始まり
楽しんでもらえば幸いです。
暗闇の中、俺たちは歩を静かに進めた。
湿地帯に棲む「イベクバ」の討伐依頼を達成するために。
その依頼はロモス村の村長からの依頼ということだった。
時は半年前に遡る・・
ある朝、俺たち6人はいつもの座学をする部屋に集められた。モルの木で作られたテーブルと椅子が並ぶ。その前には教壇が設けられており、俺ら6人パーティ全員、椅子に座って静かに説明が始まるのを待つ。
商会の事務担当ハッケルが俺たちの前の教壇にツカツカと教壇に上がっていった。
あぁ、すまん。自己紹介を忘れていた。
俺の名前はレティク=ダステント、盾戦士をやっている。仲間はレティとかレテとか呼んでいる。6歳から剣を振り始め10歳でエルバンの道場に入り・・色々あって18歳の時にディナルド商会に入社した。それから5年が経ち、現在となっている。
ディナルド商会?ギルドと違うのかって?
そうだな。違う。俺たちはディナルド商会に雇われていて、月に4ゴールド。討伐や依頼をこなさなくてもそれだけ支払われる。他の奴らがいくらもらっているかは知らない。希少である魔術師は倍はもらっているという噂だ。
個々に商会と契約していて俺の場合、盾戦士を務めている。
商会は元々貿易会社だった。今の社長は4代目のアクル坊や。就任してから1年と2か月の18歳の青年だ。背が低く童顔なことから当分は「坊や」と呼ばれるだろう。就任当初はちょっと周りの幹部や冒険者に委縮していたが、段々自信を付けてきたのか俺との会話にも最近自信を感じられるようになってきた。
そんで、最初に俺たち「6人」と言ったが、基本仕事は6人パーティでこなしている。イレギュラーはほとんどない。例外はもちろんあるけど。例えば仕事先で一人負傷した場合とか。
欠員が出れば会社が人材を補充する。ストックされている新人か冒険者ギルドを通して求人するのかは事務屋が行う。
パーティメンバーの構成は目的によって変わるが討伐や護衛等、目的が「戦い」の場合下記のようになる。
「盾戦士2名」「アタッカー1名」「魔術師2名」「オール1名」
順から説明していくと「盾戦士」は俺とチームリーダーのアザルが担っている。言うまでもなく全ての攻撃を受け止める者だ。そして指揮者でもある。アザルが指揮不能に陥った時は俺が指揮者になることになっている。(魔術師のベルは露骨に嫌な顔をするが)もちろん、片手剣装備しているので攻撃もする。
そして、「アタッカー」敵の隙を察知し剣や魔法で攻撃する。それはプレゥという女の子が行っている。パーティの2列目に位置して敵の隙を見ながら攻撃を行い、敵の止めを刺す。プレゥは小柄な女の子だが動きは素早く的確だ。
剣も得意だが攻撃魔法も使用できる。魔法でなければダメージを与えられない敵もいるからな。
次は「魔術師2名」。正確に言うと二人とも魔法と神法のハイブリッドだ。主にパーティの魔法行使を担当している。魔法の力は多岐に渡りとても一言では言い切れない。
魔術師の一人は回復魔法も使える魔法使いベル。彼女は強力な攻撃魔法を得意としているが防御魔法、補助魔法もエキスパートだ。もちろん、回復魔法も行うことができる。
もう一人の魔術師はボルドゥ。こちらは強大な回復魔法を駆使できる。そして同じく他種の魔法にも精通しており、俺は何度命を救われたか数えきれない。
最後の「オール」のグバダはその名のとおり全ての代わりをする。怪我の治療時等動けない時に代役を務める。また、挟撃された場合やバックアタックの狭路時は盾役になり、そんなに強力ではないが攻撃と回復魔法も使える。ま、そんな感じ。