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チートカードで異世界最強 ~成り上がりほのぼの冒険物語~  作者: ちゅん
第一章 始まりの国篇
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オーク

 今日から俺の武器はゴブリンのボスから勝ち取った刀だ。右利きなので左の腰に差して歩く。


 腰にフィットする感じが心地良い。やはり日本人のDNAには剣よりも刀が合うのかもしれない。


 ・・・・この世界になぜ刀があるのかはあえてツッコまない。それが大人というものだ。


 うむうむ。


 というか世界が違っても同じような刃物があっても全くおかしくない。転移者がいたのかもしれないし、職人が試行錯誤を重ね結果たまたまできただけかもしれない。



 それよりも、、、


≪今日はみんな歩くのが早いな。≫


≪みんな新しく覚えたスキルを使ってみたくてうずうずしてるっす。≫


≪ああ、そういうことか。昨日はお風呂のお手伝いでおあずけになってしまったからな。≫


≪オレッチやったるっす!≫


≪それなら俺もやるぞ!!≫


≪う、ちょっとマスターはやる気になっちゃダメっす。オレっちの出番がなくなるっす。≫


≪ロマン君、冒険者は弱肉強食の世界だよ。強くなればいいのだ。≫


≪さ、さすがマスターっす。考え方まで一流っす。≫


≪はっはっは、よいよい。≫



≪ツバサ、もうすぐオークの出没エリアよ。≫


≪うん、分かってる。みんな気を引き締めていくぞ。目標は最低でも依頼の3体、出来れば5体以上だ。それに聞いて喜べ!オークのドロップ品はお肉だから上手くいけば今日のお昼ご飯はご馳走だぞ!!≫


≪・・・・・≫


 あれ?反応が薄いな。


 ・・・そういえばロマンたちはカードの中に居れば空腹を感じないんだった。御飯じゃ士気上がらないじゃん。


 チーン。


≪と、ところでこの中でオークと戦ったことがある奴はいるのか?≫


≪私は記憶にないわ。≫


≪僕は・・・オークに近寄らないように・・してたから。≫


 霊体美少女のアリスとゴブリンのグリンがすぐさま否定する。


≪オレッチは昔、オークのサンドバックになってやったことがあるっす。奴らの腕力なんてたかがしれてるっすから丸4日眠って意識を回復したっす。目が覚めた時には奴ら尻尾を巻いて逃げた後だったっす。口ほどにもないとはこの事っすね。≫


 ・・・丸4日昏睡状態って普通に死にかけてるじゃん。尻尾巻いて逃げたんじゃなくて単に遊び疲れて飽きただけだろうし。


≪・・・ロマン・・・君はポジティブだな。≫

≪え?そうっすかね。≫

≪そうだね。まあ今日下剋上を果たせば結果オーライだよ。≫



≪ツバサ、右前方30メートル先に何かいるわ。おそらくモンスターよ。≫

≪了解!出没エリアに入っているし目的のオークかな?≫

≪分からないわ。≫

≪そうか、とりあえず警戒態勢で接近するぞ。≫


 これだけ距離があると俺の気配探知レベル1では探知出来ない。やはりスキルのレベルは1つ違うだけでだいぶ性能に差があるみたいだ。


 しばらく進むとようやく俺も探知することに成功した。


 上手く説明できないが自分の意識の範囲が広がり、そこに何かいるというのが直感的に分かるようになる。


 視界が開けていてお互いに目視できる場合は大したアドバンテージにはならないスキルだが、視界が悪い場合や視覚外からの奇襲に対応できる必須スキルといえる。



 気になるオークの容貌は、ブタさんだった。


 二足歩行の豚にお粗末な服を着させたかんじで、身長は170ぐらいだろうか。もっと醜いのを想像していたが思っていたよりも嫌悪感は抱かなかった。


 100メートルほど離れていれば、人間と言われても分からないかもしれない。まあそんだけ離れていれば大抵区別はつかないんだが、、、、


≪今回はオークの強さを確認したいから、様子見してからカード化しよう。誰か戦いたい奴いるか??≫


≪マスターオレっちに行かせてくださいっす。≫


≪よし、じゃあロマンに相手してもらおう。オークとは因縁もあるみたいだしちょうどいい。だが危なかったら待機組も参戦するし最後はカード化するからな。≫


≪おいっす!≫


 進化してハイスライムからスーパースライムとなったロマンが気合を入れながら前進する。


 出会った頃よりもずいぶんと大きくなった。どこまで戦えるか楽しみだ。



 相手のオークは目をつぶり足を肩幅に開き仁王立ちしている。


 こちらに気付いているのだろうか?よく分からないが手には斧が握られている。


 ブタさんなので脂肪が多いのかと思いきや全身筋肉質でガッシリ体系だ。


 ロマンが前進するたびにオークの鼻がヒクヒクする。そして残り5メートルというところでゆっくりとオークの目が開かれる。


 しかしある異変に気が付いた。


 オークの左目が上手く開いていない。ケガでもしているのだろうか。野生のオークがそんな演技をするとも思えない。しかもよく見ると全身切り傷を負っている。ところどころ出血し、その血が固まり始めている。


≪ロマン!あのオークすでに疲弊していないか?しかも左目が見えていないかもしれないぞ。だが一応気は抜かないようにな。≫

≪むむむむ、そうっすね。≫


 満身創痍のオークは全く動く気配が無い。スーパースライムのロマンを凝視した後、背後にいる俺達に目を配ると、何かを察したのか手に持っていた斧を地面に捨てた。


 そしてその場にドスンと座ってしまった。


 どういうことだろうか?やるならやれということか。


 うむうむ。無様に負けるぐらいなら潔くその時を待つということか。野生のモンスターでこんな行動をする奴がいるいるなんて。


 うむ気に入った。


≪どうやらあのオークに戦闘の意志は無いみたいだな。誰かオークと話せる奴はいないか?≫

≪普通種族が違えば話すことは出来ないっすよ。≫

≪僕・・できないです。≫

≪私もよ。≫

≪そうか、それならなおさら種族を超えて会話できる俺のスキルは便利なんだな。≫

≪ツバサ今更?≫

≪はは、俺はこの世界の常識に疎いからな。そうだな、とりあえずロマン、戦闘はお預けだ。少し下がっていてくれ。俺が直接相手する。≫


 抜刀していた刀をゆっくりと鞘に納めて慎重に歩を進めた。相手が丸腰なのだから、こちらも同じにしなければ話など出来ない。


 まあ人間の言葉が通じるわけではないが、それが男というものだ。



 まっすぐにオークの目を見つめ真面目に話しかけた。


「俺は冒険者のツバサだ。こいつらはスーパースライムのロマンとスーパーゴブリンのグリンだ。もう一人霊体美少女のアリスがいるが、今はお前には見えない。」

「???」

「何があったのかは知らないがお前のことを気に入った。俺の仲間にならないか?」

「・・・?」

「どうする?その気がないなら無理強いはしない、見逃してもいいぞ。」

「・・・」


 やはり言葉は通じないか。一点を見つめたまま話を聞いているみたいだが反応が薄い。


 いくらモンスターとはいえこんな戦意の無い奴を狩っても気分が良くない、、、、仕方がないが今回は諦めるとするか。


≪おいみんな!撤収だ、このオークはどうもしない。別のオークを探すぞ!≫

≪いいんすかマスター?≫

≪ああ、別に急ぐ必要もないしな。≫

≪分かったッす。了解っす。≫

≪アリスまた索敵を頼むよ。≫

≪うん。≫


 そうして俺達が踵を返し歩き出そうとしたところ、背後から声が聞こえた。


「@・<*:▽+>☆」

「ん?」


 なんて言ったのかさっぱり分からない。が、後ろを振り向くとオークが斧を手に取り立ち上がった。


≪貴様~恩を仇で返すなんて汚いっすよ!≫


 即座にロマンとグリンは戦闘態勢に入る。号令があれば今すぐにでも動き出しそうだ。


 一方オークは、俺以外見ておらずロマンたちなどアウトオブ眼中だ。


≪マスター危ないから離れてくださいっす。こいつは許せないっす。≫


≪ロマン、グリン待て!どうやら早とちりみたいだぞ。≫


 オークはゆっくりと俺の前に進み出ると地面に片膝を着き、頭を下げながら持っていた斧を両手で差し出してきた。


 これはどういう意味だろうか?


≪どうやらツバサに忠誠を誓うようね。≫


 アリスがつぶやいた。



昨日ブックマークしてくださった方ありがとうございます!毎日お礼を言っているような気がしますが毎日嬉しいです。


人それぞれ好き嫌いがあると思いますので、どういった内容にするのかとても悩みます。万人受けする作品を作るのは難しいですが、ランキングに入れるぐらいにはなってみたいと思う今日この頃です。

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