霊体美少女とスライム君
知名度も実力もまったくの0からやっておりますが、4日目にして昨日1日のアクセスが100PVを突破しました。読んでいただいてありがとうございます。また、昨日も優しい方がブックマークしてくださいました。なんとお礼を言ったらいいのか分かりません。
アリスの投げキッスでも受け取ってください。「チュ」
今度は俺の番だ!アリスの無念を背負って戦うのだ。
浮かんでいるカード2枚に魔力を込め念じる。そして時間差でカードを飛ばした。先ほどよりも、はっきりと飛んでいくイメージをしたところスピードがかなり上がった。
スライムのロマン君は1枚目をギリギリでかわしたが、避けた先で2枚目に当たって動きを止めた。
よしよし、成功だ!見事初めてのモンスターとの戦闘を勝利で飾ったのだ。
すると頭の中でまた無機質な声が聞こえてきた。
『スライムを捕獲しますか?』もちろん『イエス』だ。
ロマン君の体は先ほど収納した木と同じように、鏡に傷が入ったかのようにベキベキになりカードに吸収された。そして手元にスライムが描かれたカードが現れた。よく見るとカードの中で動いている。
スライム:ランクF:レベル3
体力 9
魔力 8
攻撃力 9
防御力 7
素早さ 15
スキル:亜空間接続
ランクFはおそらく最弱だろうがモンスターがゲット出来たのが嬉しい、それになんだか可愛げがある。
うん。よし我慢できない、出してみよう!カードを持ち魔力を込め出てこいと念じてみた。するとカードが発光し気が付くとスライムが手の平に乗っていた。
プニプニ。モミモミ。
おおおお、なんとやわらかい触り心地。まさにロマンだ。
しばらくの間スライムはされるがままになっていた。
「そういえば、俺の言葉理解できるの?」
≪できるっすマスター。≫
≪!?≫
頭の中に声が響いた。先ほどの無機質の声とはまた違った声だ。どうやらこのスライムから発せられているらしい。まさかモンスターと会話できるなんて思ってもみなかった。
頭の中で念じればいいのだろうか?どれどれ
≪あー、あー、聞こえてる?≫
≪聞こえてるっす≫
≪すごいなこれ、君の能力なのかい?≫
≪え?これマスターの能力じゃないんすか??どうやらオレッちはマスターの配下になったみたいっすけど。よろしくっす。≫
「え?」
思わず声が出てしまった。なんという力を秘めたカードなのだろうか。モンスターをカードにすると、自動的に配下にしてしまうのか、しかもテレパシーまで使えるようになるみたいだ。
スライムと会話しているとなぜかまた無機質な声が聞こえてきた。今度は何だろうか?
『アリスを捕獲しますか?』
ん?んん?アリス??
慌ててアリスがいる方向に目を向けた。そこにはなんと四つん這いになり涙を流すアリスに俺のカードがぶっ刺さっている光景が広がっていた。
Oh,,,,,,,,,大丈夫か?誰にやられたんだ!・・・・俺かあぁぁぁ!あれか、ロマン君が避けた1枚目のカードが背後で打ちひしがれていたアリスに当たってしまったのか。
すまん、許せ。アリスは配下とかそういう関係じゃない。そう思い『NO』を選択しようとした時だった。
『対象者が自分から受諾したためアリスを捕獲しました。』
ふぁ!?なんで?
「アリス?なんで受諾してるの!?配下になっちゃてるよ!?」
「私強くなる。神の生まれ変わりのツバサの配下になって強くなる。」
そう言ったアリスの目は決意に満ちた力強いものだった。
やばいよ。どうしよう。今更神の生まれ変わりが嘘だとか言えなくなっちゃったよ。
よっぽどスライムに攻撃ひとつできなかったことが悔しいのだろう。それは弱いからというより霊体だからだと思うがアリスにとってそんなこと理由にならないみたいだ。
アリス:ランク???:レベル?
体力 ?
魔力 ?
攻撃力 ?
防御力 ?
素早さ ?
スキル ?
?ばかりで強さが何も分からない。スライムに心を打ち負かされるレベルなのだから、もしかしたら身体的にもとても弱いのかもしれない。本人には内緒だ。泣いてしまうからな。イケメンはこういう気配りができるものだ。
うむ、うむ。だがもし俺以外の誰からも認知されないならばものすごく有能なのではないだろうか。
そう思い何気なくアリスをカード状態から解放すると、予想外にもスライムのロマン君がビックリし出した。先ほどまで認識していなかったのになぜかロマン君にも見えるようになったらしい。
≪アリスのことが見えてるのか?≫
≪はいっす!浮いてるっす。霊体美少女っす。≫
配下同士だから認識できるようになったのだろうか。これは良いことを知った。アリスも喜ぶに違いない。
「アリス、おそらく俺の配下になったからスライム君にもアリスが見えているみたいだぞ!良かったな!」
急いでアリスに教えてあげると、首を傾けたあとスゥーっとロマン君に近づいて行った。そして指でつんつんし始めた。先ほどの戦闘では全てスカっていたが、今度は全てロマン君に当たっている。つんつんされる度に指がロマン君にめり込みプルンプルンしている。なんとも微笑ましい光景だ。
と思っていたのだが・・・・
「ぐぴゃっ」
確かめるようにつんつんしていたのが、今ではドスドスいっている。先ほどの戦闘で敗北したうさ晴らしをしているのか。アリスの天使のように上品な顔が悪魔のようにおぞましいものになっている。口角は吊り上り目の瞳孔は開いている。
慌てて止めに入った。が、ロマン君は瀕死の重傷だ。
「やめろアリス!ロマン君が死んでしまう!」
するとアリスはハッとした表情になり攻撃を止めた。
「てへっ。」
・・・・やばいよこの女。落差が激しすぎるよ。さっきの悪魔顔夢に出てきそうだよ。あれは獲物を見つけた時の快楽殺人とかやる奴の顔だ。ううっ寒気がする。
「大丈夫か??」
≪うっ・・マスター・・短い間ですがお世話になったっす。オレっちは今から天国に旅立つっす。≫
「待てっ!!目をつぶるなっ諦めるんじゃない!とりあえずカードに戻れ!!」
そう言ってロマン君を慌ててカードに戻した。
ふう。どうやら一命は取り留めたみたいだ。
うーむ、これはお説教だな。
「こらっ!何してるんだ!危うくロマン君が死ぬところだったじゃないか!!」
「ふぇ?」
「自分が何をしたか分かっているのか?」
「・・・・違うもん。」
「反省しているのか!?」
「・・・・・うっうっ」
「泣いたって許さないからな!反省しないなら連れてかないぞ!」
「うああああああああぁぁぁ、オェ、うっうっわあああああぁぁぁああん!」
・・・少し怒りすぎたか?
俺が怒鳴りつけるとアリスはお腹の辺りに抱き着いてきて、顔を押し付けながらイヤイヤし始めた。うーむ、うむうむ、アカンこのまま続けていたら何かの性癖に目覚めそうだ。
「もう仲間なんだからあんなことするんじゃないぞ?」
「うん。」
グスンっグスン。
よしよし、いい子いい子。アリスの頭を優しく撫でてやる。するとアリスはもう一度ギュッとしてきた。うっ、くそ、けしからんかわいさだ。
「少し休憩してからまた町を目指そうか?」
「うん!えへへへへ。」
ロマン君殺害未遂事件からだいぶ時間が経ち、ロマン君もカードの中でそれなりに回復したみたいなので出発することにした。時間的にはお昼を過ぎたあたりだろうか?日が暮れるのにはまだ時間がありそうだ。
≪ロマン!村か町に行きたいんだけど、ここら辺に棲んでいたのならどこか知らないか?≫
≪たぶん分かるっすよ!こっちっす。というかオレっちの名前ロマンっすか?≫
≪おおそれは頼もしいな!頼んだよ。そうそう、君はスライムのロマンだ。いいかな?≫
≪良い響きっすね、由来とかあったりするっすか?≫
・・・由来・・・そんなの本人に言えるわけがない。まさかプルンプルンの見た目とさわり心地が男の夢のアレだからなんて・・・・
≪由来か、それはだな、俺のモットーは、男なら夢を追いかけロマンに生きろなんだが、そこから取ったんだ。≫
≪おおっ気に入ったっす。マスターカッコいいっす。≫
なんとかごまかし、しばらくロマンの案内に従って順調に歩いた。ロマンとアリスも仲直りしたようだ。アリスの事を、姉さん、とか呼び始めている。一時はどうなることかと思ったが関係が築けているのなら良いことだ。
「そういえば2人とも?カードの中はどんな感じなんだ?」
「快適。」
≪そうっす。お腹も減らないし傷も少しずつ回復していくっす。それに先が見えないくらいとても広いっす。≫
「でもベットとかほしい。」
≪オレッちは緑とか欲しいっす。もともと森に棲んでたっすから。≫
そうか、でも人やモンスターがすでに入っているカードにベットや木々なんか入れられるのだろうか?試してみるか。
≪ロマン!一回カードに戻ってくれるか?試したいことがあるんだ。≫
≪おいっす。≫
一番最初に意図せずカードになってしまった木のカードを取り出した。 右手に木のカード、左手にロマンのカードを持ち魔力を込めた。そして2枚を合わせるようにイメージした。すると頭の中に無機質な音声が流れた。
『カード同士を合成しますか?それとも移動させますか?』
んん?何が違うのだろうか??合成とは一体何だ??この場合スライムと木だから移動でいいのかな?
『木をロマンに移動』
すると2枚のカードは眩い光を放った。
早く街に行きたいんですけどね。笑
もうしばらくお待ちください。