クレアさん
昨日1日のアクセスが900PVを達成しました。ありがとうございます。
冒険者ギルドを後にして、とりあえず宿屋で休むことにした。
街を歩きながらカードにした盗賊に疑問をぶつける。
≪おい、盗賊ども?≫
≪・・・何でしょうか?≫
≪黒幕はチキン野郎と分かったが、街で実際に誘拐をして、お前らに協力したのはクレアさんなのか?≫
≪それは・・・分かりません。あちら側は正体を隠し言葉を発することもありませんでしたから。やりとりをする時はずっと水に消える紙を使っておりました。≫
≪どんなやつか確かめないのか?≫
≪裏世界で相手の素性を詮索することはタブーですので。≫
≪じゃあそんな奴とどうやって出会うんだ?≫
≪裏の世界にもつながりくらいあります。≫
≪それならそいつと再び接触するにはどうしたらいい?≫
≪子供たちを引きとった時点で、協力者と我々との契約は終わって報酬も支払っておりますから難しいと思います。≫
クソっ役に立たない奴らめ。分かりそうで分からない。
盗賊どもにイライラしながら宿屋の前まで来たが、臨時休業中と紙が貼ってあった。
・・・そりゃそうか。今頃家族で治癒院に行ったり事件の説明をしたりしているか。
となると休む場所が無くなってしまった。お金はあるから他の宿屋で休むことは出来るがどうしようか?
№1受付嬢のクレアさんの家の鍵は持っている。いつでも入って良いと言われていたが、あれ以来1回も足を踏み入れたことはない。
それに№2受付嬢のリザさんの家も教えてもらっているので行けないことはない。
う~む。
「ツバサどこ行くの?」
「ああ、クレアさん家に行ってみようと思う。」
・・・・自分でもなぜそう思ったのかは分からない。アリスは不満そうだったが押し切った。
角を曲がり家に向かう。人ごみを抜けたところで体から鍵を取り出す。1回しか行ったことは無いが場所はハッキリと覚えている。
鍵穴にゆっくりと鍵を挿し取っ手を回す。静かにドアが開けられる。
中は静まり返っており人の気配はない。窓から太陽が差し込んでいる。
「おじゃまします。」と言って中に入る。もちろん返答はなく俺の言葉が虚しく響き渡るだけだ。
あの時と何も変わっていない。
「!?」
そこであることに気が付いた。
なんとテーブルの上には空の食器が置かれていたのだ。クレアさんの席ではない。俺があの時座っていた場所だ。
どういうことだろうか?
急いでキッチンを確認すると、そこには到底1人分とは思えぬ量のご飯が作られていた。クレアさんが行方不明になったのは昨日の昼からだから一昨日の夜に作ったものだろうか?それとも昨日の朝か・・・
未使用の食器とこのご飯の量・・・・もしかすると俺がいつ来ても良いように準備してくれていたのだろうか??
そんな・・・まさか・・・
急にクレアさんのハニかんだ顔がフラッシュバックする。いつも俺と目が合うと嬉しそうな顔をするのだ。
・・・どんな気持ちでこのご飯を作ってくれたのだろうか?俺が宿屋で楽しく過ごしている間、彼女は2人分のご飯を前に1人で食事をしていたのだろうか・・・
胸がギュッと締め付けられる。
「・・・寝室と風呂場を確認しに行くぞ。」
「うん。」
・・・いない。どこにもいない。
「ツバサ大丈夫?」
「・・ああ・・・あと一部屋見ていないところがあるからそこに行こうか。」
その部屋は俺を恐怖に陥れた部屋だ。あの日の夜中、ふと目が覚めた俺は、謎の儀式をするクレアさんを見つけてしまった。
立ち入り禁止だと言っていたが確認しないわけにはいかない。
ゆっくりとドアを開ける。ギィ~と軋む音がする。心臓の鼓動が早くなる。
もしかしたらこの部屋にいるのではないかと思ったが、その期待は泡となって消えた。
この部屋は黒い布で覆われているため光が全く入らない。左右にはモンスター?の骨が並べられ、透明な容器によく分からない液体が入っている。
≪ツバサ、不気味。≫
≪ああ。≫
しかし調べないわけにはいかない。
とりあえずよく分からない容器を手に取り蓋を開けてみる。
・・・ん?このニオイどこかで嗅いだような・・・ポーションか?しかし見た目が全く異なる。俺の知識ではよく分からない。
他に何かないだろうか?
クレアさんは確かあの奥の祭壇に向かって何かしていた。
恐る恐る近づいてみる。しかし何も見当たらない。手がかりは何もないのだろうか?もう一度祭壇をよく見てみる。
文字?・・・小さいが何か書かれている。もしかして魔石が組み込まれているのか?
慎重に魔力を流し込んでみる。
すると石でできた祭壇の上部が動き出した。そして3Dのホログラムのような映像が浮かび上がった。
4人家族だろうか?まだ若い両親と女の子と男の子。大人の女性はどことなくクレアさんに似ていてとても美人だ。ということは、この小さな女の子はクレアさんだろうか。
4人とも幸せそうな表情をして笑っている。絵に描いたような理想の家族だ。
なぜこんなものが・・・?部屋が暗いのはこの映像を映し出すためか???
「ツバサ?ここ開けられるんじゃない?」
「!?・・・そうみたいだな。」
アリスが引き出しに気が付いた。祭壇の上部が動いたことで現れたようだ。ゆっくりと開けてみる。
・・・・ノート?いや日記帳だろうか。日付と文字が書かれている。
パラパラとめくってみる。
Д月⊿日
パパ、ママ、カール、今日は私の18歳の誕生日です。ケーキを買ってきて1人で食べたんだけど、余っちゃったからここに置いておくね。・・・私大人になれたよ。
〇月△日
パパ、ママ、カール、そちらの生活はどうですか?快適ですか?そうだとしたら私も嬉しいです。今日はね、、、報告があります。なんと、冒険者ギルドの受付嬢に合格したの!私もママのようにかわいい受付嬢になれるかな?少し心配だけど頑張るから見ててね。
□月〇日
今日は仕事で少し嫌なことがありました。失敗もしちゃったの。こんな時、傍にいてくれたらなんて言ってくれるのかな?会いたいよ。
◎月☆日
ねえ・・・天国ってどんなところですか?お花とかたくさん咲いてるのかな?・・・なんで私だけ生き残ってしまったの?・・・ごめんなさい。許してください。
丸いポツポツの染みとともに、ところどころ文字がにじんでいる。
・・・・罪深き私をお許しください・・・・彼女の言葉が再び頭に響く。
・・・。
☆月▽日
私ね、生まれて初めて好きな人ができたかもしれないの。その人はね、絵本から出てきた王子様のような人なの、一目見た時から直感したわ。でもどうやって接したらいいかよく分からなくて、いきなり迷惑をかけてしまったの。どうしよう?嫌われていないかな?めんどくさい女だと思われていないかな?恋愛したことないから分からないよ。
☆月□日
なんだか避けられてるような気がするわ。こないだ振る舞った手料理が美味しくなかったのかな?それともやっぱり体に大きな傷跡がある女なんて女として見てもらえないのかな?こんな体じゃ自信が持てないの。
目から涙がこぼれ落ちる。
「ツバサ・・・」
俺の目は節穴だ。なんて馬鹿な勘違いをしていたのだろう。こんなにも純粋で健気な女性を恐怖の対象として見ていたのか。
「・・・アリス、クレアさんは犯人じゃないよ。」
「うん。」
「もしかしたら身に危険が及んでいるのかもしれない。急いで見つけ出すぞ!」
絶対にもう一度、生きているクレアさんに会わないといけない。
だがどうしたらいいんだ・・・
「・・・私思い出したことがあるんだけど・・さっき盗賊どもは、正体を隠した協力者と紙でやり取りをしていたと言ったでしょう?」
「ああ?それがどうかした??」
「ツバサがカードにした盗賊を一度よくみしてくれない?」
「ああ、いいぞ。」
ポンポンポン・・・・・
「これでいいか?」
「うん、ん~あのね、そう言えば、初めて冒険者ギルドに行った時ツバサを殴った傷の男いたでしょ?」
「ああ、さっきも俺が褒められて不満げだったな。アイツがどうかしたか?」
「うん、ツバサが気を失ったあと、一晩中私があの男の跡をつけたの覚えてる?」
「ああ、確かそうだったな。」
「アイツ何人か人と会ってたんだけど、街の外でコイツとコイツに会ってた気がする。」
「なに!?それは本当か??」
「うん。コイツらの服装が違ったから気が付かなかったけど・・覆面をした傷の男は確かに紙を使ってた。たぶん間違いないわ。」
「ということは傷の男は盗賊団とつながりがあったということか・・」
「アリス!でかした!!行くぞ!」
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最近少し日が長くなりましたかね。まだまだ寒いですけど・・・




