表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昔苛めていた幼馴染が勇者になって帰ってきたんだが 三人称  作者: ワシワシ/三月ふゆ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/39

Tcの世界

 まだ、ワールドワイドウェブが一部のもので、電子掲示板が全盛期であった頃の話です。

 携帯電話の普及前、ポケベル全盛期であった頃の話です。


 電子掲示板に、一つの書き込みがありました。



【エルの物語、フェリュシオン、ヒスパニア、エレボス……中略……アルルヤード上位魔法の塔、アズール事変、いずれかのキーワードに覚えのある方、連絡求む。連絡先は ×××……】



 これが始まりです。

 さあ、皆さん。


 本日は私、若輩ながら精神年齢七百歳超の鈴木陽一が幹事を勤めさせていただきます。


 エルの世界の記憶保持者の会、記念すべき第××回目の会合を開催させていただきたいと思います。


 そこっ 口笛吹くな!! 俺はっ TSエルフっ娘じゃないっ あれは! あれは!!! 黒歴史だったんだ!!! 

 泣くぞ! 泣いちゃうぞ!!! 精神年齢七百歳に思えないとか言うな! エルフの精神構造はひとと違うんだよおお!! 若造なのっ 俺若造だったの!! あれ、本当に目から汁が出てきた……これは心の汗なんだ。そうなんだ……



 乾杯。乾杯だああああ!!! ハイエルフに乾杯だああああああああ! ディードリットは正義なんだよおおおおおお!! でも俺はちがうんだよおおおおおおおおおおお!!!


 ぐすっ ぐずぐず




 すみません、陽一さんがインナースペースに引きこもり状態になりましたので、私が代わりに司会を……


 先日、『エルの物語』の第一巻が発売されましたね。皆さん、衝撃というか、本当に感慨深いものがあるかと思います。

 ようやくです。


 まだ読むことができない方もおられるかと思います。私も……大学で初めて『彼女』の原稿を見た時から、発売されることがわかっていたはずなのに、いざ書店に並び、いざ手にとって、読み始めるまでに、時間がかかりました。


 でも、読んでよかったと思います。


 懐かしい。


 とても懐かしいです。


 あの世界が憎かった。辛かった。でも、いまは。ただただ懐かしいのです。


 あれはきっと本来の世界ではなく、私たちという異分子によって、運命の変わった世界でしょう。

 この『エルの物語』は、本来の姿なのかもしれません。


 我々の世界も、我々というイレギュラーを内包した時点で、またすでに本来というべきか、それとは別の姿になっていることは明白です。ミチルちゃんの例をとってもね。


 さて、『エルの物語』についてです。

 色々違う部分もありますが、改めて読むと、ああ、これはと思う部分もあれば、こういう改変があったのかと思う部分もあり、興味深いです。


 特にリュ皇子……あの方、高慢な魔族の姫という設定だったんですねえ。


   【ここでどっと笑い】


 ふふ、初期の段階で知己を得て、その苦労っぷりを時々拝見していましたので、笑っちゃ悪いんでしょうけれど、正直おかしいです。しかも、エルの婚約者で、正統ヒロインの当て馬にもなれない、かなりモブ雑魚っぽい感じ……まあ、後に実はエルが好きだったけれど、プライドが邪魔して素直になれなかった、という悲恋オチではないかと睨んでいますが。彼女、そういうの好きそうですし。っとと、脱線しました。


 エル、そうエルです。


 私は、残念ながら、彼にはあったことはありません。


 この物語では、粗筋にとどめますが、残虐な魔族の侵攻に人々が苦しめられている世界。エルという魔族の少年は、一人『優しさ』の心を持ち、本来殺される運命にあった亡国の人間の姫を助けてしまいます。


 この亡国の姫は仲間を募り、分断された人々の輪をつなげて、魔族への抵抗を挑みます。


 そして彼女に共感し、魔族を裏切り、人の側に立って戦うことになった魔族の少年の運命は……というのが大まかな粗筋ですね。


 二本の魔剣を巡り、過去から未来へ運命の小車(おぐるま)は回る。と、キャッチコピーがなんだかなーという感じですが、この間国際電話した際聞いたら、これ日本側出版社の編集がごり押ししたらしいですよ。あ、またずれました。


 ともかく、これからの時間軸上に帰ってくる【記憶保持者】の人もいるでしょうが、今後はこれまでのキーワードで探すのが困難になりますね。


 すでに重版かかっているらしいですし。


 まあ、相互扶助会の名の、単に酒飲みの集まりですが。


 救われた部分はとても大きいです。


 できれば、次の会合もぜひ持ちたいです。


 さあ、もう一度乾杯しましょう。


 懐かしい、あの世界に。残った我々の同士に。帰ってきた我々に。そして、未来軸に帰ってくる仲間に!



 乾杯!!! 






 


            ***





 あなたは。



 この物語が崩壊する


 可能性のある


 枠の外を覗きますか?



 YES → このまま読み進めます


 NO → ここでこの物語は終わりです





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ