表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/26

『おかしいのは俺の感性か、地球か、君だ。』

──昼休み、購買前。


「ねえ田所くん。バジリスクパンサンド買ってきてくれる?」


「その商品名、絶対この学校に存在しない」


「あるよ? 新商品。水曜日限定」


「異星種族の毒パンと猛獣肉挟んだみたいな名前なんだけど!?」


星司は動揺して周囲の棚をチェックするが、案の定──ない。


「……なかったの?」


「なかったよ!?ついでに“宇宙味プリン”もないからな!?」


陽菜は軽く唇を尖らせた。


「ちぇー、田所くん、マルチ位相視覚能力ないんだ?」


「いや人間だし!ていうかお前はどういう認識フィルターで世界見てるの!?」


──5時間目、英語の授業。


教師:「じゃあこの文章訳せる人、田所」


「──“我々は千の月を超えて帰還する、翼なき創造主として”」


教師:「……いや、訳文がポエム。いや違う、何語それ?」


「え、第四軌道以降の月面通信で使われてた──」


「黙れ田所!!」


陽菜はそのとき、ふと隣で小さくつぶやいた。


「でもその文、たしかに“帰還者詩篇”の一節に似てるよね」


「何そのワード!?ちょ、今さらっと俺以外に分かるやついたんだけど!?」


陽菜はきょとんとして首を傾げる。


「え? え? いや私も詳しくは知らないけど……なんとなく? 雰囲気?」


(なんとなくで“失われた銀河詩篇”に類似反応出せるわけないだろォ!?)


──放課後、校庭。


星司はついに、対話形式での調査に踏み切った。


「……陽菜、ちょっと質問。地球人ですよね?」


「うん」


「炭素基生命体?」


「うん」


「一次言語は日本語?」


「たぶんそう」


「“たぶん”!?」


「いや、家でたまに“ファ=ア”語も混ざるから……ってちがうちがう!」


「ファ=ア語って! 言語体系の母音が息吹音だけのやつじゃん!? 俺以外に知ってるのおかしいだろ!?」


陽菜は焦った顔で笑う。


「……わ、私ってちょっとオカルト好きっていうか?」


「オカルトの範囲が銀河超えてんだよ!!」


──帰り道。


「ねえ田所くん、私が本当に地球人じゃなかったら、どうする?」


「え?」


「やっぱり警戒する?」


「……まぁ、そりゃ、多少は。だって地球人って世界征服されたくないし」


「でも……地球征服とか、わりとめんどくさそうだよ?」


「“わりと”って何!? 経験者っぽい口ぶりやめろ!!」


陽菜は、何食わぬ顔で笑った。


「私、本当にただの女子高生だよ?」


「──その台詞、今日だけで5回目だぞ……!」


>【観測メモ:朝霧陽菜】

>・存在波動、測定不能

>・言語適応力、異常

>・詩篇識別可能性、危険域

>・なのに毎朝「トーストくわえて遅刻」ムーブする矛盾

>【結論】

>──この女子、ただ者じゃない“普通の女子高生”。


To be continued...!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ