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得て失って -Can you continue?-

作者: 白衣と眼鏡の猫

人は、何かを得ると同時に何かを失っている。


時にはどうでもいいことを得て。


時には忘れてはいけないものを失う。



小学5年生の僕

世の中に溢れている目新しいものに憧れ、絶対的な友達、俗に言う親友を得た。


まだこの社会を詳しく知らない。


けれども素晴らしいものなんだと、知っている気でいた。


そして


「こいつさえ居ればいいんだ」と。


他にはなにも要らない、なんて言っていたこともあったか。


しかし素晴らしいものを得た。つまり失いもした。


幼馴染の女の子。


前まではあんなに仲良かったのに。


今では全く喋らない。


お互い喋ろうともしない。


でもそれがさも自然の事かのように。


誰も突っ込まない。


誰も気が付かない。


あんなにも仲が良かったのに。



中学2年生の俺

様々な出来事、物事に対して意味もなく疑い、そして遠ざけた。


疑うことを知った。


疑われる事を知った。


この世の中、どれだけ自分が過ごしづらいものなのか。


どれだけ努力しても報われないのか。


自分の居る意味とかを考え出したらキリがなかった。


小学生の時に散々絶対的な仲間だと思っていたあいつ。


中学校は同じでは無かった。


違う中学校だというだけで今までのことなんて無かったかの様に出会わないし連絡も取らない。


それでもそれが当然なんだと受け入れる俺が居た。


そして信じる俺を失った。


何事にも憧れる俺を失った。



高校1年生の自分

要領よく処理出来る様になった。


物事を表面的にとらえることを知った。


今までの経験から、何をすれば良いのか。


どうすれば他人に構われないか。


今の目先快適に、静かに事が運ぶかを優先した。


確かに快適だった。


誰とも関わらずに過ごすことができた。


その快適を得た犠牲に


自分の理想を失った。


理想を追い求める自分を失った。



無邪気の意味は知っている。


テストで出されても答える事なんぞ容易いことだ。


でも、出来ない。


もう無邪気なんてもの自分には何一つ残っていない。



高校3年生の自分

諦める事を知りそれが楽な事だということを知った。


今まで苦しくも積み上げて来たもの。


全てが意味の無いものに変わる瞬間。


だが不思議と辛くはなかった。


それどころか楽だった。


全てのものから解放された。


でも


期待されることは、失った。


自分の夢とかなんとか。


全て


失った。



そして今を生きる。


何も目的はない。


失うものはない。


反面、得るものもない。



俗に言う廃人である。



誰も自分を傷つけない。



誰も自分に期待しない。



あの時、違った選択をしていれば……。






キボウッテナンダッケ?





Can you continue?

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