異世界キターーーーー!
のんびり投稿します
「ここは?」
気が付いたら 辺り一面真っ白で ふわふわ柔らかな雲の上にいた
「気がついたようね」
顔をあげると
金に輝く長い柔らかそうな髪の毛 顔の作りが いや からだの作りから全てが 人にあらぬ美しさ神々しさ 眩しく後光がさしている
まさに 言葉にできぬほどに 美しい 美しい以上の表現のできないオレを憎々しく思う程に
うん 女神だな 確実に!
・・・と いうことは ま まさかの
「そうよ 今から行くのは 」
「異世界 キターーーーーーー!」
「えっ? 私に言わせてよ」
異世界 憧れの異世界 麗しの異世界
どんなに異世界に行くことを願い続けたことか
異世界が あるかも的な情報を得てから
神に願い 異世界と名のつく文献を研究し
…つまりは異世界と名のつくライトノベルを読みあさり
料理を学び 滝業もし さらには怪しげな田舎道を一人歩き
いつどこかにとばされても大丈夫でなように 非常食 水筒 ナイフ ライターマッチ 飯ごう 寝袋 薬 紙にペン しばしばの食料 金銀財宝その他諸々を持ち歩き続けること 早数年
そう 準備万端に し続けた結果
念願かない 遂に 遂に 遂に…
異世界キターーーーーーー!!
「あの~
いいかしら? あなたのものすごーく 重たい思いにこたえる形で 話をすすめても┅」
あ どうぞどうぞ
って あれ?オレしゃべってなくね?
「もちろん 言葉なんてこの場において意味のないことよ」
はぁ~ さすが女神様ってことだな
考えていることが読めるんだな
ん┅でも 顔に出すぎているって可能性もあるな
よしポーカーフェイスをして
あっかんべろべろべろ
おならぷーーーーー!
おしりペンペン
「┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅」
オレは表面では平常を保ち 全力で心の中で 変顔をして その後 女神に向かって失礼極まりない行動を想像した
しかし 女神と名乗った方は 顔の表情を濁すことなく そのまま 眉ひとつ動かさない
┅┅┅面白くなかったのか
すまん 女神様よ 優先すべきは お笑いギャグセンスの勉強だったか┅
「そこじゃありません!」
あ やっぱりわかってるんだ
どうやって考えていることわかるんだろうか?
謎だ
まぁ いっか
そこがポイントじゃないしな
で オレはどうやって転生するんだ?
今のままか?赤ん坊からか?
何かしらの役目はあるのか?
勇者や英雄ってのも確かに憧れるが
豪商と捨てがたい チートな魔法使いに ランクSSSクラスの冒険者もいいな
そしていつかは そのスキルを使って のんびり気ままなスローライフもいいかもな
って あれ?
女神様が 頭おさえてる
美人で綺麗な人がやるとそんな姿でも 様になるな~
「ありがとうございます
はぁぁ~」
なんだ なんだってんだ このため息
何かしら失敗して 落ち込んでいるのか?
そんなのは オレはいつものことだな
仕事で失敗をしたり 失敗を押し付けられたり
家族もなく 愚痴を言う相手もなく
そんな時は 酒に頼ったな~
「本当に そんな気分です 今すぐにでも酒盛りしたいところです」
何が そんなに落ち込むことがあったんだ?
「それは あなたを┅ 」
あなたを?
「あなたを」
あなたを┅
「ただ┅┅異世界に招きたかっただけなんです」
えっ┅
「すみません あまりにも異世界をこよなく愛しているから 来ていただけたら こちらの世界も少しは刺激を受けて より良くなるかしらって思って」
┅┅
「迷惑だったかしら 何かしらの使命が欲しかったのかしら」
┅┅
「い いいのよ 今なら 私の力を使い果たす勢いで送り返すことも 何とか 何とか可能なはずだから 言ってちょう┅」
いえいえ とんでもない
ありがたき幸せ
送り返すだなんて そんなとんでもない
あなた様の世界へのお招きありがとうございます
┅┅ただ
使命も何もないだなんて┅┅
憧れの異世界 麗しの異世界
オレもその世界の中で ただひっそりと暮らすのではなく 沢山の脚光を浴びた活躍をして 人々に夢と希望を与え 更にはウハウハのモテモテで 幸せに暮らしたかった┅
こんな邪な気持ちが有るから駄目なんだろうか┅
はっ┅か 顔がダメなのだろうか
体だけなら 無意味に田舎や山を歩き続けただけに 意外に筋肉質でいい体をしているはずだ
女子社員からは
体だけならいいのよー 顔がね~
と 言われ続けていたしな
いや しかし 生来からの憧れは拭えない
うっ うっ うっ┅┅
な なんとか なんとか ならないのだろうか┅
「わかりました 招いたのは私の責任です
憧れの強い貴方なら どうとでも生きていくだろうなんて 危険な事をしようとしていて申し訳ありません
貴方に いくつかの力を与えます
そうならば 生きていく道が広がるでしょうし
確実に 生きやすくなるでしょう
そして 貴方が力の限り目指したい道へ進むならば
道はひらけるでしょう」
そ そんな
「いいのですよ 感謝など┅」
そんな サバイバルな経験させようとしていたのかー!
「えっ?」
異世界に 何の力もなく放り込まれただけならば まずは魔物に殺られるか 盗賊に殺られるか
運よく街にたどり着いたとしても 言葉も伝わらず 金もなく 飢えて行き倒れるのみじゃないか
こうやって わざわざ顕現したのなら 確実に力を与えるのが常ではないのか
それとも 女神様 もしかして もしかしてだけど
麗しいお姿を披露したかっただけとかじゃないだろうな?
普段 異世界の人々から崇められる事が減ってきているからって 異世界人からの崇拝を受けようとした だけとかじゃないよなー?
「ギクリ」
そうなんだ
そうだったんだ
女神様も 大変だな
ここは ま 酒でも飲みながら語り合おうじゃないか
「わ 私は┅」
まぁまぁ オレの世界の酒だ
なかなか味わえないぞ
旨いから 飲んでおいて損はないぞ
「┅じゃぁ 少しだけなら」
おぉ~ 女神様 人生山あり谷あり イヤなことは酒を飲んで気晴らしして 忘れちまえ~!
「ありがたく いただきます あら美味しい」
いや~ 女神様 イケる口だな~
ほいほい またグイッと
数時間後
「ねぇ~ 聞いてる?
私も辛い立場なのよ
皆の為にしてあげても私のお陰とは思われないし
自分の力で乗り越えたと思われちゃうから
私の世界の住人からは忘れられかけてきているし
更には 私の上司からは このままじゃ 女神から女中に繰り下げだって言われ続けているし
もう どうしたらいいのよ~!」
ハイハイ
女神様って仕事も大変なんだなー
雲の上からのんびり下界を眺めるだけじゃないんだな
って この話 さっきから8度目だよ~
女神様 愚痴が貯まっていたのか ただ単に 酒癖が悪いのか
「あによー!!
私は酒癖なんて悪くないわよ!
酒なんて飲んでも飲んでも飲まれるなんてことは無いわよ!」
わかった わかった
こんな雲の上で 話を親身に聞いてくれる人もなく
上からも下からも叩かれて 辛かったんだな
「ぞうよーーーーーー!!
わだじの ぎもぢわかってぐれるのね~!!
ありがどーーーー!!」
酒臭ぇ~
泣きながら抱きついてくるなよー
さ
まだ飲むか?
┅って あれ?
寝ちまったのか
仕方のないダメ女神様だなー
リュックの中に 毛布があったはずだから かけてやるか
ふぁーぁ┅
オレも寝るとするか
おやすみ
ダ女神様
「どういうこと!
どういうことかしら?
昨日は 地球から人を呼んで お酒を貰って
その後の事を 全く覚えていないのに
その人が 私と同じ毛布で寝て しかも腕枕までしてくれて
頭撫でて
だ だ 抱きしめてくれているなんて
これは なに?
胸がドキドキする」
ふぁーーーー
あ おはようだ女神様
昨日はゆっくり眠れたか?
「あ あの 私┅┅」
昨日は酒を沢山飲んで 寝てしまったんだよ
今まで 色々大変だったんだな
疲れていたようだったから そのまま オレの毛布をかけて眠ったんだよ 毛布さすがに一枚しかなくて 悪かったな
「そ そうなのですね
それは大変失礼致しました
どうも ありがとうございます」
ま ムリしすぎてもいいことはないから
程よくムリする程度までにするんだぞ
「┅┅はい」
(うっ┅ 思い当たる節が多すぎて 何を語ったか覚えていないのに 何となくわかってしまう┅
誰か 昨日の私を止めて うっうっ 女神としての威厳が┅)
ありがとう
ありがとう
ありがとう