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玄関に置かれる茶色い紙の件

作者: 桑原

秋にはいって少し肌寒い季節になったころ、

私の元に一通の郵便物が届いた。

中身を確認すると二枚の手紙と古い茶色の紙が

同封されていた。


私はまず二枚の手紙を読んだ。手紙の内容には個人情報が

記載されているので内容を要約するとこうだ。



「私はK県に住んでいるサイトウ(偽名)です。今年25歳で職業は地元ハウスメーカーの営業をしてます。


地元はS県で就職をきっかけにK県に住み始めました。


大学の時に仲良くしていたクワタさん(偽名)と二年間の交際を

経てこの度同棲を始めることにしました。


クワタさんとは遠距離恋愛で休みの日にお互いの家を行き来する関係性でしたがクワタさんがK県で仕事を見つけたきっかけで同棲をはじめました。


ただ同棲をはじめて2ヶ月がすぎた頃家の玄関前に同封した茶色い紙が置かれるようになっていました。

彼女に聞いてみてもわからないの一点張りで。


オートロックのマンションなのでマンションの住人が嫌がらせで

置いてるのかそれにしても二ヶ月で恨みを買ったとは思えないですし何か霊的なものかと思い桑原さんにお祓いしてもらおうと思い

気になったので今回手紙を送らせていただきました。連絡待ってます」


というもの。私はすぐに今にも破れそうな茶色い紙を確認した。


何か文字が書いてあるが難しい漢字のようで途中から紙自体破れてるという印象。お札のようなものかと最初思ったが古い書物がちぎれてる感じだ。


二ヶ月住み始めて茶色い紙が置かれるようになった。


ということだったのだがどのくらいの頻度で置かれてるのか不明な点が

あったので手紙に書いてあった電話番号に連絡してみることにした。


・・・


桑原「もしもし、サイトウさんのお電話ですか?桑原です。」


サイトウ「もしもし桑原さん手紙読んでくれたんですね!嬉しいです!」


桑原「茶色い紙の話手紙にて拝見しました。より詳しい話が聞きたくて色々質問させてください」


サイトウ「わかりました。ただ手紙をだしたときと事情が変わってきて」


桑原「というと?」


サイトウ「茶色い紙が玄関の中にも置かれるようになって」


私は驚いた。状況は深刻だった。サイトウさんも不安に思うだろう。落ち着いて私は質問した。


桑原「玄関の中に紙が置かれていたのはいつですか?」


サイトウ「それが先週台風が来てたじゃないですか?その前日ですね。スーパーで買いだめをしに彼女と二人ででかけた後でした。」


桑原「戸締りはしっかりしていましたか?」


サイトウ「はい。紙が置かれてから彼女が怖くなって少し出かける際でも戸締りはしっかりするようになりました。」


桑原「そうなんですね。紙はどのくらいの間隔で置かれていますか?例えば決まった曜日に置かれているとか?」


サイトウ「置かれている日時も曜日もバラバラで、家を出かけた時、いる時も置かれていたり紙は最初は捨てていたのですが何か役にたつと思い気持ち悪いですが置かれてた日時と日付、紙も一ヶ月前から保管しています。」


桑原「ありがとうございます。他の部屋の方はそういう被害はないのでしょうか?」


サイトウ「聞いてはないですね。一回不動産に問い合わせをしたのですが他の階の方も一切そういうことはないと。ただ、前までは違う問い合わせが多かったと。」


桑原「違う問い合わせ?」


サイトウ「はい。私の住んでる隣の部屋が今は空室ですが夜中に騒いだりなど精神病を患ってた方がすんでたらしくて、クレームが多いのと家賃未払いで追い出された方が元々いたらしくて」


桑原「そうなんですね。」


サイトウ「ただ、僕たちが入居した頃にはもういなくて物件を探してる時に引越しをしているのをみたような」


桑原「実際に家を見に行った方がいいですね。K県に行きたいとこがあるので都合がいい時にお会いしましょう。」


サイトウ「はい。よろしくおねがいします。」


K県は色々な温泉があり観光がてら軽い気持ちで行くことにした。


サイトウさんとの待ち合わせは海の見える綺麗なカフェで会うことにした。


私は待ち合わせの時間より30分早く着きホットのブラックコーヒーを頼んだ。


ブラックコーヒーの味の違いはわからないのだがそこのコーヒーは少し酸味が強かった。


会う前に茶色の紙の話の仮説を立てていた。どれか当てはまったら私は仕事をしなくていいと思ったからだ。


仮説1

ドアの間に紙が挟まっておりその紙が擦れて置いてるというより落ちた説


ーこれは最初に考えてた説だ。入居の際に扉をリフォームして包装紙が扉の間にそのままで擦れてたり前の住人が転居した際、業者が伝票を扉にいれててそのままの状態で扉を開け閉めしていたか。

この仮説が今最有力だ。現実はこんなもので不思議なものほどあっけない内容だったりする


仮説2


風で部屋の前にたまたま紙がおちている説

これも考えていた。ただ電話で話した通りそこのマンションの住人からそういう問い合わせがきてないことからこの仮説は薄いと思う。台風の日に家に入ってたという話はこの仮説でなんとか繋がると思うが…


仮説3


元隣の住人が恨みで嫌がらせをしている

これは電話をきいての想像だ。なんらかの形で元隣の住人は元サイトウさんの部屋に住んでた住人を恨んでいた。追い出された恨みで家の鍵のスペアを使ってオートロックを突破し嫌がらせを続けた。

ただ玄関の中に置かれていた事案は説明できないのでこの仮説も薄い


私はサイトウさんにドアを隅々までみて紙があるので取り除けば一旦落着。という話の流れで説明しようと思っていた。


仕事を早めに終わらせてくるということでサイトウさんを待っていたのだが予定時間を30分過ぎてもこない。一度電話をかけようと思ったところでカフェの入り口で背の高いスーツの少しパーマがかった髪型の方が入店してきた。


その方は私のテーブルまで近づき

「すみません。遅れました桑原さん」

と謝罪をし近づく店員さんにコーヒー冷たいのでと注文をして私の向かいの席に座った。


仕事が結構溜まっていたという話をきき働き盛りの歳なので仕事もプライベートも大変なんだろうなぁと思った。

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