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③説明後

「で、返事はいつまでだ?」とアザルは言った。

「そうですね、教授の説明後から3日後の正午までです」

俺たちは会社と個人で契約している。自分の死と金を天秤にかけ傾いた方に賭ける。

パーティで抜けた穴は会社が補充するわけだが、普通、こんなことはない。

 なぜなら、会社もパーティの力量を把握しており、依頼内容の精査も先発隊が入念に行うからだ。

力量を隠す?そんな意味のないことは誰もしない。(もちろん、個々に切り札を隠しているだろうが)

力が低いと見なされればそれに見合ったレベルの依頼しかされず、仕事が達成されれば依頼のレベルも上がっていく。力を隠せば依頼レベル上昇が遅くなるだけだ。

 それとパーティを組むのならば力量隠しは仲間への不信を生む。リーダーは魔術師が行う付与呪文や回復等の呪文が行われる時間を把握してなければならず、それを計算、敵の行動を予測して指示することが求められる。そのため魔法発動時間が早すぎても遅すぎても困るのだ。まぁ、大体の魔術師は疲労が重なれば呪文発動時間が遅くなる。それも経験則でリーダーも心得ているのだが・・。

 おっと、話が脱線した。あれだ我々は個人事業主で会社と契約しているという話だったな。

今回みたいな死への天秤が限りなく傾いている場合にはパーティを抜ける、もしくは依頼を断るという選択肢もあるにはあるのだ。

 イベクバみたいな相手を6人で討伐なんて異常な依頼なら、評価が低くなることもあるまい。

明日、遠視魔法の一種「投影」を使った教授の講義により種類、力、対策等を皆が学ぶ。その上で個々が持って帰り、依頼を受けるのか抜けるのかを決めて再度集まり答えを出すのだ。

それが「返事」の意味だ。

そしてこれが「会社」の強みでもある。

 村長からの依頼を受ける他組織を挙げるならば、冒険者ギルドや討伐ギルド、盗賊、魔術と色々あるが依頼する上での情報量は天と地ほど差がある。

依頼内容は一枚紙だけだろう。今回の依頼で言うなら討伐レベルS、討伐対象イベクバ、生息地域、報酬、依頼者・・程度の情報しか示されない。

 うちのディナルド商会はまず調査部隊を先発させる。俺らは「覗き見部隊」と呼んでいるが正式名称

「ブラックファルコン」。格好が良い(俺はそれ聞いただけで寒気がする)名がつけられている。その隊は魔法を駆使し、観察、偵察、情報収集に特化している。式神や動物、精霊、洗脳した異物すらも使役するらしい。あまり表に出ず我々内部の人間にも誰が担っているか知らされていない。

現場で出くわすこともあるらしいが、姿形も魔法で変容しているので「それ」と気づかないということだ。で、その調査部隊が依頼内容を全て調査した上でパーティ人数、構成が考慮されるのがわが社だ。

成功率は95%以上と脅威な数字を誇っている。

 ま、今回その数字を下げてしまうかもしれないな。

 事務屋のハッセルからの説明は全て終わり、解散となった。

皆思い思いに席を立つ。俺も席を立ち部屋を出て歩き始めた。隣に魔術師のベルが並ぶ。

「レティ、あんたどうすんのさ?」

「んー」と俺ははっきり明言しない。俺の答えは最初から決まっており、答える必要もないと思うからだ。俺が18で商会に入りほぼ同年数一緒に仕事をしてきた。俺の思考回路はほぼ知られており、どんな結論をくだすかなんてベルは承知していると思われたからだ。

 魔術師ベル、傍から見れば「イイ女」なんだろうな。美人で出るところは出て女性の魅力満載だ。しかし、俺はごめん被る。戦場でこいつに殴られたのは10回を超える。叱られたのはその3倍ぐらいか?もっとか?

歩くこと5分、会社のある一角に着いた。

「・・・は~~。レテ、今からやるってぇの?」

彼女は心の底からため息をついた。

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