一本外れたネジ
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「大丈夫だってちゃんと着いた日本異世界ゲート研究開発機構に。」
「緊張してる?ねえ緊張してる?」
「当たり前だろ。冷やかしはやめてくれよかーちゃん。」
「緊張を解す必殺技教えてあげようか?」
「もういいからありがとうかーちゃん!」
「もうマー君の行けずなんだから言話を聞かない男はモテないわよ。」
「良いの!持てる必要ないから!」
「もう、じゃあ教えてあげないけどやってあげる。」
「え?」
「WA————‼」
耳が思わずキーンとなるほどの大きな音が鳴り響く。
「うわああ何すんだよかーちゃん。」
「ほら素面に戻ったでしょう?」
母の要らぬ気づかいで驚いてしまったことで目立ってしまった。皆が皆がクスクスと笑っている。
「もういいよ切るから。」
プツンと切ると逃げ場のない恥ずかしさに顔を赤くしながらもこんな時こそポジティブに考えようと必死に頑張る誠。
”恥は先にとっておいた方がいい”……
異世界渡航者選抜に受験者は私を含む60名までに絞られていた。
で、この60名が人ずつA・B・Cの3班に分けられて、それぞれ1週間に及ぶ第2次審査を受けることになった。
そして現在、60人を10人に絞るための2次審査が始まっちゃうのだ。
「6番鎌田さん面接室へどうぞ。」
「ひゃ……っはい!」
緊張がぶり返して変な声が出てしまった。だがやれることをやるしかないんだ。
コンコンコン
「じゅ……受験番号C-6番鎌田誠です!よろしくお願いします!」
「はいよろしく。」
ドキドキが止まらない。総勢15名による圧迫面接、そして椅子に生じた違和感が私を襲っていた。
「××××××××××××?」
「××××××××」
「××××××××?」
「××××」
~
「あ……ありがとうございました!それでは失礼しますっ。」
パタン
「………」
試験内容は上手く頭に入ってこなかった。電気工事士時代の悪い癖が出てしまったが変な奴だと思われたらどうしよう。
面接中ある小さな雑念が私を捉え邪魔し続けた。そのせいで私は全っ然面接に集中できていなかった気がする。
なんと
椅子のネジが一本丸々無くなっていたのだ!
ありえねぇよ……日本異世界ゲート研究開発機構だぞ ここ。
『日本の異世界開発の最先端にありながら椅子のネジ一本無いなんて』
しかも椅子の位置がずれている。
私はそれを直したいという意思でずっと変な姿勢になっていたと思う。
2次審査をパスできるのは60人中10人……変な姿勢だった私はまず最初に除外されるだろう。人生なんてネジ1個で狂っちまうんだなぁ。
優……
「………はぁ——」
「あなたも受験生でしたよね。」
「ん……?」
どうやら他の受験生が話しかけてきたらしい。
「ああ、そうだよ。」
「見たところ同学年かな28くらいですか?」
「いかにも……20と8くらいですがなにか?」
「いえ話の合いそうな人を探していたものでして。」
「ああなるほど。」
確かに一週間仲間がいないのは寂しいだろう。
「自己紹介遅れました。同じく28の来夢 正です。これから一週間頑張っていきましょう。」
そういい手を差し出す正。
オォ———ッ
誠は青年の態度に感心していた。
「鎌田誠です。」
七三というレトロな髪形のわりに爽やかさを出しつつ生真面目さを残している好青年だ!
この年で同年代のことを同学年と呼ぶあたり……まだまだ青春してやがるな!
「え!マジでお兄さんなの⁉あの鎌田優さんの⁉」
「そう、似てないけれどね。」
私は黒髪で生まれてきたが優は隔世遺伝で茶髪に生まれてきた。そのため顔の印象もだいぶ違う。
10分ほどで正と打ち解けると会話を弾ませていた。
「ねえあの女の子も受験生かなマー君?見たところ25だけど。」
「そうだね。」
とても綺麗な美女といった感じの綺麗な黒髪の女性だった。
…
面接室
「どうしました猪川さん?」
「ん……ええちょっとね……遊び半分でこの椅子に細工しといたんです。」
猪川と呼ばれた禿げツルピッカのおじさんは楽しそうに答えた。
「細工?」
「この椅子わざと1本ネジを抜いてあるんです。しかもちょこっとだけずらして。」
「座ってみると重心が違うし若干ガタつくんですよ。」
「……?」
「受験者控室にある同タイプの椅子はもちろん重心がそろっているしガタつきません。この小さな違和感に気付く受験者は居るかなと思いましてね。」
「ほほう。」
「そんなの気付く受験者なんているんですかね?」
「A班B班はともに0人でしたがC班にはなんと3人も居ましたよ。」
「へえ。居るんですね。」
「1人目はすぐにネジの存在に気付きましたがその後は別に気にも留めない様子でした。2人目は気付いたときに思わず笑ってしまい笑った自分に驚いていましたね。そしてもう一人は……ずっとネジ穴を正しい位置に戻そうと必死に手を伸ばしていましたね。実際ネジ穴にピタリと合わさっていました。」
「それって単に面接に集中できない人たちなんじゃ……」
「ははっ、まあ……そうも取れますね。だから遊び半分なんですよ。」
そして部屋に飾られたある人物の肖像画に目を向けた。
「だけど僕が初めてここで面接を受けた時に同じことをされたんです。」
「……」
2人居た面接官は押し黙った。
「仁さんにね。」
「仁さんにですか?」
「賭けてみます?あの3人が残るかを。」
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