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合成

 目の前は壁、後ろはハチの大群。う~む。これは困った。


 カードの世界に逃げ込むか?いや、姫様を1人にすることは出来ないし、ましてや配下にしてしまったら国際問題になりかねない。



 少し本気を出すか。


「みんな!下がっててくれ!」

「ツバサ様!大丈夫ですか!?」

「はい。問題ありません。そこでくつろいでいてください。」

 


 姫様とムサシの周りに、何枚かカードを向い合せに配置し、粘糸を使ってクモの巣を張り巡らせる。とりあえずこれで、ソフィアさんたちが襲われてもハチどもを絡め取ってくれるだろう。


 背後の杞憂が無くなったところで、大きなプリズンウォーターを4つ出現させる。打ち出すとスピードが遅くて当たらないので設置して誘導するのだ。もし誘導できなくてもハチどもにとっては、そこに水魔法が存在するだけで脅威に感じるだろう。


 それからカード30枚をハチの大群に向かって飛ばす。流石に戦闘中にこれだけの枚数を一度に制御するのは難しいが、敵がこれだけいれば嫌でも当たる。

 

 『ポイズンビーを捕獲しますか?』と頭の中に無機質な音声が連続して響き渡る。


 これだけで終わりではない。攻撃の手を休めることなくすかさず電光石火を発動し刀を振り回す。ハチ自体の防御力は大したことが無いので簡単に真っ二つにすることが出来る。


 無双状態を続けること10分、敵の数が目に見えて減った。残り30匹程度だろうか。プリズンウォーターの中で仰向けにプカプカ浮いている奴もたくさんいる。


 ここまでくるとハチさん達も次第に逃げだす。もちろん逃がすつもりはないが。  



 残り20匹。


「おらああああ!」


 残り10匹


「ハア、ハア。」


 残り1匹。


「火炎切り!」


 その瞬間地面に仰向けに寝そべる。流石に力を使い過ぎて体がヘロヘロだ。できることなら姫様に膝枕をしてもらいたい。そして太ももの弾力を味わいたい。いや、太ももにサンドウィッチされたい。これだけ頑張ったのだから少しぐらいご褒美があってもいいはずだ。


 ・・・



 ・・・


 

 だがそんなこと言う勇気は無い。


 呼吸が整うのを待ってから来た道を引き返す。モンスターに備えて常に気を張っていないといけないので神経がすり減ってきた。ああぁ、太ももに挟まれたい。


「・・・ここですね。じゃあ右に行きましょう。」

「はい。」


 正解の道なのは良いが、正解だということはボスが待っているということだ。どんな奴だろうか。


 しばらく道沿いに進む。


「いたぞ!」


 人間の子どもと同じぐらいの大きさのハチが立っている。虫嫌いの俺にとっては気持ち悪いことこの上ない。幸いなのは巣らしきものが見つからないことか。ボスとはいえ、少数ならば大した事は無い。むしろ個々は弱くても大群の方が厄介だ。


「さっさとやっちゃおう。」

「はい。」


「ん?何やら急にアイツのお腹の辺りが大きくなったが・・・・!?」

「まさか!?」


 その瞬間スポンと卵が吐き出され、中から鎧を着たハチが這い出してきた。


「女王バチってことか!?新たな個体を生み出されたらめんどくさいぞ!」


≪エアカッター!≫


 グリンから葉の手裏剣が炸裂する。これにより先ほど生まれたばかりの個体はドロップ品に変わる。しかしすでに新たな個体が2体増えている。


 気持ち悪い・・・・じゃなくて早くしなければ。


 女王バチに向かってカードを飛ばす。しかし直前で、生まれたばかりのハチが立ちはだかった。生まれた直後なのにものすごい忠誠心だ。


 その間にもさらに2体の個体が産み落とされた。


 仕方がないので連続でカードを飛ばし続ける。ようはアイツが産み落とすのよりも早くカードを飛ばし続ければいいのだ。少々面食らったが、簡単なお仕事だ。


 次々と女王バチの身代わりとなって側近共が消えていく。そして守るものは誰もいなくなった。


クイーンビー:ランクC:レベル35


体力  3

魔力  330

攻撃力 3

防御力 3

素早さ 3


スキル:産み落とし(ドクロ)




「何だコイツのステータスは!?魔力以外最弱レベルだぞ。しかもスキルが何かおかしい。」

「見してください。」


「・・・これは・・・リスクのあるスキルのようですね。おそらく新たな個体を産み落とすこと以外の力は失ってしまうのでしょう。」

「ええ!・・・・。それが女王バチということですか・・・なんだか複雑な気持ちになりますね。」

「はい。人間の価値観からすれば信じられないことですね。ですがモンスターにとっては種の存続が優先されるのでしょう。」


 その時ソフィアさんが驚いた顔で俺の方を見た。


「・・・え・・もしかして!?」



「ツバサ様はこのようにカードにしたモンスターのスキルを自分の物にできるのですか!?」

「はは・・はは。」

「ええええぇ!!そんなの反則じゃないですか!?」


 ソフィアさんがオロオロしている。今までに見たことが無いくらいの動揺だ。落ち着くまでしばらく時間がかかった。


「どおりで使えるスキルがあんなにたくさんあるのですね。私をグルグル巻きにした粘糸もあの時のヒップスパイダーのものですか?」

「まあ、、ホルダーだと知っていたんですからそんなに驚かなくても。笑」

「・・・収納などがメインの力だと思っていましたから・・・」

「ああ、なるほど。詳しい説明はしてなかったですからね。」

「どうやら能力の詳細については絶対に他に漏らしてはいけないようですね。本当にツバサ様をめぐって大規模な戦争が起きかねません。」

「え・・・ええ。」


 なぜか腕を組んだアリスがドヤ顔をしている。


「どうせならロマン達に合成するのを見ますか?」

「合成??」

「はい。俺だけでは無くてロマン達もカードを合わせることで強化することが出来るんですよ。」

「・・・私もうついていけません。」


「ははは。じゃあその前にご飯とお風呂を済ましてしまいましょうか。」

「・・・はい。」







「じゃあいきますよ!」


≪これより我が秘密結社眠れる花の儀式を始める。≫



 とりあえず軽く俺自身の強化からだ。全身の細胞が歓喜に打ちひしがれる。細胞一つ一つからエネルギーが溢れ出してくる。


人間:黒木翼:冒険者:レベル27


体力  205

魔力  245

攻撃力 210

防御力 200

素早さ 204


オリジナルスキル:カードマジック

スキル:剣1、刀2、気配探知2、気配遮断1、粘糸、夜目、電光石火、火炎切り、ファイアーボール、ウォーターボール、プリズンウォーター、灼熱、断末魔、ヅラトバシ、毒針

常時発動スキル:腕力上昇:小、脚力上昇:小



キングスライム:ランクB:レベル3


体力  66 

魔力  70

攻撃力 64

防御力 58

素早さ 75


スキル:亜空間接続3、硬化、分解、吸収、穴掘り、ローリング、断末魔、ヅラトバシ、毒針

常時発動スキル:毒耐性、麻痺耐性、眠気耐性



キングゴブリン:ランクB:レべル5


体力  80  

魔力  83

攻撃力 87

防御力 81

素早さ 75


スキル:剣2、棒1、ウィンドボール、掃除、鼻歌、エアカッター、断末魔、ヅラトバシ、毒針

常時発動スキル:毒耐性、麻痺耐性、眠気耐性


スーパーオーク:ランクD:レベル7


体力  44

魔力  42

攻撃力 46

防御力 43

素早さ 39


スキル:ロックボール、ヅラトバシ、断末魔、毒針

常時発動スキル:腕力上昇:小、脚力上昇:小



 特筆すべき点はロマンがキングスライムになって吸収を覚えたことか。



「す、すごいです!本当に強化されています!」

「はい。俺はこの力を使って世界中を見て回り最強の冒険者になるつもりです。」

「世界中を?」

「はい。」

「・・・そうなのですか。では世界樹の攻略が終わったら旅立ってしまうんですね。」


 ん??


「はい。」

「私は・・・・」

「?」

「いえ、なんでもありません。」


ブックマークありがとうございます!嬉しいです!!


新作につきましては16日から投稿します。今のとこ題名は仮ですが『勇者と魔王の子どもとして生まれました~最強遺伝子で無双します~』です。前にもチラッと言いましたが、こちらはストレスフリーで読める俺TUEEEE話を目指します。


次回は16日に更新します!2作ともほぼ同時に投稿だと思います。よろしくお願いします!

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