表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

188/296

187:宝塚記念 前編

『第※※回 宝塚記念が阪神競馬場でまもなく開催されようとしております。金曜日から降り続く雨の影響で、芝の状況は重よりの稍重と言った状況、この馬場状態がこの後開催される宝塚記念にどのような影響を及ぼしますか。

 1番人気は圧倒的な支持を受け、昨年度の年度代表馬6番ミナミベレディー、今年はシーマクラシックを危なげなく勝利しております。ただ休養明けでの勝率は低いとの評価を受けているミナミベレディーですが、前走から3か月と間隔が開いている事がどう影響を及ぼすのか。


 2番人気は9番トカチマジック、今年の大阪杯、安田記念と勝利を収め、昨年の宝塚記念では2着、何と言っても一昨年のダービー馬、ここはリベンジを成し遂げたい所。今日の天候、馬場は差し馬トカチマジックにとってどう出ますか!


 僅差で3番人気は2番プリンセスフラウ、昨年度タンポポチャ、サクラヒヨリを抑えエリザベス女王杯を制し、今年もシーマクラシックでは2着。その存在感を高めました。そして、何と言っても陣営悲願の女帝越え! すでにタンポポチャには勝った。サクラヒヨリにも勝った。しかし、しかし、前に立ちはだかるはミナミベレディー! 幾度もGⅠ勝利のチャンスはあった。そのレースで事如く立ち塞がったのは女帝ミナミベレディー! この宝塚記念で女帝越えを誓います!


 4番人気は13番シニカルムール、一昨年の宝塚記念を制しこれからと思われながらも昨年は遂にGⅠを1勝もできず。しかし、今年のドバイターフで見事な復活! すでに今年で引退が表明されたシニカルムール、重馬場に強いが故に、この馬場状態は大歓迎。国内で再度復活を印象付けたい所。


 5番人気は16番サウテンサン、祖父から繋いだ菊花賞馬の重み。春の天皇賞では同着ながらもGⅠ2勝目をあげ、祖父が為しえなかった古馬GⅠのタイトルを獲得。あとは何処まで勝ち続けるか、サクラヒヨリと並んで得たタイトルを手に、立ち塞がるはサクラヒヨリの姉ミナミベレディー。ここで良い所を見せられるか!


 6番人気は1番サクラヒヨリ、昨年度の牝馬2冠馬、しかし印象に強いのは何と言っても今年の春の天皇賞。サウテンサンと並んで掴んだそのタイトル。今年の牝馬代表として立ち塞がるのは偉大な姉。その姉を超える事が出来るのか。鞍上を鈴村騎手から長内騎手へと乗り替わり、姉と鈴村騎手のコンビに挑みます。


 7番・・・・・・』


 テレビでは、淀みなく宝塚記念の出走馬が紹介されて行く。そんな阪神競馬場の馬主席では、桜川夫妻と大南辺夫妻、十勝川が顔を合わせて挨拶を交わしていた。


「大南辺さんとはお久しぶりですね。ミナミベレディーとサクラヒヨリが同じレースに出走、感慨深いですね」


 桜川の思いとしては、何と言ってもミナミベレディーの桜花賞勝利から始まったのだ。その後、自身の所有するサクラヒヨリがGⅠを3勝し、更に今年はサクラフィナーレまでもが桜花賞を勝利した。そのミナミベレディーと所有するサクラヒヨリの直接対決に、まさにレース前から興奮状態である。


「サクラフィナーレの桜花賞勝利、サクラヒヨリの天皇賞勝利、凄いですね。ベレディー絡みで我が事のように大騒ぎしてしまいました。本当におめでとうございます。いやあ、所有馬2頭もGⅠ馬とは、楽しみが続きますな。羨ましい限りですよ」


 大南辺としても、ミナミベレディー以外の所有馬もいるにはいる。その1頭であるミナミベキラリは先程3歳以上1勝馬のレースに出走し、残念ながら11頭中7着に終わっていた。


「ありがとうございます。実際の所、ミナミベレディーの活躍を見て期待はしてしまいましたが、実際に此処まで活躍するとは思っていませんでした。ただ、今回はお互いに厳しそうですね」


 桜川の言葉に大南辺も頷く。


 二人ともお互いにミナミベレディーもサクラヒヨリも雨の日は走らない事をしっている。それ故に何とか今日は晴れてくれないかと祈っていたのだが、残念ながらしとしとと雨は降り続き当日を迎えてしまったのだった。


「朝からうちのベレディーは馬房を出るのも嫌がりまして」


「うちのヒヨリは、ミナミベレディーと同じ馬運車に乗れると判った途端態度を一変させたそうです。今も出走まで並びの馬房を手配しましたから、多分ご機嫌なんじゃないでしょうか?」


 そう言って苦笑を浮かべる大南辺に、桜川も同様に苦笑を浮かべた。


「馬見調教師から聞いた話では、最近はダートメインで調教をつけて来たので以前よりは雨でも走れるかもしれないと言う事でしたが」


「オークスの時でも此処までの馬場状態ではなかったんですね。頑張って走ってくれて3着でしたが、牡馬も含めて一流馬が揃った宝塚記念で、ましてやこの馬場状態。厳しいですね」


「少しでも勝率を上げるために、北川牧場の桜花さんをご招待しようとしたんですがね。残念な事に御都合がつかなかったんで」


「確か大学2年生になって色々と忙しくなったそうですね」


 その後、二人の会話は北川牧場の今年の産駒の話へと移り変わっていく。


「ベレディーの産駒を引き取る契約を入れておくんだったと、今更ながらに後悔していますよ」


「うちのヒヨリとフィナーレもです。今から契約内容の見直しは周りからの反発が怖いですね」


「ですな。5年間の種付け料半額負担だけではなく、その5年の産駒引き取りにしておけばと。もっとも、そうなっていたら購入価格をどう決めるかも考えないとですが」


「ぶしつけで申し訳ありませんが、ミナミベレディーの引退は・・・・・・」


「問題無ければ今年の有馬を最終レースにする予定です」


 大南辺の言葉を予想していた桜川は、大南辺を見ながら小さく頷いた。


「そうですね、サクラハキレイ産駒は6歳でも走ってくれますから予め引退時期を決めておかないとですね」


「ええ、それにベレディーには色々と夢を見させてもらいました。というか、叶えて貰いましたと言うべきですかな。この私がGⅠ馬を、更には年度代表馬を所有できるなど、思っても見ませんでした」


「それは私も同じです。サクラハキレイ産駒がGⅠを勝つなんて思いもしませんでした」


「なんせGⅢなら、ですからな」


 そう言って笑いあう二人は、此方へと向かって来る十勝川に気が付いた。


「私達以上にサクラハキレイ産駒に魅了された方がこちらへ来ますよ」


「ですな。生産者としても、特に牝系が強い血統は喉から手が出るほどでしょうからな」


 顔を見合わせてそう話をする二人の所に、十勝川は笑顔を浮かべてやって来る。


「あらあら、私の悪口でしょうか?」


 十勝川に気が付いた二人が顔を見合わせて何かを話していた。その事を笑いながら尋ねる十勝川に、二人は慌てて否定した。


「今日のレースの事もですが、サクラハヒカリの産駒牝馬を購入された事を聞きましてな」


「あら、もうお聞きになったの? 馬見調教師からかしら? 2歳牝馬の可愛い仔ですわ。是非ともミナミベレディーの様になって欲しいと馬見厩舎にお願いしましたの」


 笑いながらそう告げる十勝川だが、その狙いの本質は告げずにトカチドーターの様子を語っていく。


「それこそ、どこかGⅢなら勝ってくれそうですわ」


 サクラハキレイ産駒定番となった冗談をコロコロと笑いながら告げる十勝川に、大南辺も桜川も顔を見合わせて苦笑を浮かべた。


「おや、そろそろ宝塚記念のパドック入りが始まりそうですね」


 桜川の言葉に、大南辺と十勝川は揃ってモニターを見つめる。そのモニターの中では、パドックの中へ1番のゼッケンを付けた馬が入って来るところが映し出されている。


「生憎の馬場ですわね。ですが、これでうちのトカチマジックに勝機が訪れましたわ。流石に良馬場の2200mでミナミベレディーに勝てるかと言われると厳しいですから」


「トカチマジックも良い馬ですからな。遅くなりましたが、大阪杯連覇、安田記念優勝おめでとうございます」


 桜川と違い、大南辺が十勝川と直接会うのは久しぶりであった。


「あら、ありがとうございます。何とかこれでトカチマジックもGⅠ4勝になりました。ミナミベレディーのお相手候補に入れるかしら?」


「そこは私ではなく、北川さんのお考え次第ですよ。ただ、種付け料が高くなりそうですから、どうでしょうか?」


「残念な事に3歳はダービーのみ、4歳は大阪杯のみでしょ? どうかしら、出来ればここをまず勝って、秋の天皇賞、有馬記念と更に勝利を積み上げてお嫁さんがたくさん来て欲しいわ」


 そんな十勝川の強気の発言に、思わず苦笑を浮かべる二人だった。ただ、競馬ファンの評価とは違い、競馬関係者内ではトカチマジックは1600から2000が最適距離ではと言われており、年末の有馬記念、宝塚記念では厳しいのではと思われていた。


「ベレディーの婿探しは色々と大変そうですからね。パドックでも牡馬を威嚇していますよ」


 そう言って笑う大南辺の視線の先では、パドックを回りながら牡馬を威嚇するベレディーの姿が映し出されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] アナウンサーのお馬さん紹介好きです♡(*´ω`*) しかし大半の子の壁と化していますね女帝ミナミベレディー トッコさんのほほんとしているけれど実績とんでもないですよね G1で姉妹対決出来る…
[気になる点] 大南辺さんが産駒を引取る契約はしてないので後悔してるみたいだけど。50話で大南辺さんにトッコの産駒の第一次選択権があると書いてたので、買おうと思えば買えるし、気に要らなければ買わなくて…
[一言] >>残念な事に3歳はダービーのみ、4歳は大阪杯のみでしょ? ダービー含めてG14勝。マイルと2000連覇。ダービー勝ってるなら晩成と取られることもなし。マイルから2400って今一番価値の高い…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ