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ご飯30杯はいける

アクセスしていただいてありがとうございます!


 アリスから連絡を受け、急いで元の世界に戻ると、キノコ達のドロップ品である胞子が乱雑に転がっていた。


 ソフィアさん、スライムのロマン、ゴブリンのグリン、オークのムサシは固まっている。金縛りで身動きが取れないようだ。その様子を、鳴きやんだ大きなマンドレイクがジッと眺めている。まだ地面から出てきていない。


 しかし、目線からしてどうやら最初の標的はソフィアさんのようだ。


 うむ。なかなか見る目があるではないか、あんな化け物でも美的センスはあるらしい・・・・じゃなくて・・・


 鳴かれないようにソフィアさんの横まで行きジッと待つ。


 しばらくすると、マンドレイクが地面からグググっと出てきた。御馳走を前にした大きな口からは、よだれがポタポタと滴り落ち気持ち悪い。


 そして俺と姫様の前で口をガバっと開いた。すかさず手を突っ込んでブツを握りつぶす。


 弱点を突かれたマンドレイクは、よだれをまき散らしながら抵抗したがそれもすぐに終わった。


ハイマンドレイク:ランクD:レベル35


体力  55

魔力  53

攻撃力 44

防御力 59

素早さ 7


スキル:断末魔


 ふむ。なかなかのステータスだ。




 戦闘が終わったのでみんなの様子を見る。まだ金縛りは解けていないようだ。


 お?


 姫様がマンドレイクのよだれでベトベトになっている。いつも涼しげで流れるようなブロンドヘアと綺麗なお顔が悲惨なことになっている。


 なんて破壊力のある画だろうか。


 クンクン。


「姫様くさいですね。」


 俺の言葉を聞いて、ソフィアさんは顔を真っ赤にさせた。そんな事今まで一度たりとも言われたことが無かったのだろう。動くことも喋ることも出来ず、目線で必死に何かを訴えている。


 おおぉなんと尊い。その光景だけでご飯10杯はいける。


 霊体美少女のアリスは、悲惨な状況の姫様を見てニタニタしている。ソフィアさんに恨みでもあるのだろう。ご満悦な様子で俺の(そば)まで駆け寄ると、頭をグっと差し出してきた。まるで愛くるしい犬のようだ。仕方がないので優しくナデナデしてやる。


≪えへへへへ。≫


 どうしてこんな子に育ってしまったのだろうか。うむうむ。俺にはさっぱり分からない。



「このまま放っておくと、マンドレイクのよだれが目や口に入ってしまいますし、とりあえず水で洗い流しますね。」


 ソフィアさんの頭上に水の塊を浮かせる。そしてゆっくりと下ろす。


 ザパーン。


 よしよし。これで綺麗になっただろう。確認のためにもう一度姫様のニオイを嗅いでみる。


「んん?なんだかまだ臭いですね。・・・どうしようかな。」


 いくらかましになったが、マンドレイクのニオイはしぶといようだ。少なくとも、うら若き乙女から出てはいけない臭さだ。うむ、ご飯20杯。


「ツ、ツバサ様。」

「お?声が戻ったのですか??」

「・・はい。まだ体は動かせませんが・・・」

「それなら仕方ありませんね。この階層も終わりましたし、今日はここで休むことにしてお風呂に入りましょう。」

「・・・はい。」

「動けないなら入れてあげましょうか??」

「だ、大丈夫です///そのうち動くようになりますから。」


 むむむ?人のせっかくの善意を拒否するとは一体何を考えているんだ。






 その後、残念なことにみんなの金縛りは解除され、あ、いや失礼。めでたいことに解除され、ソフィアさんは1人でお風呂に入ってしまった。



「あのツバサ様?マンドレイクのニオイは取れたでしょうか??自分では鼻が慣れてしまって分からないので・・・///」


 そう言って自分から顔を近づけてきた。


 ふむふむ。あんなに恥ずかしがっていたのに自分から嗅がせにくるとは。けしからん女だ。


 クンクン。


 ついでに首筋のニオイも嗅いでおく。


 クンカクンカ。


「ふむ。」


 頭がとろけてしまいそうだ。後頭部から背筋がゾクゾクする。これがエルフの姫様の本来のニオイだ。ご飯30杯。


「ど、どうですか?///」


 顔を真っ赤にさせ不安そうに聞いてくる。まったく。わざとやっているのだろうか。


「マンドレイクのよだれのニオイはすっかりとれたみたいです。」


 俺の言葉を聞いて姫様の顔がパッと明るくなる。


「良かったです///」

 


≪メスのニオイがする。≫

≪な・・・何言ってるんだ。≫


 まさかのアリスが姫様のニオイを嗅いでいる。


≪やめろって!≫


「どうかなさったのですか?」

「いや・・アリスも姫様のニオイを嗅いだみたいです。」

「え・・恥ずかしいです・・・何か言っていましたか??」

「いや普通だと言ってるだけですから気にしなくていいですよ。」

「そ、それなら良かったです。」


≪メスのニオイがする。≫

≪分かったよもう。笑≫


「まだ先は長いんですから早く寝ましょう!」

「はい!」







 翌朝、朝ご飯を食べてから次の階層の攻略を始める。


 姫様の顔色が少し悪いだろうか。


 幸い辺りには何もいないようだ。静寂に包まれている。


「この階層は何がいるんでしょうかね?」

「分かりません。とりあえず何もいないようですが・・・」


 複雑に入り組んだ通路を勘を頼りに進む。選択した道が本当に合っているのか分からないがどうしようもない。




 ・・・


 

 ・・・


「アリス?ここってさっきも通らなかったか?」

「・・・たぶん。」

「う~ん。困ったな。」


 道が3つに分かれている。先程は一番左の道を進んだ。


「今度はソフィアさんが選んでみてください。」

「は、はい。」


 姫様は真ん中の道を選んだ。代々守ってきたエルフには何か感じるものがあるのかもしれない。


 すると何やら天井から丸い物体がぶら下がっていた。なかなかの大きさだ。どこかで見たことがあるような色合いと形状をしている。薄い茶色で表面に穴と段がついている。


 ・・・巣。俺の記憶が正しければアレは・・・嫌な予感がする。


「ツバサ!あの物体探知出来ない!」

「まじか!?」


「ソフィアさん!あれは刺激しないように行きましょう。」

「はい。」

「みんなも分かったな??」


 下手に刺激しないように忍び足で下を通り抜けようとする。しかし巣の穴から何かが顔を出した。


 背筋がゾッとするアイツ。ハチ型のモンスターだ。あまりの気持ち悪さにヒップスパイダーに敗戦した記憶が蘇る。虫嫌いな俺にとっては試練過ぎる。


 ・・マズイ。


 ブ~ンと周りを飛び始めた。意味があるのか分からないが笑顔で頭を下げる。どうもどうも、私たちは敵ではありませんよ、アハハハハみたいな感じで。そして足早に立ち去ろうとする。しかしそんな努力も虚しく一匹から二匹に増えた。


≪ツバサ、巣から出た途端に探知出来るようになったわ。≫

≪ああ、そうみたいだな。≫


 手に取るようにモンスターの反応が増えていく。10匹、20匹。


 羽音がブンブン聞こえる。


 動きからして指揮系統があるようだ。おそらく後方に構えている鎧を身につけた奴が指揮官なのだろう。




 こうなったら仕方あるまい。


 巣に向かってファイアーボールをお見舞いする。虫なんぞ焼き尽くしてしまえばいいのだ。これで巣の周りを飛んでいるハチは何匹か倒せた。


 しかし、巣自体は思ったよりも耐久力があるらしくビクともしていない。


 ・・・・やばい。


「・・・ツバサ様、(やぶ)(へび)でしたね。」

「うん。触らぬ神に祟りなしとも言うな。はははは。」


 攻撃したことにより新たに50匹近くが出現した。


「走れ!キリが無いぞ!」


≪ギャー刺されたッス!≫


 oh・・・ロマンがハチにぶっ刺されている。


「急げ!」



 指揮系統を遮断するため鎧をつけたハチを一閃で葬った後にカードにする。


アーマービー:ランクD:レベル32


体力  32

魔力  31

攻撃力 28

防御力 40

素早さ 37


スキル:毒針



 毒はくらったらヤバイな・・・


 姫様の護衛はムサシに任せ、最後尾で殿(しんがり)をしながら逃げる。


 俺は毒耐性を持っていないのでなかなかハードな戦いだ。というか指揮官を消したことにより、余計に厄介になったかもしれない。


≪あ、マスター!飲み込めたっす!≫

 スライムのロマンがニッコニコで報告してきた。


≪ん?何が??≫

≪ハチっす!≫

≪大丈夫なのか!?≫

≪おいっす。ちょっと分解するっす。≫


 モンスターを飲み込んで分解か。これはもしかするともしかするかもしれない。変態してしまうのか!!


≪リーフカッター!≫

 その瞬間グリンの手から手裏剣のような葉がハチに飛んでいく。


≪おお。自分のものにしてるな。かっこいいぞ!≫

≪マスター・・・のおかげ・・・です。≫



≪おおお!分解が終わったッす!≫

≪どうだ!?≫

≪・・・。≫

≪ん・・・?≫

≪何も起きないっす。≫

≪・・・そ、そうか。≫


 まだ何も起きないか・・・


「ツ、ツバサ様!行き止まりです!!」

「何!?」


評価、ブックマークありがとうございます!!本当に嬉しいです!みなさまのおかげで続けられております。


次回は13日に更新します。お知らせもこの時できると思います。よろしくお願いします!

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