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童と同じ存在

 木ではなくマンドレイク!?


 ワサワサと葉っぱを実らせた木が、上部だけを残し地面に埋まっている。明らかに埋まり過ぎている。目だけついているので、まるで水面から様子を窺うワニのようだ。


「スキルを使ってはいけません!」


 構えた俺に姫様が待ったをかけた。 


「どういうことですか?」

「マンドレイクはとても憶病なモンスターなんです。すこしでも魔力の動きを感じると金縛り効果のある鳴き声を発します。」

「つまり腕力でぶった切るしかないということですか?」

「いえ、身の危険を感じても鳴きます。」

「じゃあどうすれば・・・・」

「見ていてください!」


 すると姫様はテクテクと歩きマンドレイクの前で立ち止まった。丸腰でただ立っているだけだ。


 モンスター相手にこれで大丈夫なのだろうか?沈黙が場を支配する。


 しばらくすると、姫様の前のマンドレイクがモゾモゾしはじめた。ズズズズズっと上に伸び、地面に埋もれていた口と体が露わになる。これが本来の姿なのだろう。


 口裂け女のようにサイドまで裂けた口をガバっと開きソフィアさんを食べようとしている。助けに入るべきなのかとも思ったが、何か作戦があるはずだ。これで普通に食べられたら、ただの自殺行為になってしまう。


 ズポ!


「んん?」


 白く細長い手が口の中に突っ込まれた。


 木のお化けは真っ青な顔になっている。なんとか手を吐き出そうとしているが、なにせ動きが遅い。しばらくすると白目を剝いてこと切れた。一体中で何をしたのだろうか?


 ソフィアさんが俺のところまで戻ってくる。


「これであのマンドレイクは鳴くことはありません。」

「おお!さすがです!」

「いえ。たまたま知っていただけなので。」


「口の中に手を突っ込んで何をしたらああなるんですか?」

「え・・・っと・・それはのどちん・・ゴニョゴニョ・・を握りつぶせばいいんです。」

「え?・・・よく聞こえなかったんですが??」

「ですから握りつぶせばいいんです///」

「何を??」

「のどにぶら下がっているのですぐ分かると思います。」

「ですからナニが??」


「・・・う~ツバサ様はイジワルです。」


 耳まで真っ赤にさせている。のどに何か恥ずかしがる器官などあっただろうか?


「はて?なんのことやら??」


「もぉ~。」


 うむ。ぽっぺをプクッとさせている。本当に怒っていたらそんな怒り方しないだろう。あざとい女だ。うむ。だがかわいい。


「ははは、今度は俺がやってみますね。」


 地面に埋まっているマンドレイクの前まで進む。警戒した目をしているが何かしてくる様子は無い。しばらくすると先ほどと同じようにモゾモゾと動き出した。俺の事を無害な餌とでも認識したのだろうか?


 口がガバっと開く。あった。ぶら下がっている。


 すぐさま口の中に手を突っ込み握りつぶす。ムニュっとしていて気持ち悪いが・・・


「よしよし。意外と簡単だな。」


 一気にやってしまいたいが仕方がない。一匹ずつ丁寧に握りつぶしていく。そしてその後カードにしていく。



マンドレイク:ランクE:レベル20


体力  44

魔力  37

攻撃力 20

防御力 50

素早さ 3


スキル:断末魔


 うむ。木だけあって素早さが壊滅的だ。スキルは誰かに覚えさせたいところだが味方にも影響してしまいそうだ。ステータスアップに使うか。





 一段落ついたところでロマン達をカードから出し、マンドレイクの倒し方をレクチャ―してから先に進む。アイツらの習性として口を開き捕食するのは安全を確認できた時だけらしい。まあ、それだけ口の中が弱点ということだろう。


 ゴブリンのグリンとオークのムサシは人型なので簡単に攻略できるようだ。次々と握りつぶしている。


 しかしスライムのロマンは・・・ハッキリとした手が無いので難しいようだ。体ごと飲み込まれている。せかっくのテュルテュルボディがマンドレイクの唾液でベトベトだ。


≪き、気持ち悪いっす・・・≫

≪ロマンは無理しなくていいぞ。≫

≪ぐむむ・・・オレっちだって他のモンスターに変態できるようになれば・・・≫

≪ああ、分かってるよ!≫


 ただのスライムからハイパースライムにまでなったんだ。もう少しで先が見えてくるかもしれない。






 この階層は、マンドレイクが口を開くまで待たないといけないので時間がかかったが、モンスターから奇襲をされないという点と、倒し方が確立されているという点により体力の消耗をかなり抑えることが出来た。まあ、もし姫様がいなければ全滅していたわけだが運も実力の内だ。


 

「お??」

 遠くにひときわ大きなマンドレイクがいる。


「サイドにヅラキノコがいるぞ・・・あれじゃあマンドレイクの前でじっと待つなんて出来ないな。先にキノコを狩ったら、危険を感じたマンドレイクが鳴くだろうし。」


 う~む。困ったな。


「鳴かれる前に魔法でいっきに片づけてしまいましょうか?たとえ着弾する前に気付かれて、金縛りにあったとしても、こちらの魔法がきちんと発射できていれば問題無いですよね??射程距離もカードを砲台にすれば解決できるし。」


「カードを砲台に魔法!?・・・そんなの見たことありませんが・・・それでもカードが魔力によって操作されている時点で反応されてしまうと思います。それにもし一匹でも取り逃がしたら全滅です。」

「・・・。」


 八方塞か・・・


≪ツバサ。それならロマン達に周りのキノコを片づけさせればいい。危険を感じたマンドレイクは鳴くだろうけど、その間ツバサはカードの中に入っていれば金縛りの影響を受けなくて済むでしょ?≫

≪ふむふむ。それで?≫

≪霊体で何の影響も受けない私が、マンドレイクが鳴き終わったタイミングで合図するから、そしたらカードから出てマンドレイクのボスを片づけてくれればいい。≫


≪姉さん天才っす!≫


≪しかしそれだと俺以外は金縛りにあうことになるがいいのか?≫

≪もちろんっす!マスターの事信頼してるっすから。≫

≪ボクも・・・。≫

≪拙者もです。≫


 ふむ。



≪よし分かった!その案でいこう!≫


「ソフィアさん!申し訳ないですけど俺が合図を出すので、そしたらサイドのキノコ共をロマン達と一斉に攻撃して片づけてください。」

「ツバサ様はどうされるのですか?」

「俺は合図を出した瞬間カードの世界に避難します。そしてタイミングが良いところで戻ってきます。必ず助けるので信じてください。」

「・・・はい///」


「よし。みんな準備はいいか?」

「「はいっ!」」


「いくぞ。3,2,1、0!」


 その瞬間みんなが一斉に動く。ソフィアさんは光り輝く弓で、ロマンは硬化からのローリングアタック、グリンはリーフカッター、ムサシは斧を振り上げキノコ達に襲い掛かる。


 一方俺は体から取り出したマスターカードの中に潜り込む。あとはアリスから合図が来るまで待機だ。みんな頑張ってくれ!!








 ふむ。


 相変わらず白いままの世界だが遠くで火山が噴火している。近くで見ると地獄の入り口にしか見えなかったが、遠くから見ると綺麗なもんだ。


 すると目の前に炎がボンっと出現し人間の形へと変化した。


「ふふふふ、小僧」

「おお、ビックリさせないでくださいよ!心臓が止まるかと思った。」


 平安貴族のような丸い眉毛をしたお偉いさん?が現れた。通称、赤マロと呼んでいる。


「まあいいではないか。」

「まあ・・」

「ここはなかなか快適じゃな。」

「・・・そうみたいですね。」


 まるで南国の避暑地にバカンスでも行ってきたかのような格好だ。ゆったりとした服に大きなサングラス、手にはトロピカルジュース?を持っている。


「この世界は着実に童の影響が強まっているぞ。どんどん火山が増えておる。感謝しろ。」


 うん?それは感謝することなのだろうか??よく分からんが・・・


「・・・ありがとうございます。」

「うむ。童の下僕にしてやってもいいぞ。」


 なんだコイツ。上から目線にも程がある。


「いや・・・それは大丈夫です。」

「そうかまあいい。童は今、気分が良い。」

「はあ・・・。」


「ああ、そうじゃ。何やら童と同じ存在を感じるぞ。ふふふふ、妹かの。」

「うん?どういうことですか!?」

「さあな。こっからでは童もよく分からんが・・・まあ、そのうち分かるじゃろ。そんなことより童は今マグマのプールでバカンスを楽しんでおるんじゃが小僧もどうじゃ?」

「・・・いや、俺が戻らないとみんな死ぬんで。」


 ていうか、時間があったとしてもマグマのプールなんて入った瞬間死ぬし。


「つれないのう。たとえ顔が良くても余裕のない男はモテないぞ。」

「うるせ~よ!」

「ふふふ。」


 シュポッ!


「あ、おい!」


 なんだよ。勝手に消えるなよ・・・


 するとタイミングを見計らったようにアリスから連絡が入った。


≪ツバサ!来て!≫

≪お、おう!≫

 


ブックマーク、アクセスしてくださった方々ありがとうございます!モチベーションになりました!


新しい小説は、10日後ぐらいをめどに投稿開始出来るように今必死に準備しております。多少前後する可能性はあるので、その時はすいません。まあ、あまり期待せずに軽い気持ちでお待ちください。


次回は10日に更新します!よろしくお願いします!


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