ピクシー
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「うおおおおお!!」
なんだこの鳥どもは!小型の青い鳥だが嘴が回転している。上空から急下降したかと思うと狙いをつけ突っ込んでくる。まるでドリルだ。壁にぶっ刺さったあとも、嘴は回転し続けドンドン奥にめり込んでいく。なんて危険な奴らだ。
「あ!でも鳥型モンスターなら飛行スキルを持っているかもしれないな!そしたらとうとう俺は空を飛べるぞ!」
「・・・ツバサ様・・・非常に言いにくいのですがおそらく普通の鳥型モンスターは飛行スキルを持っていないのではないでしょうか?」
「え?なんで??」
「鳥にとって空を飛ぶのはスキルでは無くて体の構造上当たり前のことですから。人間でいったら歩くのと変わりません。人間で歩くスキル持ちなんていないですよね?」
「・・・ガーン。」
「じゃあどんな奴なら飛行スキルを持ってるんだ・・・」
「そうですね・・・ドラゴンとか??」
「ドラゴン!?いるのですか!??」
「え?」
「え?」
なんだその顔は??どういう意味だろうか?
「いるのですか?って・・・魔族を除いてこの世界の最強種と呼び声高いじゃないですか。」
「ああ、そうなんですか。俺はこの世界の出身じゃありませんからね。」
「え?」
「はい。」
「ええええぇぇぇ!」
「とりあえず当分の目標としてドラゴンを倒したいですね。」
「いや・・・ドラゴン1匹倒すのに兵士100人の犠牲がいると言われてますからね・・・・じゃなくて・・・もう私には何が何だか。」
「ハハハ。これ以上は何もありませんよ。」
「そ、そうですか。」
「おっと。」
粋のいい奴が突っ込んできた。
≪マスター!オレっちにまかしてくださいっす!≫
≪おお。大丈夫なのか?≫
≪おいっす!≫
自信満々にそう言うとロマンは硬化を発動させた。プルプルボディがカチカチになる。見た目では違いがそれほど分からないが、ドリルのような嘴をもろともしていない。一向に削れる気配が無いので鳥さんもビックリだろう。そして弱ったところを亜空間接続でパックリ食べてしまう。
≪マスター!吸収してみるっす!≫
≪おお。≫
≪むむむ、ちょっと時間がかかるっぽいっす!≫
♢
その後大した危険もなく次の階層へと到達した。
辺りを見回してみるがこれまでとは違い一本道が続いている。特に危険はなさそうだがソフィアさんの息遣いが荒い。しかも頬がほんのり赤みを帯び目が虚ろだ。
「え?」
いきなり俺の左腕に絡みついてきた。やわらかい何かが腕の側面に当たっている。まるでラブラブの恋人のようだ。
「ちょっと!ソフィアさん!?」
「何ですか?ツバサ様??」
「えーと、、、、急にどうしたんですか?」
「?」
俺の質問に対して首をかしげ不思議そうな表情をする。
「ふふふ、早く行きましょう!」
「・・・は、はい。」
よく分からないが冷静を装ってそのまま進むことにした。
気のせいかもしれないが、わざと当てているのだろうか?そうだとしたらあざとい女だ。まあ、そんな女子も嫌いじゃないけどな。うむうむ。
せっかくの機会なので、二の腕に全神経を集中させその弾力を確認してみる。
・・・え?
衝撃の事実に直面した。もちろん指先で確認したわけでは無いが、スライムのロマンとは全く異なる柔らかさだったのだ。あいつは男の夢でも何でもないただのスライムだった。
俺が今まで信じきたものは一体何だったのだろうか。所詮妄想でしかなかったということか。
「ツバサ様私もう我慢できないです。」
「え?大丈夫ですか??」
そんなに体調が悪いのだろうか?そういえば階を上がるごとにしんどそうにしていた。
「早くベットに・・・」
「いやしかしここに横になれるベットなんてありませんよ。」
どうやら思っていた以上にエルフには辛いものがあるようだ。どこか休める場所を探さなくてはいけない。
こんな時におっぱいの感触を楽しんでいた自分が恥ずかしい。
ちょうどいい場所は無いかとオロオロしているとソフィアさんがもたれかかってきた。自分で立っているのもしんどいらしい。
不謹慎かもしれないが首筋にソフィアさんの吐息がかかって背筋が勝手にゾクゾクしてしまう。ダメだダメだ、彼女は今体調が悪いのだ。
するとあろうことか、ソフィアさんが首筋から左頬にかけてキスをしてきた。
「ハワワワワワワ!」
突然の事に驚き、両手で肩を掴み距離を取る。唇が触れた部分がジンジンしている。
「ふふふ、どうしたんですか?」
そう言ってもう一度ソフィアさんが首筋をハムハムし始めた。
「何してるんですか!?」
体調が悪いんじゃないのか??
「もう、今日のツバサ様おかしいですよ?」
姫様が口を尖らせながらなぜかプリプリしている。おかしいのはソナタではないのか・・・
「え?何が??」
「恋人なんですからちゃんと受け止めてください。」
「んん?恋人??」
確かに将来の旦那だと宣言されたが俺はまだ何も言ってないような・・・
「もう!焦らさないでください。早く続きを・・・」
体をクネクネさせている。
何かがおかしい。
・・・待てよ。そういえばこの階層に入ってから特に様子がおかしかった。これも世界樹の木の影響だと思っていたが、これまでの階層とレベルが違う・・・もしかして敵か??
周囲の警戒に全神経を費やす。
するとわずかだが子供の笑い声??のような甲高い声が聞こえてきた。何かがいる。とりあえず発情したソフィアさんを粘糸でグルグルにしてから辺りを確認する。
「ツバサ様はこういうプレイがお好きなのですか??」
姫様がメスの顔で姫様らしからぬ事を言っているがシカトして警戒する。機械があれば録音して何度も聞きたいと思ったのはここだけの話だ。
そんなことより・・・
いた!あいつだ!緑色の服ととんがり帽子をかぶった小さな子供。しかも背中には羽が付いている。肌は淡い紫色だ。
俺達のやり取りを聞いていたのかお腹を抱えて笑ってやがる。姫様がこうなってしまったのはアイツのせいで間違いないだろう。
俺と視線が合うと慌てて奥に飛んで行ってしまった。
魔法の行使に距離の制限でもあるのか、しばらくするとソフィアさんは正気を取り戻した。顔が今まで見たことが無いぐらい真っ赤になっている。終いにはボフっと湯気が出た。どうやら先ほどの記憶はあるようだ。
「ご、ごめんなさい!私ったらなんてことを・・・」
「いえ・・・・たぶん逃げて行ったモンスターのせいですから気にしないでください。」
「・・・///」
うむ。なんだか気まずいぞ。こんな時イケメンなら何て言えばいいのか田舎のばっちゃんに聞いておくんだった。
「気を取り直して先に進みましょう!」
「・・・は、はい。」
特に気の利いたセリフも出てこないので強引に歩き出す。真横から未だにプスプス湯気が出ているが気付かないフリをする。
モンスターでも出てきてくれれば気も紛れるんだが、こういう時に限って何も出てこない。沈黙のまま一本道をひたすら歩く。
すると100メートル四方はあろうかという広いスペースに出た。
視線を感じるので近くに居るはずだが上手い具合に隠れているらしい・・・仕方がないので適当にファイアーボールをかましてみる。
案の定、腹を抱えて笑っていたアイツが一瞬だけ姿を現した。しかし直接戦闘をする意志は見られず、すぐにどこかに隠れてしまう。
その後3度ほど同じことを繰り返したがなかなか姿を現さない。
どうやって捕まえるか考えていると霊体美少女のアリスが鼻の穴を膨らませて腕まくりを始めた。
≪アリス?何してるんだ?≫
≪ちょっと待ってて!≫
≪うん?≫
しばらくするとアリスが緑色の服を着たモンスターの首根っこを摑まえて戻ってきた。俺が出来ない事をいとも簡単にやってのけてしまった。
≪触れるのか!?≫
≪うん。≫
≪てことはそいつ幽霊なのか??≫
≪分からない。≫
「ツバサ様何が起こってるのですか?モンスターが観念したように現れましたが??」
「ああ、霊体のアリスが捕まえてくれたんですよ。」
「まあ!」
「とりあえずカードにしてみます!」
魔力を込めカードを飛ばす。モンスターはひび割れ光を発し捕獲された。
ピクシー:ランクD:レベル30
体力 23
魔力 80
攻撃力 25
防御力 22
素早さ 82
スキル:幻覚
「どうやらピクシーのようですね。」
「なるほど!ピクシーは妖精の一種だと聞いたことがあります。もしかしたら霊体と近い存在なのかもしれません。」
「それでアリスが触れたのか。」
ふむ。まさかモンスター相手にアリスが役に立つとは思ってもみなかった。
「あ、あそこにエルフの紋様があります!」
「お?」
「ゴールかもしれません。とりあえずまた私に捕まってください。」
「はい。」
そしてソフィアさんがエルフの古語を唱えた。しばらくしてから恐る恐る目を開けてみると目の前に光り輝く存在が現れた。
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かねてよりお知らせしておりました『勇者と魔王の子どもとして生まれました ~最強遺伝子で無双します~』の連載を開始しました。画面上の小説情報から、もしくは画面下の作者マイページから飛んで行けるのでよろしかったら読んでみてください!
2作の更新頻度は今後様子を見ながら決めていきます。とりあえずこちらは19日に更新します。万が一遅れたりする場合は活動報告に書きますのでよろしくお願いします。




