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9.ライブが終わったので家に帰ります

楽しかったワンマンライブも終わり、色んな感情が沸き上がり余韻に浸る…

って場合ではない、ここは大阪、帰る事をわすれてはいけない。俺はライブの余韻を断ち切り、まずはずっと我慢していたトイレへ。


20時55分か、物販行けるかな…

物販スペースは入り口付近に設置してある。トイレ行ってる間に行列が出来てしまったようで、物販スペースに向かって長蛇の列になっている。間違いなく新しく出たCDを買うための列だろう。


物販どうする?

などと考えてみても、この行列並んで物販行ってると新幹線に間に合わなくなるのは確実だ。俺は物販行くのを諦めてライブハウスを出ることを決断、この時20時57分。


すみません、ちょっと通ります…

並んでいる人をかき分け、物販席に座っていた彼女をチラっと見つつ、急いでライブハウスを後にする。階段を上がって地上に出ると一目散に心斎橋駅に向かうため走る。すっかり日も落ちて夜の装いになった大阪の繁華街、記憶を頼りに公園を通り抜け交番の前の横断歩道を渡って大きな通りを目指す。


少し走ると大きな通りに出たが、そこからは人が多く急ぎ目の歩きで行くと、すぐに大きな商業ビルの所に地下鉄心斎橋駅へ通じる入り口が見えてくる。俺はその階段を駆け下り、移動してなぜか階段を登るというちょっと複雑な通路を抜け、心斎橋駅の改札口にたどり着く。この時点で21時2分、新幹線出発まであと22分。


心斎橋駅の自動改札機に Suicaをタッチすると、ピピッ!!と鳴って改札を通り抜けることに成功。そんなことで感動している時間はない、急いで階段を駆け下りてホームへ向かうと電車は来ていないようだった。電車の時間を確認しようとしてもわからないが、行先表示を見ると、次は新大阪行きで、前の駅に停車しているような表示だ。


時間は21時4分、気持ちばかりが焦るが、焦っても仕方ない。時間が戻るわけでもない。すると、電車到着のアナウンスが流れる。


「2番線に新大阪行きが到着します」


21時5分、電車が到着。手に汗握っている俺を含めて多くの人を乗せた電車は心斎橋駅を出発。降りてすぐに改札を抜けられるように、新幹線の切符をズボンのポケットに移動、Suicaは握ったままにした。


何分に到着するんだろう…

行きの時に15分くらいかかることはわかっている、21時5分発車だと21時20分くらいに到着か。21時24分に新幹線が発車するから、地下鉄降りて4分で乗れるのだろうか、かなり不安だ。そんな不安に押しつぶされそうな俺を乗せた電車は時間通りに本町、淀屋橋と停車して、梅田駅に到着。


梅田駅はやっぱり降りる人が凄い…

車内のほとんどの人が降りたのではないだろうか。梅田駅出発時点で車内は10数人ほどになった。ちょっと気持ちを落ち着けて、ここからは座って新大阪駅を目指すことにした。電車は中津、西中島南方に停車、そして。


「次は新大阪終点です。新幹線、JR線はお乗り換えです」


時間を確認すると21時18分、出発まであと6分。車内にほとんど人が居なくなったのを良いことに、俺は早めに立ち上がって扉の前にスタンバイ。程なくして電車は新大阪駅のホームに滑り込む。電車は21時19分に到着、出発まであと5分。


俺は扉が開いた瞬間、電車を勢いよく飛び出して階段を駆け降りる。まずは手に持っていたSuicaを自動改札機にタッチして通り抜ける。確認するの忘れてたが、残高も大丈夫だったみたいだ。そんなことで感動している余裕などない、今はとにかく新幹線に乗らなければならない。


東京行きの最終が近いからだろうか、幸いにも新大阪駅構内は夕方に来た時と比べると人は少なく、走ってはいけないと思いながらも走った。お土産店などが立ち並ぶ通路を通り、新幹線乗り場の案内板を見つけ、その案内に導かれるように階段を駆け上がる。すると目の前に新幹線のりば(中央口)と書かれた改札口を見つける。時間は確認してないけど、あと2分くらいだろうか、間に合うだろうか。


「まもなく東京行きの最終が発車します」

「ご利用の方はお急ぎください」


改札口の前にいる駅員が呼びかけている。俺は急いでポケットから切符を取り出して新幹線の改札口を通り抜ける。


ピンポン!!

慌ててたせいで、切符を取り損ねて出ようとしてしまい、自動改札に止められてしまった。焦り過ぎは良くない。戻って切符を取り、自動改札を抜けると駅員が声をかけてくれる。


「東京行きのお客様ですか?」

「26番線です。お急ぎください」


「わかりました」


慌てている俺を見て声をかけてくれたのだろう、迷わないように26番線へと誘導してもらった。足がかなりつらい状態になっているものの、ホームへ向かうエスカレータをやっとの事で駆け上ると、既に発車ベルが鳴っていた。


「のぞみ号東京行きドア締まります」


やばい、やばい、乗らないと…

ホームには、両方のホームに新幹線が停車中だ。駅員が26番線を強調していたのはこのためだろう。俺は出発案内に「のぞみ64 21:24 東京」と書かれたのを確認、26番線側の新幹線にも「のぞみ64 東京」と書かれているのを確認すると、近くの乗車口へ飛び乗った。程なくして発車ベルが鳴り終わって扉は締まり、新幹線は新大阪駅のホームを離れて加速していく。


「今日も新幹線をご利用くださいましてありがとうございます」

「この電車はのぞみ号東京行きです」

「途中の停車駅は京都、名古屋、新横浜、品川です」


何とか間に合った…

車内放送を聞きながら扉横の壁にもたれ掛かって息を整える。さっきまでライブハウスで約3時間立ちっぱなし、新大阪でダッシュして、もうクタクタだ。切符を見ると俺の座席は16号車、車両の号車表示を見ると7号車と書かれていた。俺はまだ息は乱れて足取りは重かったが、新幹線の車内を16号車へ向けて歩き出した。


東京行き最終の新幹線という事もあり、ほぼ満席状態の車内を移動する。途中グリーン車を通る時はかなり気まずかった。やっとの思いで16号車に到着して座席を探すと、12Cは簡単に見つかった。そこは、3列席の3席とも誰も座っていなかったため少し目立っていたからだ。3列席の窓側と真ん中の席は途中から乗ってくるのだろうと、通路側の座席に腰かけるとすぐに。


「まもなく京都です」


新大阪駅を出発したばかりなのにもう京都駅へ到着するアナウンス。いや、俺が7号車から移動してきたからそう思うだけで、実際には10数分経っている。まだ少し乱れた息を整えながら座っていると、京都駅で降りる人が準備を始めている。


新幹線は京都駅に到着すると、降りる人よりも多くの人が乗ってくる。空席だった隣にも親子と思われる女性2人がやってきた。新幹線が京都駅を出発すると、昼を食べてから何も食べてないからか、急に空腹が襲ってきた。今の状況では車内販売で何か買うしか方法はないが、落ち着いてきたのか、疲れているのか、強烈な睡魔も襲ってきた。


色んな欲求が渦巻いていたが勝者は睡魔、気付いたら寝ていたようだ。


…… ん?


人が通った時に俺は気が付いた。キョロキョロしてみても窓からは真っ暗で何も見えず、現在地は良くわからない。さすがに新横浜を過ぎていることは無いだろうと思い少し起きて状況がわかるまで待っていた。スマートフォンで時間を確認すると22時30分頃で、1時間ほど寝ていたようだ。


少しすると、前方の電光掲示板に「豊橋駅を通過中」と表示される。豊橋という駅名が良くわかっていなかったが、スマートフォンで確認すると、名古屋を過ぎて静岡よりは手前だという事がわかった。隣の人が名古屋で降りなかったという事もあるが、新幹線が停車しても起きなかったのは危険だ。ここから先は寝ると東京まで行ってしまうと思った俺は、起きていることを決意する。


その後、10分ほどで「浜松駅を通過中」という表示が出た頃、16号車に車内販売がやってきたようだ。俺は空腹と乾いた喉を潤すため車内販売員に声をかける。


「すみません、お弁当とかありますか?」


「お弁当は無いんですよ」

「食べ物は、お菓子かおつまみ類しかありませんが…」


申し訳なさそうに言っているが、俺には厳しい答えが返ってきた。何か食べるのは新幹線降りるまで我慢するとして、水分補給をすることにした。


「それじゃ、お茶ください」


「ペットボトルでよろしいですか?160円になります」


ワゴンからペットボトルのお茶を取り出す販売員。俺は財布から200円を取り出して販売員に渡すとお釣り40円を受け取る。ペットボトルには「静岡茶」と書いてあるが見たこと無い。オリジナルブランドだろうか、初めて見るお茶だった。そんな事はどうでも良く、のどが渇いていた俺はペットボトルのフタを開けると味わう事もなく、一気に飲み干した。


お茶を飲み干し、一息ついて時間を確認すると、22時50分。今日は1日長かったと感じたが、あと40分ほどで新横浜に到着する。俺は今日1日の事を回想してみることにした。


家を出たのはお昼頃だった。今思えば遠い昔のように感じるが11時間くらい前の事だ。横浜駅に出て西口商店街でラーメン食べたが、ここから食事していない。さすがにお腹空いた。

早めに新横浜駅に向かって、新幹線の出発まで1時間ほど駅付近をウロウロ、初めて一人で乗る新幹線に緊張しながらも新大阪駅まで向かう。新幹線に乗るまで無駄な時間が多かった。

新大阪駅から地下鉄で心斎橋駅まで行って、迷いながらもライブハウスに無事到着、何とかスタート前には間に合った。

ワンマンライブはとにかく楽しかった。バンドバージョンで盛り上がったし、色んな曲や新曲も聴けて、秋のワンマンライブとか、色んな情報も聞けた。行かなかったら本当に後悔したかもしれない。しかし、帰る時間が迫っててCD買えなかったのは失敗だった。

ライブが終わった後は急いで心斎橋駅から地下鉄に乗って新大阪駅へ向かった。新大阪駅に着いてもダッシュで新幹線に乗って、席に座るとすぐ眠くなって、車内販売でお茶だけ買って飲んだ。


これって本当に今日1日の出来事なんだよな…

何か夢見てるみたいだ…


今日の事を回想しているうちに時間は過ぎ、電光掲示板には「小田原駅を通過中」と表示されていた。楽しかったライブとは裏腹に初めての遠征は苦い思い出が残る結果となったが、トータルで見ると良い経験だったことは間違いない。次はあるかわからないが、もっと色々と大阪の事とか調べてから遠征しようと思った。そんな反省会のような事をしていると。


「まもなく新横浜です」


新横浜駅に到着すると遠征が終わる…

到着アナウンスが終わると、俺は荷物と空になったペットボトルを持って新幹線を降りる準備を始めた。隣の親子らしい女性2人は降りないようだが、多くの人が降りる準備をしている。通路で降りる順番を待っていると、減速する新幹線の車窓に見覚えのある景色が映り始め、帰ってきた実感が湧いてくる。


23時27分、新幹線は時刻通り新横浜駅に到着。新幹線を降りて新横浜駅のホームに立つと、俺の心は帰って来た安心感と、遠征が終わってしまった寂しさとの狭間で揺れ動いていた。


さて、帰りますか…

ごみ箱に空のペットボトルを捨て、ホームからエスカレータで改札階へ移動する。新横浜駅の自動改札口に切符を通すと、見慣れた新横浜駅の光景が広がる。


何か食べて帰ろうと思ったが時間は23時30分。店が開いてるはずもなく、そのまま地下鉄の改札口へ向かった。横浜方面は23時44分、待ち時間は14分あるが仕方ない。俺はSuicaで地下鉄の改札を通り、時間までホームで待つことにした。


23時44分、時間通りに地下鉄が到着。こんな時間だというのに地下鉄は少し混雑していたため、立って行くことになった。横浜へ向かう途中、地下鉄の行先案内が上永谷行きというのを見て、もう湘南台まで行く電車はないのか何て考えていた。ライブからの帰りでも地下鉄に乗るのは22時台、23時30分過ぎという最終に近い電車に乗る事は今まで無かったからだ。


そうこう考えているうちに電車は、23時55分、時間通り横浜駅に到着、もうすぐ日付が変わる時間だ。横浜駅のホームに降り立つと、帰って来たという安堵感が勝り、ものすごい疲労感と空腹感が襲ってきた。


疲れた… お腹空いた…

さすがにこの時間では横浜駅付近でも、ほとんど店が開いてないと思い、電車で最寄り駅へ向かうのだった。駅前のコンビニで弁当と飲み物を調達して家に着いたのは、日付が変わって月曜日の0時35分。


明日も仕事だし、弁当食べたらすぐ寝ないと…

家に着いた俺はコンビニで買った弁当を食べ、何だかんだで結局寝たのは1時30分頃だった。


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