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兄弟2

初めましてとそうでない方もこの作品をクリックしてくださり誠嬉しく思います。この作品はプロット、元となる作品があるため著作権に引っかかる場合すぐに削除いたしますのでご了承ください。

「それどういうことマー君実家に帰ってんの?」


国際電話を用いて話している人物がいた。


「そーなの!ドロップキックかましてクビになったのあの子!面白いでしょう?」


「ええ!?」


「あっ……!これ内緒だったんだ!優には言うなって口止めされてたの私!うっかりだわ!」


「……そうか、じゃあ今はマー君は仕事探しだな。」


「そーなのよ。応援してやって。」


「……」


優はどれが誠のためになるか少し考えていた。


「母さん……マー君のためにさ、ちょっと手伝ってくれよ。」


優は母に驚くべきことを話した。


「それは……兄弟っぽくっていいわね。いいアドバイスありがとう。」



「マー君ごはんよー。」


そう呼ばれても起き上がれる気がしなかった。今日も仕事が見つからなかったのだ。

ふとふと自分の幼少の頃の机に飾ってある写真立てを見た。そこには日本人異世界到達者の仁さんが居た。仁さんは異世界を目指す日本人なら誰もが憧れる人物で子どもの頃のヒーローだった。開拓、調査、研究、どれをとっても彼の実績は素晴らしいものだったのだ。


その写真の中にはもう二人の人物がいた。


私と弟だ。


あの時の仁さんは心臓を鷲掴みにするようでいて優しく包み込むように背中に手を添えてくれた。そのときの私の心臓はまるでボクシングのパンチのように強烈な音で初めて乗った絶叫ジェットコースターのように急降下と急上昇を物凄い勢いで繰り返していた。ブレーキのない車のように異世界憧れがグングンと膨れ上がっていた。


私と弟はそのとき同じことを思っただろう。いや確信をもって思ったと言える。


この人が見てきた異世界へ自分も行くんだ!行って見せるんだと。


「仁さん……」


その写真から目を外し布団で暗闇に入る。


「優がやりましたよ。あいつは異世界へと行きます。


ちなみに俺はもうダメです。


そう思えてしまうくらいには誠は人生をあきらめてしまっていた。


 もう異世界は目指せないと今からでは遅すぎると

 言い訳染みているようで

 社会に適応しようとしているようで

 自分を無理矢理納得させようと


未練がましく言い訳をしていた。


ーピロン!ー


スマホが鳴った。もしかしたら飛び入りで採用OKしてもらったのかと思いスマホを見ると我が誇らしき優秀な弟、優からだった。


「おいおいかーちゃんばらしたのかよ。」


XXX年の8月3日のCD聞いてみろよ。


「8月3日、あの日か。」


ボイスレコーダーの録音を行った物は全て100円ショップのCDに落としてあった。今ではタンスの肥やしとなっているそれだが優は自分のもあるのに取って置いてくれと言われてずっと取ってあった。


8月3日 モンスター発見!


「見つけた。」


あの日に録音したこのCD、私は特に聞くことが無かったが優は自分で録音していたあの日のCDだけはかけがえの無い宝物のように大切に持っていたという。


何故今頃になってこのテープを?

と思いつつパソコンに繋いでヘッドホンを耳に当てた。


「遅いよもうっ早くして。」


優が急かすように手を引っ張って俺を連れていく風景が思い浮かぶ。


「おいおいなんだよ。」


「あれ!」


シャラン


「何アレ。」


シャラン


「わかんない。」


シャラン


「異世界だ、異世界だよマー君。」


シャランシャラン


鈴のようで鈴よりもとても柔らかな音色が聴こえてくる。


「あの時こんな音聞こえてたっけ?」


いや、聞こえてなかった筈だ。もっと鈴虫やらなんやらの鳴く音が聞こえていた。


もう一度再生する。自分の耳が正しいのか、それとも昂る感情がそうさせたかったのか何故か私はこの時再び再生させた。


「何アレ。」


シャラン


「わかんない。」


シャラン


「異世界だ、《《異世界だよ》》マー君。」


シャランシャラン


この音だ!この音こそが誠の心に火を灯しはじめた


マジかよ……!?


そう私の中のナニカが嵌ってくる感覚と異世界の未知からのメッセージに気分を高揚させていた。


シャランシャラン


「異世界……言ったんだよな?」


「「……」」


「マー君俺 今…………なんとなくだけど、なんとなくだけど将来は異世界渡航者になってさ、あのモンスターを探しに行くような気がしたよ。」


「……!」


確か、私が思った言葉は


さ……先に言われた!


「マー君はどうするんだ?」


「えっ俺か?」


「お……俺は〰〰〰〰……」


俺はなんて言ったんだっけ?感じなところがどうにも思い出せない。


ザザッ


草を踏む音がする、必死に考えてたと思わせるには長すぎる間と行動だった。


「お前が異世界であのモンスターを見つけるなら兄ちゃんはその先に行くに決まってるさ。」


そうだ!私はあの時


「あのモンスターを解明するさ。」


やっとピースが全て嵌った気がした。


「じゃあ約束だよ。」


「あ……ああ約束だ、俺ら二人で異世界渡航者になるぞ……」


カチカチ


そこでCDを止めた。


「約束……」


優が私に、俺に聞かせたかったのは……ここか———


俺に約束を果たせよって言ってるのか……?


ーピロンー

兄貴だろ


あいつらしい。異世界目指してやるよ!



今はコンビニバイトをしながら異世界についての勉強をしてる。


あ~皮肉なもんだな。ここのコンビニのビル、俺の設計だぜ。可哀想に配線に埃がかぶりまくってやがる。


早く帰って読みかけの本を読みたい。叶わぬ夢だと思っているけど。昔みたいに異世界の妄想に浸りたい。


XXX年9月1日

お昼の地獄行列を乗り切ったころ。私の家にある封書が届いた。


「……」


母親が手渡した書類に驚愕の目を向けていた。


「日本異世界ゲート研究開発機構……!?」


異世界渡航者を輩出する機関で私も一般ブースにはしょっちゅう通っていた。


「けどなんで日本異世界ゲート研究開発機構が俺宛に?」


後ろからひっそりと見つめる母の姿に誠は気が付いていない。母が履歴書を出しその通知が届いたのだ。


『新規異世界渡航者』……『選抜試験』……


え……?


書類選考を通過しましたことをお知らせ致します。


「ゆ……優……」


私はこの時どんな顔をしていたのかははっきりとは覚えていない。だがおそらく老いたトカゲのようにシワクチャな感じで

号泣していたような

笑顔でいたような

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