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チートカードで異世界最強 ~成り上がりほのぼの冒険物語~  作者: ちゅん
第一章 始まりの国篇
4/74

カード

言うのを忘れておりました。笑

今更ですが明けましておめでとうございます!

 俺はポケットからケースを取り出した。確実にこんなもの自分でポケットに入れた記憶はない。


 何やら変な紋様が刻まれている。どこかで見たことがあるような気がする。そしてあることに気が付いた。急いで制服のボタンを外し自分の左胸を見た。


 俺には生まれつき左胸に6つアザがある。ちょうど横に3個ずつ、2列並ぶようにへんな形のアザがある。


 学校のプールの時間になると必ず誰かにいじられるので、小さい頃はこれが嫌で嫌でコンプレックスになっていた。最近はタトゥーみたいでカッコいいかもなんて思い始めたが、銭湯や海水浴場を出禁になるかもしれないと無駄に内心ビクビクしていたりもする。


 気を取り直し改めてケースに描かれている紋様と自分の左胸のアザを見比べてみた。6つの中の1つが明らかに似ている。


 どういうことなのだろうか?


 恐る恐るケースを開けてみた。緊張で手が小刻みに震えた。するとそこにはトランプほどの大きさのカードが入っていた。


「え?」


 カードだよなこれ??こんな森の中でトランプでもしろというのか、それともあれか?カードを積み上げてピラミッドでも作れってか?


 正直ガッカリだ。こんな豪華なケースに入っているのだからてっきりお金になりそうな宝石でも入っているのかと思った。まあそれでもこの森の中では役には立たないんだが、、、、


 興奮が急激に覚めていくのを感じながらも、とりあえずカードに手を伸ばした。そして俺の右手がカードに触れた瞬間それは起こった。


 眩しいくらいカードが発光し、その光が左胸のアザめがけて集まり吸収されていったのだ。急いで左胸を確認すると1つだけ周りのアザと違いはっきりとした紋章のようになっていた。


 ・・・・うそだろ、なにこれ??完全にタトゥーみたいになっている。


 不良高校生ですやん。銭湯お断りの人ですやん。



「アリス!今の何か分かる?毒だったらどうしよう??」

「・・・・」

「ねぇ聞いてる?」

「かっこいい。」

「え?」


 アリスは紋章をマジマジと見つめ両頬をポっと赤くさせた。


 アカンこの子、目がハートになっている。絶対に不良のちょい悪男に恋をするタイプの女の子だ。ダメだよ。泣かされちゃうよ?外見は上品なのに男を見る目が無い、、、、


 ・・・いや、ちょっと待てよ。この場合俺のアザに対してカッコいいと言っているわけだから、そのアザの持ち主は、、、もちろん俺だ。ということは最終的に、こんなアザを持っている俺がカッコいいと思い俺に惚れるかもしれないのか。


 うん、うん。なんだ男を見る目あるじゃないか。さすが霊体美少女なだけはある。くるしゅうない、くるしゅうない。


 1人で納得し自己満足した後、再びカードを触ろうとすると、今度は光が溢れ出すということもなく手に取ることができた。


 全てのカードに表と裏があり、表は真っ白で裏面は例の紋様が描かれていた。ふとその中の1枚に目がいった。何やら文字のような物が書かれている。漢字でも英語でも無い、見たことが無い文字だったが不思議と理解することができる。

 

 そこには

『マスターカード:魔力を込め念じることでカードを生み出せる。自身に吸収可』と書かれていた。


 魔力って何だろうか?そんな言葉ゲームの中でしか聞いたことが無い。ここはファンタジーの世界という事か。うーむ、つまり本当に異世界?



 ・・・ということは桜井さんはこの世界にはいない?・・・・・会えない?デートはどうなるのだろうか?やっと想いが実ったばかりなのに・・・・もう少しであのパンチーが俺の物に・・・残酷すぎないか?それに家族はどうなってるんだ??・・やばい、少し泣きそうだ。



 

 しばらく落ち込んだ。



 しかし考えたところで答えはでないので、気持ちを切り替えることにした。


 とりあえずその魔力とやらを込めてみよう。もちろんやり方など分からないので、目をつぶり、力が全身にめぐるようイメージして集中してみた。そしてお腹の下あたりに力を込めて、それを一気に解放する。よしっ今だ!!










「ブッ!」





 ・・・・



 ・・・・屁が出た。


 昨日食べた焼肉のフレバーだった。


「くさい。」


 鼻を摘まんだアリスから無上の言葉が発せられる。この世に仏はいないのだろうか。悲しいよ、俺は。



 それから1時間ほどだろうか。何の役にも立たないアリスと一緒に魔力を込めるというのを何回も何回も試した。そして何十回目の事だろうか、全身がポワっと暖かくなるのを感じた。


 そのまま手に持っているマスターカードに集中すると、同じ大きさのカードが何枚か出現した。空中に浮かんでいる。


「おおっ見たか!?カードが出てきたぞ。成功した!」

「すごぉーい!」


 パチパチパチ!


 もう一回やってみるか。まぐれで出来ただけでは何の意味もない。先ほどと同じように魔力を込め念じた。すると今度はそれほど時間がかからずに成功した。


 ふむふむ。


 多少疲れているがここまで出来たならあとは『自身に吸収可』だ。


 これはアリスに聞くまでもなくそのまんまの意味だろう。うん、自分に吸収できるということだろう。マスターカードを右手に持ち、吸収のイメージをする。しかし何も起こらない。


 うーむ。・・・出来ないな。掃除機じゃないんだから吸収って言われても電源スイッチなんて無いしな。



 考えられるとすれば魔力とやら込めてやってみることぐらいか。集中しよう。集中。今度は魔力を込めた状態で吸収と念じてみた。すると無機質な声が頭の中に響いた。


『マスターカードを黒木翼に吸収しますか?』


「誰だ!?」


 驚いて辺りを見回すが霊体美少女のアリス以外誰もいない。もう一度無機質な声が言った言葉を思い返す。これは『はい』でいいのか?そうだよな・・・『はい』



 その瞬間マスターカードがズズズズっと体の中に入っていった。なんだか少し不気味な光景だった。特にこれといった変化は感じられないが、、、


 ・・・トイレに行ったらお尻から出てくるとかないよな??だとしたらギャグセンス高すぎる。笑


「ツバサ何したの?」

「俺自身にマスターカードを吸収したと思う。」

「じゃあツバサからカード出るの?」

「え?」

「だってツバサがマスターカードなんでしょ?」


 そんなこと出来るのだろうか?


「えいっ」


 その瞬間、手の平から普通のカードが出てきた。浮かす事も出来る。

 

「おおお!」


 アリスからも驚きの声が上がる。


 説明書きされていたのはこんなところか。他にも力があるのだろうか?


 ただのカードだと思ってガッカリしたが、少し異世界気分を味わえたので満足といえば満足だ。


 だがまあ、今のところいまいちカードが出せたからといって何に使えるのか分からない。


 チーン。


 仮にここが日本だったら、この力を使って新進気鋭の天才マジシャンとして大成功できたかもしれない。まあ日本に帰りたくてもどうしようもない、今はこの世界の事を知るのが先だ。




 情報を集めるためにもそろそろどこかに移動しよう、町か村かどこか人の住んでるところを探さないと。


 カードの実験が一息ついたところでそんなことを考えていた。



「アリス?こっちおいで。」

 

 するとアリスはカードケースを手に持ってスゥーと空中を移動してきた。オモチャを持ってくる子犬みたいでかわいい。


「俺はここから移動してみようと思うんだけど、アリスはどうする?」

「ツバサと一緒に行く。」

「そうか、じゃあ、森を抜けて村か町を目指そうか。」

「うん。」

「よろしくねアリス。」

「うん、えへへへ。」


 初めての仲間が出来た。幽霊っぽいがこの何もない森の中で、彼女の存在は他者を感じさせてくれる貴重な存在だ。



 しかしその時だった。


 奥の方からガザガザという音が聞こえてきた。一瞬にして緊張が走った。何かが来る!?


読んでくださってありがとうございます。うれしいです。明日も更新できるように頑張ります。

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