ちょっとまって、あれ重力制御のやつじゃん……!)
──陽菜の作戦開始:
(私は“ただの”地球人女子高生です!というスタンスを取りつつ……)
→ 田所くんに“カマかけ”してみる
昼休み:教室にて
陽菜「ねえ田所くん。さっきの体育のとき、すごい跳躍力だったね〜。まるで“サグ=フォルム星の戦士”みたいだったよ!」
星司「……あー、それね。うん。よくあるよね、そういうの(動揺)」
陽菜(心の声):
(反応が雑!! “サグ=フォルム星”がそもそもマイナーすぎるのに即答した!!)
翌日:理科の実験中
陽菜「田所くん、この金属片って“プラミナ合金”っぽくない?」
星司「いや、プラミナはもっと輝度が高い。これは地球産だよ」
陽菜「……そっか(え? なんで即答?)」
◆陽菜・脳内メモ
【田所星司=観察対象】
宇宙言語を理解
反重力的ジャンプ
銀河文化の知識ありすぎ
反応が全部“バレてる前提”で速い
【結論】
──この人、絶対なんか隠してる。ていうか宇宙人?
そして、放課後。
陽菜は帰り際、わざと独り言のように言った。
陽菜「ふーん……“カリオン”って名前、どっかで聞いたことあるなあ……。ね、田所くん?」
星司「っ!?」
陽菜(心の声):
(よし、今の反応で確信8割)
(あとは証拠を……いや、先にカマかけてもっとバグらせてやろ)
To be continued...!!