集合
このピンク色の手錠が王女様の物なのか?
俺は体から取り出し目の前に出した。
恥ずかしそうにモジモジしている。
・・・どうやら間違いないようだ。こんな物一体何に使うのだろうか?まさかその他のピンヒールやガーターベルトも王女様の物なのか??
恐る恐る出してみると明らかに動揺した・・・間違いない。奥ゆかしくて上品で白いユリのくせにこんな物を持っているなんて変態だな。ふむふむ。
「・・・これらの品は全てお返しします。もちろん他言はしませんので安心してください。」
「い、いえこれは違うのです。たまたま人から頂いただけなのです。私はそのような物使ったことなどございません。」
ジトー。
「本当です、だって私はまだ・・・」
「はは・・分かりましたよ。どうぞ受け取ってください。」
「あ、いえ、・・・こんなところで渡されても困ります。あとで私のお部屋まで来てください。」
「・・・それもそうですね。まさか王女様がこんな物を持っているなど誰も思いませんからね。」
「はう・・・///」
その時だった。クレアさんの瞼がわずかに動いた。
「クレアさん!俺です。ツバサです!分かりますか?」
「う・・・・・うっ・・」
「しっかりしてください。戻ってきてください!俺はここにいますよ!」
華奢な手を握りながら呼びかけ続けた。
するとクレアさんの閉じたままの目から一滴の涙がこぼれ落ちた。
そっとその涙を指で拭ってやる。俺の声が届いているのだろうか?
彼女の顔が穏やかな表情に変わる。
「・・・ツバサ君。」
そうつぶやいた後ゆっくりと彼女の瞼が上がる。
そして彼女の視線が俺を捉える。
「クレアさんが寝てる間に解決してしまいました。犯人たちも捕まったので安心してください。」
するとクレアさんはゆっくりと起き上がり抱き着いてきた。もちろんそれを咎める者は誰もいなかった。
うむ。細いのに弾力があるヤワもち肌だ。これぞ生命の神秘。うむ、くるしゅうない。
「ありがとう。ツバサ君。私は真っ暗な闇の中にいて押しつぶされそうになっていたの。でもそんな時、どこからともなくツバサ君の声が聞こえてきたの。それで声のする方に近づいて行ったら急に光が溢れ出したの。」
「クレアさん。俺は1つ謝らなければならないことがあります。捜索する中であの秘密の部屋に入ってしまいました。そして日記を読みました。」
「・・・え?」
明らかに動揺している。
「じゃあ私の体の傷のことも・・・・」
「詳しいことは知りませんが、そんなの気にすることじゃないですよ。少なくとも俺はそう思いますよ。だってクレアさんはクレアさんですから。」
その瞬間クレアさんの目から涙が溢れ出した。よほど気にしていたのだろう。解放されたかのように涙が流れ落ちる。
何かハンカチのようなものを持っていなかったかポケットに手を突っ込んだ。すると布が手に触れた。
あった。何か入れたんだったか、、、全然覚えていない。
手に取りクレアさんに差し出すと空気が一変した。
「・・・あ。」
手に持っていたのはクレアさんのパンチーだった。豚君に捜索させた時に使った奴だ。
「え?なぜ私のパンツを・・・」
「いや、これは違うんだ。誤解だ。趣味で頂戴したわけでは無い。」
「まあ、ツバサ様は変態だったんですね///」
「待ってくれ!王女様は変なことを言わないでくれ。あなたにだけは言われたくない。クレアさん。誤解だ!これはクレアさんを捜索する時に豚君にニオイを嗅がせただけなんだ。」
「まあ///」
「王女様はちょっと黙ってろ!」
「いやん///」
変な声を出すな。なぜ嬉しそうなんだ。まったく。
「クレアさん信じてください!」
「ふふふ。分かったわ。ツバサ君の言うことなら信じるわ。それと助けてくれたお礼にあげるわ。」
「え?くれるんですか??」
「いらない?」
「い、いや・・それは・・ですね・・・またクレアさんが行方不明になる可能性もあるので、その時のために丁重に保存させてもらいます。」
「ふふふ。」
コンコンコン!
「王女様。宿屋の家族が城に到着されました。」
メイドがやって来て教えてくれた。
「すぐに行きます。ツバサ様も行かれますか?」
「はい。クレアさんもひとまず安心なので俺も行きます。クレアさん!今日の夜、国王様が食事会をしてくださるみたいだからそれまで休んでいてください。」
「うん、分かったわ。・・・ツバサ君ありがとう//」
「はい。」
そうして俺と王女様は治癒室を後にし客室に向かった。
「まったく王女様は・・・」
「ふふふ。でもクレアさんが目を覚まして本当に良かったですわね。」
「はい。これで安心しました。王家御用達の治癒士の方々を貸してくださり本当にありがとうございました。」
「私もお父様もただ国民を助けたかっただけですから当たり前の事です。本来人の命に重いも軽いもないはずでしょう?」
「はい。俺もそう思います。俺のいた世界では長い歴史の上にそういった考え方が土着していますよ。」
「それはさぞ素晴らしい世界なのでしょうね。しかしこの世界で根付かせるのはまだ難しいかもしれません。」
「いつかそうなりますよ。」
「はい。」
変態王女だが考え方は素晴らしい人だ。
ふむふむ。嫌いじゃない。
テクテクテク。
「こちらです。」
俺が案内された客室からほど近い部屋だ。
扉を開けると勢いよく小動物が飛びついてきた。
「うおっと、、、」
「えへへへ。ツバサお兄ちゃんありがとう。」
チュ。
「え?」
バニラちゃんがほっぺたにキスをしてきた。唇が触れた部分がジンジンしてくる。
両親はその様子を微笑ましく見守っている。冷静に大人の余裕をみせようかと思ったが顔が赤くなってきてしまったのが自分でも分かる。
「コラァ!ツバサのバカヤロウめ!バニラ姉をたぶらかすんじゃないピョン。」
・・・いやどう見ても逆だろう。俺がたぶらかされている。10歳に・・・・
「もう!ロビンはいつもいつも邪魔しないで!黙っててよ。」
「なんだとっ俺はただバニラ姉を・・・」
するとパパさんとママさんが近づいてきた。
「この度は本当にうちの子たちを救ってくださってありがとうございました。何とお礼を言ったらいいのか分かりません。これはほんの気持ちです。受け取ってください。」
そう言ってふっくらした袋を差し出してきた。金属が擦れるような音がする。
「・・・これは受け取れませんよ。みんな無事だったんだからそれでいいじゃないですか。」
「いや、しかし・・・」
「お金をもらってしまったら、上下関係ができてしまって普通の関係でいられなくなってしまうと思うんですよね。俺はそんなことは望んでいません。ですからそのお金はバニラちゃんとロビンのために使ってあげてください。」
「・・・分かりました。ありがとうございます。でしたらこちらだけでも受け取ってください。」
そう言って差し出してきたのはニンジンスティックだった。
・・・めちゃくちゃいらないがウサギにとっては大切なものなのかもしれない。
「あ、ありがとうございます。」
仕方なく受け取った。
アリスに処理してもらおうか・・・
しかしそんな考えにバチが当たったのかその時足元が少しふらついてしまった。そういえば昨日の朝からまったく寝ていなかった。
「ツバサお兄ちゃん大丈夫?」
「ああ、大丈夫だけど・・少し寝不足かな。」
「クマができてるよ。」
「ああ・・・バニラちゃん達も元気そうだし晩御飯まで部屋で寝させてもらおうかな。」
「うん。」
「バニラちゃんと弟君もゆっくり休んで。」
「うん!」
その後何度もお礼を言われ自分の客室へと戻った。みんなの顔を見て張りつめていた緊張が和らぎホットしたのだろう。ものすごい睡魔に襲われた。
≪アリス、もうダメだ。俺は寝るよ。抱き枕になってくれ。≫
≪うん///≫
・・・・ZZzzZ。
コンコンコン!
「ツバサ様、準備が出来ました。」
「・・・」
コンコンコン!
「・・・・」
ガチャ。
「ツバサ様??・・・・・まあ、なんて綺麗な寝顔でしょう。ふふ。」
≪ツバサ、起きて。王女様が迎えに来たよ!≫
「んあ?」
「ツバサ様、ディナーの準備ができましたわ。」
「ああ、もうそんな時間なのか・・・今行きます。」
もう少し寝ていたかったが仕方ない。王女様と一緒に会場に向かった。
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