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36話・あなたはコブリナのこととなると周りが見えなくなる


「ヴィヴィ。どうなさるおつもりですか?」

「まずは話を聞いてみないと。突き出すのはいつでも出来るわ。アイギス公子、どうしてここに?」

「君達がこの船に乗り込むのが見えて、その時に閃いたんだ。帝国に助けを求めようと。いま、反大公派が宮殿を占拠している。彼らを追い出す為にも、コブリナの祖国である帝国に兵を借りようと思っている」

「宮殿が占拠された? 本当の話ですか?」


 公都では皆が何事もなく暮らしていたように見える。信じがたい話だ。ロンカー老人も、そのようなことを公子に言われて助けを求められ、信じられないと言っていた。でも、アイギスは嘘をつけるような性格でもないことを知っているだけに、ヴィナールは半信半疑だった。


「本当の話だ。その反大公派の筆頭がマロフ公爵だ。そして宰相や、将軍も彼と手を組んでいる」

「では大公は退任に追い込まれたと言うことですか?」


 マロフ公爵の名前が出て、ヴィナールはあの彼ならやりかねないと思った。アランは何を狙っているのだろう? 人間の意識をいじるのが得意そうな神だ。下手に相手をしたくはない。


「でも大公は人気がなかったようではないですか? 退任を要求されても仕方ないのでは? きな臭いことも色々、行っていたようですし」


 帝国に助けを求めても意味ないのでは?と、クルズは辛辣に言う。


「あなたさまも公子という立場を利用して、好き勝手やってこられたのに虫が良すぎるのでは?」

「……批難されても仕方ないことだとは思っている。でも、宮殿にはコブリナが残されている。彼女を助けるためにも皇帝にお会いして、救援の兵を出して頂きたい」

「あなたさまは見る目がないようだ。コブリナさまなら今頃、他の男を誑かして逃げ出していますよ。もしかしたらもうすでに他国に逃げているかも知れません」

「私の事は何と言われようと構わない。でも、妻の悪口は許さないぞ」


 クルズの発言に、アイギスは無礼な。と、怒った。ヴィナールは大きくため息をついた。


「あなたはコブリナのこととなると周りが見えなくなるから」

「きみまで何を言い出すんだ?」

「いい加減に気がついたら? コブリナはあなたが思うほど信用出来る相手ではなくてよ」

「どういう意味だ?」

「コブリナは帝国にいたときから異性との噂が絶えなくて、彼女付きの女官が毎朝、嫌がっていたわ。情事の後を片付けさせられるから」

「嘘だ。私は信じないぞ。そんな話。その女官が嘘をついているだけだろう?」

「公国でも彼女の噂話は出なかった? 火のない所に煙は立たないと言うけど?」


 アイギス公子は何か思案するような素振りを見せた。心当たりはあるのね? と、ヴィナールは思った。そこで彼女の過去を晒すことにした。


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