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63.闇の中に差し込む光

「大阪でライブ見た翌日だったのか。何で次の日まで大阪に居なかったんだろう。残念だ。肉眼で初めて見たけど、こっちの方が良いかも。あぁ、でもな…」


「きたさん、ちょっと落ち着きましょう」


そうだよな…

ざわついている。関東の彼女のファン達がステージ上で準備をしている彼女を見て、様々なリアクションを見せてくれる。こうなると思ってたが、想像通りになると言うのが楽しくて仕方ない。特にロングヘアー最後のライブに参戦した、きたさんのリアクションは最高だった。


あ、まずは本日、9月11日のスケジュール。横浜市港北区にあるショッピングモールで彼女が出演するフリーライブを見に来ている。13時スタートで、1ステージ目、彼女は1番手。気のせいか、ステージ上で準備をしている彼女も、みんなのリアクションが見られて楽しそう。


2週間前は、俺もみんなと似たようなリアクションしたよ。その後、大垣でもう1回会ってるから免疫はついた。けど、俺的には彼女のロングヘアーが好きだったな。何て考えていると、時間は13時。彼女の1ステージ目が始まる。さて、横浜でもライブ楽しみますか。




時は戻って9月5日、4時25分。この時間を出すという事はそう、お馴染みの遠征。今回も青春18きっぷで大垣へ向かいます。と、軽快に始まりました。が、まさかの二度寝で4時25分に起きてしまった。いやぁ、昨日は前日に発覚した発注ミスの対応で休日出勤があって。何て、回想してる場合ではない。


急いで、慌てて、足の小指を扉にぶつけたりしながら準備するが、家を出たのは4時43分。もう、どんなに急いでも4時54分発の熱海行きに間に合わない。現実を直視すると、一気に目の前が暗闇に包まれた。そう、ここでは救世主が現れたり、奇跡が起きて間に合ったりなど一切しない。ただ単に乗り遅れるだけだ。


それなら、始発は諦めた。では、次の電車で行ったらどうなるのか調べてみる。実は、ヤツから横浜駅からの始発乗り継ぎは教えてもらったが、乗り遅れた場合とかは教えてもらってない。もちろん、使ったことも無い。今回は大垣まで、比較的時間にも余裕があるから、この機会に2番列車で行ってみよう。


次に横浜駅を出発する下り東海道線は、5時28分の小田原行き。って、小田原止まりか。でも、小田原駅で熱海行きに乗り換えられる。どうやら、平塚駅始発の熱海行き普通列車が小田原駅で待ってるらしい。熱海駅には6時45分到着。


熱海駅からは6時49分の浜松行きに乗り換え、浜松駅には9時18分到着。9時23分発の豊橋行きで、豊橋駅には9時57分到着。10時2分発の新快速大垣行は、大垣駅11時32分到着。なるほど。


あれ、大垣駅11時32分って、大垣駅11時42分発の米原行きに乗れるんじゃ。これって、わざわざ30分以上早く出発して始発に乗っても、同じ時間に米原駅に到着するって事か。今までのは何だったんだ。これから始発乗り継ぎじゃなく、2番列車乗り継ぎでも大丈夫って事か。光が差し込んで来たぞ。


横浜駅に到着したのは、5時17分。他線の始発列車も横浜駅に入り始める時間だけあって、4時台とは違い、駅構内は人の往来が多い。青春18きっぷで有人改札を通過し、ホームへ行くと、始発の時と比べて倍以上の人が並んでいる。なるべく列が短く人が少ない所を選んで待っていたが、到着した小田原行きもなかなかの混雑具合だった。


5時28分、横浜駅を出発。乗り降りの隙をついて何とか座れたので、ここで本日のスケジュールをおさらい。大垣アクアカステーロで彼女と、ゆうそらが出演するフリーライブに参戦。今回は2組だけ出演するのだが、出演時間は直前発表。1ステージ目は時間的に問題ないが、2ステージ目は出演時間次第。出来れば、最終乗り継ぎよりも1本前の17時10分に大垣駅を出発したい。


このイベント、去年はショッピングモール内の広場で行われたが、今回は特設ステージなる場所で行われるらしい。9月になったと言えどもまだまだ30度を超える気候、野外だと厳しい戦いになるかもしれない。屋内希望です。


さて、時間は6時21分。小田原駅に到着すると、ホーム向かいに停まってる熱海行きに急いで乗り換える。今乗ってきた電車が15両編成、この電車が5両編成。すでに座る所はなく、出発直前でも次から次へと人が乗り込んで来る。気付けば満員電車に近く、ちょっと苦しい。そんな人達を乗せ、電車は熱海駅へと向かう。


これも座れないのかよ…

6時45分、熱海駅に到着すると次は浜松行きの普通列車へと乗り換え。なのだが、すでに乗り込んでる人も多く、座れない。浜松駅まで座れないという事は無さそうだが、非常に厳しい。何とか近くで降りそうな人の前で陣取る。


6時49分、熱海駅を出発するともう1つの問題が発生。トイレに行きたい。いつもなら車内のトイレを使うのだが、混んでいるから難しい。しかし、途中駅で降りる事も出来ない。ここは無理な我慢はせず、混んでる車内を移動してトイレのある車両へ。


無事トイレは済ませられたものの、電車が駅に停車する度、車内は人が減るどころか増える一方。沼津駅では多くの乗り降りがあり、目をつけていた人も沼津駅で下車。しかし、その場所をトイレに行ってる間に別の人に取られ、結局座れないという始末。次は富士駅まで我慢になりそうだ。


何て考えてたが、富士駅の1つ手前の吉原駅で座ることが出来た。もう、ここから浜松駅までは睡眠時間にしよう。だが、静岡駅まで乗り降りが激しく隣の席も3回入れ替わる。なかなか長い睡眠時間が取れない。


9時17分、若干、いや、かなり寝不足で浜松駅に到着。浜松駅での乗り換え時間を使ってトイレへ。いつもの始発乗り継ぎで習慣になってしまったのか、体が勝手に反応するようだ。しかし、浜松駅のトイレも、こんなに混雑するのかっていうくらい混んでる。たかが15分遅いだけでこんなに違うか。


9時23分、豊橋行き普通列車にギリギリで乗り込む。始発列車乗り継ぎでもこの区間は混んでいる。座ることに固執せず、乗り換えに都合良い扉の前でスタンバイ。そして、豊橋駅からやっとやっと涼しくて空いている快適な車内が迎えてくれた。10時2分の豊橋駅出発から大垣駅到着の11時32分まで爆睡、途中の記憶がほとんど無い。


大垣駅のホームに降りて思う。この乗り継ぎが推奨できない理由が分かった。はっきり言って、しんどい。乗り換え時間が短く、休憩はおろか、トイレへ行くのも一苦労。この先、米原方面への乗り換え時間も10分しかない。さらに、電車の中は常に混雑し、座席確保も難しく、心身ともに疲弊した。


この乗り継ぎ、もう二度と使いたくない。とは言うものの、やはり情報はヤツから仕入れた方が良い。という事で、ヤツに今回の経緯をメッセージで送信。返事を待つ。


岐阜県大垣市、今日の気温は32度。疲れ、眠気、空腹に加えてこの気温、ライブ前だが、もう帰りたい気分。ホームから改札を目指すその足取りも重い。駅の南口を出ると、目の前の和菓子屋に水まんじゅうの幟が目を引く。いつも気になってはいるが、立ち寄ったことはない。


一度は食べてみたい水まんじゅう。だが、これからフリーライブの会場へ向かう方が優先。色んな誘惑を払いのけ、炎天下の中、気力を振り絞って徒歩約20分先の約束の地へと向かう。


暑い…

威勢よく歩き出したが、現実は厳しい。横浜駅で買ったぬるいペットボトルの水を飲み干し、自動販売機で新たな水を手に入れる。その水も寿命はわずか。会場となる大垣アクアカステーロの駐車場入り口で、全てが体内に吸収される運びとなった。


す、涼しい…

12時2分、ショッピングモールに到着。涼しさで体力メータは半分ほどまで回復。これでは帰りの体力が残らない。さらに回復させるには、もちろん食事。入り口すぐにあるフードコートで、前回の大垣遠征でも食べた特殊なスプーンなのかフォークなのか良くわからない器具で食べるラーメンを頂く。今回は特製ラーメン大盛にソフトクリームを追加で注文。あっという間に全て美味しく頂きました。


これでやっと体力ゲージが7割くらいまで回復。ライブ開始まで休んでましょう。と、思ったが、会場がまだわかってない。ショッピングモール内をウロウロし始めると、すぐに特設ステージ発見。って、去年と同じ場所、呼び方が変わっただけじゃないか。無事ライブ会場もわかった所で、開始時間まで体力温存。1ステージ目に臨む。


14時、フリーライブ開始。1ステージ目は1番手がゆうそら、2番手が彼女の順。ゆうそらも彼女も暑く盛り上がる曲を中心に演奏。集まった各出演者のファンだけでなく、ショッピングモールに買い物で訪れた家族連れや子供たちも盛り上がったようだ。


それには理由がある。1ステージ目が終わると、15時30分から子供向けのイベントがあり、2ステージ目は16時30分スタート。1ステージ目は、そういう客層になる。ショッピングモールのフリーライブでは、あるあるだ。


1ステージ目が終わった所で物販へ。2ステージ目は微妙だから仕方ない。髪が短くなった彼女には若干の違和感はあるが、2度目となると慣れて来た。だが、ゆうそらの2人と、初見のファン達は驚いている様子。彼女の長い髪は特徴的だったから、そうなるのも頷ける。こういうリアクションを見ると、横浜のファン達は、まだ実物を見てないから、どんな反応するか今から楽しみだ。


大垣まで来てくれたのは、ほとんどが大阪から来たファン達。今回の初参加は名古屋から来たファン1名。ついに名古屋にも同士が出来たのかと、しみじみ思う。今までライブ行っても、横浜というか関東のファンしか居なかったから、地方のファンが増えるのは単純に嬉しい。


まだ遠い約束だと思っているが、来年5月のワンマンライブ「セカンドピーク」では、渋谷に全国各地からファンが集まる風景が見られるのだろうか。想像すると顔が緩んで来る。最初に話を聞いた時には無謀な挑戦かと思ってた。漆黒の闇だったキャンパスに少しずつ光が差し始め、緩やかに色付いて行く。そして来年の5月には、約800人のファンでにじいろ日和が完成することだろう。


あ、妄想はこのくらいで。ステージは子供向けイベントに切り替わった。邪魔するわけにはいかない、俺は体力温存のため、フードコートの端の席で休憩。同じことを考えている人もいるようだが、傍から見るとちょっと迷惑かもしれない。だが、帰るのが遠いから仕方ない。って、誰も知らいないよ、そんなこと。あぁ、もうダメだ、俺は疲れている。


時間は16時27分、十分な休憩を取ってステージに前に戻ると、出演順が発表されていた。2ステージ目は彼女が1番手、1ステージ目とは順番が逆。これは偶然とか奇跡ではない、そうなるだろうと何となく思っていた。なぜなら、このフリーライブ、ゆうそら主催で1年に2回行われている。だから、2ステージ目はゆうそらがトリになるのが普通だろうと予想。見事にその通りになった。


しかし、前の子供向けイベントが少し押して終わった影響か、2ステージ目が始まったのは、16時39分。この時点で17時10分発に大垣駅を出発するのは諦めた。その替わり、癒し系の曲を中心に演奏した彼女の2ステージ目を存分に堪能。充電は完了した。


17時6分、時間も時間なので、彼女のファン達に挨拶をして、ゆうそらの2ステージ目は見ずに大垣アクアカステーロを後にする。と、出口へ向かっている途中で、彼女とバッタリ。時間は無いけど、無視するわけにはいかないでしょう。


「あ!!」


「あ、しいさん。今からお帰りですか?」


「そ、そうです。これから横浜に帰ります。次の土曜日、フリーライブに行きます」


「無理せず、気を付けて帰ってくださいね」


「そう言えば、髪短くしてから横浜初ライブですよね。みんなのリアクションが楽しみです」


「そうですね。私も楽しみです」


「それでは、また横浜で」


「はい。また横浜で会いましょう」


17時11分、手短に彼女と話をしてショッピングモールを後にする。しかし、自動扉の外に一歩出ると、灼熱地獄。表現は大げさだが、涼しかった店内から30度の外気は体に堪える。これから大垣駅まで約20分、そこから横浜までは約7時間、回復に努めてた体力ゲージも見る見るうちに減り、心も折れ始める。


この遠征を始めた頃は、見るもの経験するもの全て、例え遅れやトラブルだったとしても、何となく楽しく感じていた。だが、そう言う事も含めて経験を積み重ねると、正直飽きてくる。特に帰りはモチベーション維持が難しい。そう、去年の今頃、ヤツに言われたあの意味を理解できる時が来たようだ。


楽しかったライブの回想もできず、ヘロヘロになりながら大垣駅へ向けて歩く。この間、バスが無いか調べたが1時間に1本くらいしかなく、タイミングも合わない。歩くしかない。17時31分、大垣駅に到着。すぐに改札を抜け、自動販売機で水を買って、名古屋方面のホームで新快速電車を待つ。


17時40分、新快速豊橋行きは、日が傾き始めた岐阜県大垣市を時間通りに出発。ここからは順調に、ではなかった。すっかり聞き馴染みになった笠寺駅臨時停車のアナウンス、これを聞くと新幹線ワープの準備開始だ。と、勝手に体が動く。


予想通り名古屋駅からはとんでもない混雑になり、遅れも発生。豊橋駅には19時13分、5分遅れで到着。後続の19時11分発浜松行きには何とか乗れたが、通勤ラッシュ並み。浜松駅には3分遅れの19時49分に到着。って、同じパターン、もう何度目だよ。


浜松駅で新幹線に乗り換え、19時58分発のこだま号で静岡駅へ向かう。快適な車内でスマホを充電しながらサンドイッチを食べ、束の間の休息。静岡駅に到着すると、再び普通列車の旅、20時36分発の熱海行きに乗ってここからは順調に。ではなかった。


「ただいま入りました情報によりますと、三島駅で人身事故が発生したとの事です。この電車沼津駅まで運転を見合わせる見込みです」


これはダメだ。吉原駅を過ぎた頃に流れた厄介なアナウンス。車窓に映る夜の景色も相まって、一瞬で闇に包まれる車内。帰れるのだろうか、このまま闇に飲み込まれてしまうのだろうか、不安が過ぎる。いや、不安が過ぎってる場合ではない。ルートを見つけないと帰れなくなってしまう。


在来線は沼津駅と熱海駅間で運転見合わせ、新幹線は影響なし。それなら、沼津駅から三島駅までタクシーとかで行けば何とかなりそう。逆に、富士駅まで戻って新富士駅から新幹線という手段もある。いや、人身事故は発生から約1時間で復旧すると考えれば、沼津駅で待ってるという選択肢もある。


こんな時だが、ヤツとは連絡が取れない。なぜなら、朝の件に対して短く「今日はサウナ三昧、24時のアウフグース終了後に確認する」と返事があった。念のためメッセージは送ったが、ヤツの助けは期待できない。俺にとっては難易度レベル5のクエスト「沼津ダンジョンからの脱出」が発生したようだ。


うーむ…

沼津駅から三島駅までタクシー使って三島駅から新幹線という方法を考えてみる。スマホの案内だと時間は23分程度で約3000円。このルート、同じこと考える人も居るだろうからタクシーが捕まらない可能性もある。だが、こだま号が出発する22時32分まで約1時間、十分な時間はある。


富士駅に戻って新幹線という方法を考えてみる。沼津駅21時35分発の静岡行きで富士駅が21時54分、タクシー使うと約7分で1000円程度。新富士駅22時19分発の東京行きに間に合う。


しかし、新幹線を使っても熱海駅から横浜方面の東海道線は無く、小田原駅まで行く必要がある。新富士駅からだと約3000円、三島駅からだと約2500円。どちらも痛い出費。闇から抜け出すには、それ相応のお布施が必要なようだ。


よく見ると、乗客の中には青春18きっぷで移動する同志が何人かいるようで、同じくスマートフォンを使って調べている姿が見える。そんな事をしているうちに、電車は21時32分、沼津駅には2分遅れで到着。この電車はここでしばらく運転見合わせ。どう動けば良いのか、動かない方が良いのか、まだ決断できていない。


他の人の様子を伺うと、電車降りる人が多い。勿論、沼津駅を目的とする人もいるが、駅改札口へ急いで向かっている様子。とりあえず俺も沼津駅のホームへ降りると、1本前の東海道線も運転見合わせになってるようで、多くの人がホーム上に滞留している。


「三島駅で発生した人身事故ですが、運転再開は22時30分頃になる見込みです」


厄介なアナウンスPART2。さっき調べた情報だと、沼津駅から熱海駅へ向かう最終の東海道線が22時10分発、熱海駅22時29分着。横浜方面の東海道線が熱海駅22時35分発。仮に20分遅れで出発しても熱海駅で接続されるのか。いや、復旧が遅れたら沼津か熱海で泊まりという可能性も。どうすれば良いんだ、誰か助けてくれ。


「21時49分発の御殿場線国府津行きは5番線から発車します」


時間は21時40分、突然、光が差したかのようなアナウンスが流れる。調べるの忘れてたが、御殿場線の国府津行きがあるようだ。早速調べてみると、沼津駅21時49分発の御殿場線、国府津駅には23時11分に到着。さて、問題の接続は。23時17分の品川行きに乗れる。


暗闇に一瞬にして差した光、これでやっと横浜までのルートがつながった。って、最終だから接続できるようになっているんだろうけど。不安定な東海道線ルート、タクシー移動と言う高額課金をしなくても良いルート発見。早速5番線ホームへ向かうと、3両編成に乗客は少なめ。これはラッキーだ。


と、思ったのも束の間。「東京方面ご利用の方は21時49分発の御殿場線国府津行きご利用ください下さい」というアナウンスがあると、一気に車内が混み始める。みんな今気づいたのかわからないが、この電車に乗り込んだ人達は、同じルートを辿ることになるのだろう。


21時49分、沼津駅を出発。さて、どんなことが待ち受けているのだろうか。何て思ってたら、21時56分に到着した下土狩駅でかなりの人が降りる。ここまでの人が多かったのだろうか。いや、大きな荷物を持ってる人も降りる所を見ると、この駅何かある。


スマートフォンで情報を調べると、この駅、三島駅に非常に近い。徒歩でも20分以内に到着可能。これなら22時32分発のこだま号に十分間に合う。そうだったのか。東京へ向かう人達はそのルートがあったのか。俺はまだわかっていないようだ。


東海道線とは違い、山の中の真っ暗な所を突き進む御殿場線。駅に停車する度に人が少なくなり、いつしか車内は全員が座れる状態に。そして時間は22時40分、やっと東海道線運転再開の情報が流れる。だが、この時間まで沼津駅に待機して大丈夫だったのだろうか。


気になる事はあるが、時間は22時56分、松田駅に到着。すると、大きな荷物を持った人を含めてほとんどの人が降り、車内に残ったのは数人。あれ、この駅も何かある。再びスマートフォンで駅の情報を調べると、この駅と小田急線の新松田駅が隣接。しかも、新松田駅23時15分発の急行新宿行きに乗れる。さらに新宿駅から0時46分発の東京行きに接続されている。


そうだったのか。東海道線が止まった時、使えるのは新幹線ワープだけじゃなかった。そう言えば沼津駅で「東京方面」ってアナウンス。俺は横浜駅へ向かう事しか考えていなかったから、他の路線に気付けなかったんだ。


あれ、新松田駅からの急行新宿行き、海老名駅に23時46分に到着する。海老名駅から相鉄線の横浜行き各駅停車が23時55分発、横浜駅に0時35分到着って、こんなルートもあったのか。奥が深すぎて、やっぱり俺には難易度レベルが高すぎるクエストだった。


そんなクエストももうすぐ終わり。23時11分、御殿場線を乗り通し、国府津駅に到着。この後は23時17分発の東海道線に乗り、横浜駅には0時5分に到着。かなり時間はかかったが無事帰って来れた。だが、横浜駅に到着して電光掲示板を見ると、23時50分発の品川行きが25分遅れの表示。これは、沼津駅で待ってたとしても熱海駅で接続できたのかと。


もう、考えてもわからない、帰るぞ。横浜駅を出て徒歩で帰宅し、疲れすぎて食事もせずに就寝。と、思ったらヤツからメッセージが届いた。もう眠い、明日だ明日。


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