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作者: につき

つぶやくように

語りかけるように

時に叫ぶように

震える声はとどく


かつていのちとして手をのばし

届かぬことに絶望し

断ち切れたことを知った

頑なさを透かし


震える声は声の源へ

薄暗い洞窟の奥へと

澄み切った青い地底湖へ導かれ

未踏の純心へ届く


それは最も弱いだろう

それは最も脆いだろう

だからつまり

それは最も美しく優しい


それを汚すことは出来はしない

己でさえ触れることも許されはしない

それは言葉の源であり

いまもなお生まれたての無垢がそこにある


それを言葉は心と呼んだ

踏みにじられても尚

光りだけを求めている

声を求めている

やさしい表情を求めている

温もりを求めている


そこから想いが生まれていく

誰かを乞う弱さこそ

その誰かを求める脆さこそ

言葉の前にある恐れ

我らの等しい徴


生まれたての恐れがいまだ消えずにある

そのことを皆が忘れている

我らは答えを求め続け

いつか問いである己を忘れてしまった


我らは何処から来て

何処へ行くのか

そして

我らは何者なのか


美しい声が響くとき

そこに言葉はいらない

言葉の前の言葉がある

本当の声がその奥へと響く

抗うことの出来ない求めこそが

我らを愛へ繋ぎとめている

言葉は言葉を伝えようとしているのではなくて、その前にある何かを伝えようとしている。真摯な言葉にこめられているものは、いつも互いへの信頼であり、そして等しさという徴である。

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